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高齢者施設や精神疾患の救急搬送見直しへ- 消防庁、判定支援アプリ作成も2016.08.05

セラピストプラス編集部からのコメント

消防庁は、救急車の適正利用について議論し、見直す方針を発表しました。2014年の高齢者福祉施設からの救急搬送が前年より2万人も増えて30万人を超えていたという結果を受けて、施設からの搬送も見直しの対象に入っています。
今後、緊急度を判定するアプリも作成予定です。

 総務省消防庁は4日、救急業務のあり方に関する検討会に対し、救急車の適正利用の推進などを議論するよう提案した。現場滞在時間が長くなりがちな高齢者福祉施設や精神疾患患者の搬送を見直す必要性を挙げたほか、緊急度の判定を支援するアプリを作成する方針を示した。検討会の下にワーキンググループを設置し、病院の検索や移動手段の表示などの機能をアプリに盛り込むかどうか検討する。【新井哉】

■施設からの搬送、「今後も増加」と予想

 消防庁は、2014年の救急搬送(540万5917人)のうち、高齢者福祉施設から30万705人(5.6%)が搬送されたことを指摘。前年よりも2万人以上増えていることを挙げ、「今後も急速な高齢化に伴い高齢者福祉施設が増加することにより、要請件数も増加する」と予想している。

 高齢者福祉施設からの搬送については、現場滞在平均時間(16.9分)を上回る消防本部が、全体の2割以上を占めていると指摘。スタッフの少ない夜間はインフォームドコンセントや情報伝達がスムーズにできず、「現場滞在時間の延伸の要因になっている」と苦慮する消防本部もあるという。

 こうした状況の解消が見込める事例として、高齢者福祉施設に救急車の適正利用を働き掛けてきた神戸市消防局の取り組みを紹介。救急隊員が施設を巡回訪問して施設職員と意見交換し、救急講習会の開催につなげるなど一定の効果が出ているとし、検討会の委員に議論を促した。

■精神疾患の事案、救急隊員の疲労度蓄積も

 消防庁は、搬送まで3―4時間かかったケースの約4割を精神疾患患者が占めていたことや、昨年度のアンケート調査で、医療機関の選定に苦慮した事案のうち、「精神疾患関係」を挙げた消防本部が少なくなかったことを説明。「現場滞在時間の延伸もあるが、救急隊員の疲労度も蓄積される」といった指摘もあるという。

 救急隊員の現場滞在時間を長引かせない取り組みの参考事例として、精神疾患と身体症状が両方ある患者の搬送の基準などを策定した秋田県の事例を示し、精神科病院と一般病院に振り分ける際の判断の基準などを紹介。次回の会合で昨年8月から大阪府で始まった精神科合併症の救急医療システムを取り上げる方針も説明した。

 委員からは「少しでも精神疾患の背景がありそうだと、その途端に敷居が高くなってしまう」との指摘に加え、「どうしても身体症状を合わせ持った患者の入院先が決まらない」と現場の実情を訴える意見も出た。

 また、救急車の適正利用につなげるため、緊急度の判定を支援するアプリを作成することも明らかにした。全国の消防本部での導入を視野に入れて仕様の標準化を図る予定。病院の検索機能や民間救急車・福祉タクシーといった移動手段に関する情報について、アプリへの導入の可否を含めて検討する。今後、ワーキンググループや検討会で議論を重ね、来年3月までに報告書をまとめる見通し。

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出典:医療介護CBニュース

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