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公立病院の繰入金、「透明性低い状況」- 内閣府が経営分析を公表2016.08.22

セラピストプラス編集部からのコメント

患者数が少ない地方でも病院が存続できるように繰入金というシステムがあり、主に自治体から赤字をだしている病院に損失補てんの意味合いで補助的にでています。公立病院の中で収支が悪化しているケースの中には、看護師や医師の適正な配置が間に合わず患者数が激減した病院も見られていますが、特に不採算地区で200床未満の病院の経営は深刻なようです。

 内閣府は、公立病院の経営改善効果に関する調査結果を公表した。有識者の研究会(座長=池上直己・慶大名誉教授)が、公立病院経営改革プランの取り組みが行われた2007年度から13年度までの期間を中心に医業収益の変化などを検証。自治体からの繰入金については、損失補てんの性質を持った繰入金と政策的な医業に対する負担金が混在していることを挙げ、「透明性の低い状況」としている。【新井哉】

■財政援助受けても赤字解消できない病院も

 地方公営企業法が適用される公立病院は02年度以降、減少傾向が続いており、07年度(957病院)と比べて13年度は12%減の839病院となっている。07年に総務省が公立病院改革ガイドラインを公表後、経営の改善に取り組む自治体や病院が増えつつあるが、自治体から財政的な援助を受けながらも慢性的な経営赤字を解消できない病院が少なくないのが実情だ。

 このような状況を踏まえ、医療経済に詳しい池上座長と伊関友伸・城西大経営学部教授、伊藤由希子・東京学芸大准教授、島崎謙治・政策研究大学院大教授で構成する研究会が、公立病院の規模などを目安にグループに分け、経営改革の状況を分析した。

 調査結果によると、公立病院の経常収支比率は08年度から改善に転じ、10年度から12年度までは100%を超えた。しかし、自治体からの繰入金を除くと、医業費用が医業収益を大きく上回る状態で、特に07-09年度の収支の傾向を見た場合、繰入金を入れた収支は改善しているのに対し、繰入金を除く収支は悪化している。

 こうした繰入金の状況については、「自治体が行う政策的医業に対する負担金としての繰入金と、損失補てんに近い性質を持つ繰入金とが会計上で混在しており、透明性の低い状況であることが明らかになった」としている。

■不採算地区病院の収益、繰入金の比率上昇

 不採算地区で200床未満のグループ(250病院)の経営状況は深刻だ。調査結果によると、このグループの繰入金の収益に占める比率は、07年度が17.1%だったが、13年度は6.2ポイント増の23.3%となった。収支の状況についても「収支が悪化した病院(192病院)が多く、改善した病院(58病院)は少なかった」と指摘している。

 不採算地区で収益が悪化した病院については、「地域人口の減少率を大きく上回るペースで、顕著に患者数が減少した病院が複数見られた」と説明。医師や看護師といった職員配置の面で十分な供給体制を整えられないことが、急激な患者の減少や経営悪化につながった可能性があるとしている。

 看護配置が公立病院の経営に及ぼす影響も取り上げており、「7対1基準が最も多く正(プラス)の効果をもたらすが、13対1基準は10対1基準の効果を上回っていた」と指摘。この理由として、看護師の配置数の増加は収益と費用の増加を同時にもたらすため、「収支に与える影響は看護師配置数に比例しないことによると考えられる」としている。

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出典:医療介護CBニュース

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