医療介護・リハビリ・療法士のお役立ち情報

セラピストプラス

マイナビコメディカル
マイナビコメディカル

医療介護・リハビリ・療法士のお役立ち情報

セラピストプラス

うつ病患者の睡眠障害、対応の重要性指摘- 関連学会がガイドライン改訂2016.08.26

セラピストプラス編集部からのコメント

日本の国民病ともいわれるうつ病の診療ガイドラインが改訂されました。睡眠障害や児童思春期についてが追加されています。睡眠についてはその悪化や改善はうつ病の臨床的に有用な指標となるとしていますが、世界的な指標がないことから長期的に検討して具体的指針を作る必要があると指摘しています。
児童思春期うつ病については、軽症は環境調整をしながらの経過観察を推奨し、中程度・重症うつ病では、こうした介入に加えて、精神療法あるいは薬物療法が選択肢として推奨されています。

 日本うつ病学会は、うつ病に関する診療ガイドランを改訂した。うつ病患者の睡眠障害や児童思春期の項目を追加したもので、基礎的な介入や推奨される治療などを記載。不眠の重症度によっては「抗うつ薬と同時に睡眠薬を開始する選択肢も考慮する必要がある」としている。【新井哉】

■睡眠薬の大量・長期投与に注意必要

 ガイドラインでは、うつ病の経過における睡眠の問題は「初期から高頻度にみられる訴えの1つ」と説明。睡眠の変化は、他の臨床症状よりも先に現れることが多いことから、その悪化や改善は「うつ病の治療経過をみる上で臨床的に有用な指標となる」と記載している。

 また、2000年以降、抗うつ薬による治療で不眠に対する認知行動療法や睡眠薬の併用の効果が報告されていることに触れ、「臨床的な苦痛を伴った不眠がある場合には、積極的に治療をすることが重要と考えられるようになっている」と説明している。

 ただ、世界的には、うつ病の不眠治療に関する包括的ガイドラインが作られていないことから、「今後、知見を重ね、長期的な側面からうつ病の不眠治療に関するリスクとベネフィットの検討を行い、より具体的指針を示す必要がある」と指摘している。

 不眠に対する薬物療法については、不眠の状態に合わせて、▽抗不安薬を含むベンゾジアゼピン受容体作働性睡眠薬▽鎮静作用の強い抗うつ薬▽抗精神病薬―の投与が行われていることを取り上げ、「いずれの場合においても、睡眠薬の大量投与や長期投与に陥らぬよう注意が必要」としている。

■児童思春期うつ病、軽症は経過観察も

 児童思春期うつ病の最近の疫学報告については、「初発エピソードの頻度は12歳から急速に上昇し、12歳以降は成人の発症率と大きな違いがないことが明らかになってきている」と説明。診断される症例が増えてきている一方、「必ずしも適切に診断され、エビデンスに基づいた治療が行われているとは限らない」としている。

 また、日本国内の課題として、診断・評価面で海外における構造化面接や評価尺度が翻訳・標準化されているものが少ないことや、児童思春期の精神療法、薬物療法のいずれも対照群を用いた二重盲検試験(薬や治療法の性質を医師・患者に明らかにせず行う方法)によって有効性や安全性が確立されている療法が存在しないことを挙げている。

 治療計画に関しては、軽症のうつ病の治療では心理教育や家庭・学校での環境調整を行いながら、一定期間の経過観察を行うことを推奨。中等度・重症うつ病では、こうした介入に加えて「精神療法あるいは薬物療法が選択肢として推奨される」としている。

    <PR>マイナビコメディカル

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  •  LINEで送る

出典:医療介護CBニュース

おすすめ

TOPへ