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新しい理学療法アプローチ! バーチャルリアリティを用いた臨床研究2015.09.10

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あなたは、仮想現実の中での経験が現実に影響を及ぼすと思いますか? 果たして、コンピュータが作り出した世界の中でリハビリを行うことに利点はあるのでしょうか? ここでは、ヨーロッパで行われたバーチャルリアリティを用いた理学療法の研究結果をご紹介します。

半身麻痺の患者さんに対する、新しいアプローチ

今回の研究を行ったのは、スペインのポンペイ・ファブラ大学。研究チームの中心は、人工的な知覚・感情・認知システム研究所の研究員である、ベレン・ルビオ・バレステルさんです。
理学療法では物理的な試みが脚光を浴び、精神的な力は軽視されがちですが、ルビオさんは、患者自身の「回復できるという自信」がリハビリ成功の鍵であると考えています。つまり、バーチャルリアリティを用いることで、患者さんの自信を高めようという点からのアプローチです。
研究の対象は、半身麻痺という後遺症を抱えた脳卒中の患者さん20名。多くの半身麻痺の患者さんは健康な半身に頼って生活しているためそちらに負担がかかり、麻痺している方の半身は長期間使わずにいることでますます弱くなってしまう傾向があります。そこで、バーチャルリアリティのゲームを経験してもらい、「麻痺した方の腕も使える」と患者さんの自信を高められるかどうかが検証されました。

バーチャルリアリティを用いたリハビリ臨床研究

今回患者さんにバーチャルリアリティを体験してもらうため使われたのは、リハビリテーション・ゲーミング・システム(RGS)です。そして、その操作用として導入されたのは、マイクロソフト社が開発した「キネクト(Kinect)」。プレイヤーのジェスチャーや音声を、正面からセンサーで認識するコントローラーです。ゲーム画面は一人称視点で、患者さんは画面に映し出されるバーチャルリアリティの腕を、実際に自分の腕を動かすことによって操作します。
研究材料となるのは患者さんのプレイデータです。画面上のターゲットに触れられるようバーチャルボディの手を伸ばすセッションを何度か重ねるなか、あるときはバーチャルボディの動きを研究者側で意図的にコントロールしました。麻痺している方にあたるバーチャルボディの手を、徐々により早く正確に動くようにして見せたのです。研究者が操作を加えていることは、患者さんには伝えていません。その結果、操作を加えられたセッションを経験した患者さんのデータは、操作前と比べて大きく変化していました。

麻痺した手をより頻繁に使おうと、患者さんの行動パターンが変化

バーチャルボディの腕が研究者の操作により徐々に動くようになっていくゲームを10分以上体験した患者さんのデータに、変化が表れ始めました。特に指示されなくても、麻痺している方の手を使って物事を行おうと試みるようになったのです。
これについてルビオさんは、バーチャルリアリティが患者さんを触発し自信が高まった結果ではないかと考えています。何より、麻痺のない方の手の動きを制限するという方法を用いなくても、麻痺している方の手を使おうとするようになったという点が重要です。それこそ、ルビオさんがリハビリ成功の鍵と考える「患者さん本人の自信」ではないでしょうか。
ルビオさんはまた、「このリハビリテーション・ゲーミング・システムは、脳卒中後の急性期と慢性期いずれの患者についても身体機能の回復において顕著な影響を与えた」と述べています。この結果を受け、「リハビリテーション・ゲーミング・システム」は現在、スペイン国内の病院や治療センターで使用されています。

研究チームは、今後も実験に参加してくれる患者さんの人数を増やして、臨床研究を繰り返してゆくとのことです。それによって、バーチャルリアリティがどのようにセラピーに役立てられるかがさらに詳しく検証されるでしょう。

 

【参考URL】

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