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視覚障害がある理学療法士が働く現場とは?

公開日:2015.04.08 更新日:2019.09.13

理学療法士が国家資格になって以来、弱視を中心とした視覚障害者にも、理学療法士になるための養成がなされてきました。今回の記事では、視覚障害がある理学療法士の勤務先や働くための工夫についてスポットを当てます。

視覚障害がある理学療法士の養成や就職先

盲学校で理学療法を専攻する学生は、一例として、全寮制で1年次に基礎科目、2年次は臨床医学と理学療法の科目、3年次に長期臨床実習と卒業研究を行います。卒業生へのアンケートによると、盲学校の理学療法科で学ぶメリットとしては、教職員が熱心で少人数で学べ、視覚障害がある人に合わせて教えられていることなどが挙げられていた一方、設備や器具が古いことが改善点としてあります。

卒業後は、ほかの理学療法士と同じように、病院や介護老人保健施設、教育機関、保健施設などさまざまな場所で活躍しています。昭和42年から昭和60年の間は大学病院へ就職する人も多く見られました。しかし、昭和61年以降は、小規模な病院や介護老人保健施設で働く人が増加傾向にあり、機能訓練を担当する養成校を卒業した理学療法士が増えています。

リハビリテーションは病室で行うものに加え、在宅でも行う方向へと変化しつつあります。そのため、視覚障害がある理学療法士にとっては車の運転や表札が見えないなどといった、以前はなかったハードルが出てきています。また、盲学校で理学療法学科を志望する学生の減少により、学科が閉鎖されるケースが出てきており、現在続いている理学療法学科にとっても大きな課題となっています。

視覚障害がある理学療法士が働くということ

卒業生のアンケートによると、理学療法の業務を行うとともに、40代から50代のなかには、組織を管理する立場や、後進の指導に当たる人もいます。20代から30代の理学療法士のなかにも、似たようなポストにつく人が出てきました。
視覚障害がある理学療法士が勤務するなかで一番の課題となるのが、リスク管理の部分です。視力や視野、色の見え方にもよりますが、担当する患者の転倒を防げない、バイタルサインの数字を読み誤るなどの可能性も高まります。また、ちょっとした表情の変化に気づきにくいといったこともあります。

筑波技術短期大学(現:筑波技術大学)の松澤正教授らによると、視覚障害がある理学療法士は評価器具を使用する際の苦労として、巻き尺や体重計、角度計などを読む場面を挙げており、とくに視力0.1未満の人が苦労していると報告されています。また、事務処理における苦労として、手書きでのカルテへの記入やケース会議の資料作成などを挙げています。

現在は、ルーペや弱視レンズといった補助器具だけでなく、血圧計や角度器、低周波治療器やホットパック装置など治療に使う器具も、視覚障害がある理学療法士が働きやすいよう文字の拡大されたものが医療メーカーから出ています。また、テクニカルな部分だけでなく、視覚障害がある理学療法士が患者さんを担当する場合に転倒防止の対策を行う、バイタルチェックは他の理学療法士とダブルチェックを行うなど、職場全体で基本的な対策を講じることも重要です。

視覚障害がある理学療法士が活躍するためには

視覚障害がある理学療法士が専門性を活かすためには、周囲の協力が不可欠です。ともに働くうえでまず重要なのは、相手の「見えにくさ」を理解することです。視覚障害がある理学療法士は、相手の顔や状態を把握するのに時間がかかったり、個人によって視野の狭さや見えにくい色が異なったりします。周囲はこのような状況を受け入れたうえで、本人に見える度合いをあらかじめ確認して仕事を進めると良いでしょう。
時代の流れとともに、視覚障害がある理学療法士の働く環境が変化しています。理学療法士としての技術を発揮できるバリアフリーな職場が、今後増えることに期待します。

 

【参考URL】
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