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最新映画から学ぶ「わが家で最期を迎える」ということ
――医療・福祉のサポートで実現する、自分が望む最期2019.09.20

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文:中澤仁美

「病院から在宅へ」の流れが強まる昨今、セラピストの皆さんが活躍する舞台も少しずつ在宅医療へ移行していくかもしれません。在宅死を希望する患者さんが増えている中、「わが家で最期を迎える」とはどういうことか、第三者としてそれをどう支えることができるのか、ぜひ考えておきたいものです。現場に密着したドキュメンタリー『人生をしまう』(2019年9月21日劇場公開)で、在宅死のことを少しだけ学んでみませんか?

■埼玉県の在宅医療チームにカメラが密着!

この作品は、在宅医療に携わる医療者の姿を追ったドキュメンタリー。元となっているのは、日本医学ジャーナリスト協会賞大賞を受賞した『在宅死 “死に際の医療”200日の記録』(NHK BS1スペシャル)。「ラストまで目が離せなかった!」といった視聴者からの大反響を受けて、新たなシーンを加えるなどして映画化されました。

カメラが追うのは、堀ノ内病院(埼玉県新座市)の在宅医療チーム。中心人物の一人である小堀鷗一郎医師は、文豪であり医師でもあった森鷗外の孫に当たる人物です。もともと東京大学医学部附属病院の外科医として活躍してきた小堀医師ですが、67歳にして在宅医療の世界へ転身。終末期を迎える数多くの患者さんやその家族に寄り添ってきました。

映画の「舞台」の一つとなる堀ノ内病院。地域包括ケア病床や退院支援室を備え、在宅復帰にも力を入れている。

堀ノ内病院の名誉院長でもある小堀医師。院内の個人オフィスは、はしごを登った上にある質素な“屋根裏部屋”だ。

患者さんの家にカメラが入り、家庭のありようを活写

医療者の訪問に同行するかたちで患者さんの家にカメラを入れた本作は、本人にフォーカスするだけでなく、家庭のありようまでリアルに描いていることが特徴の一つ。貧困や障害など困難な問題を抱えている場合もありますが、医師や看護師はもちろん、ケアマネジャーや介護職などが連携することで、そうした人たちを支える様子が映し出されます。

死を前にした患者さんやその家族に対して、どのような声をかければよいか悩む医療・介護従事者は少なくありません。本作にも「住み慣れた場所で最期を迎えたい」という思いから、あえて独居のままでいることを選択した患者さんと、それを見守る娘さんが登場します。いよいよ最後の訪問のとき、そして死を迎えた後、誰がどのような言葉を口にしたのか、ぜひ劇場で確かめてください。

堀ノ内病院の在宅医療チーム。4人の医師と2人の看護師で約140人もの患者さんを支えている。

独居の患者さんに寄り添う、医師・看護師・ケアマネジャーの様子。

笑いも涙も、“人生”がぎゅっと詰まった110分

本作を監督・撮影したのは、NHKエンタープライズ エグゼクティブ・プロデューサーの下村幸子氏。およそ200日間かけて、64人もの患者さんやその家族を取材してきました。撮られる側の負担を最小限にするため、カメラマンや音声スタッフなどを同行させず、たった1人で現場に向き合い続けたというから驚きです。

「死」をテーマにしたドキュメンタリーというと、重苦しい作品のように思うかもしれません。しかし、過剰な演出を控えてシンプルに家族の情景を切り取った本作からは、そのような印象は感じませんでした。医療者と患者さんたちのユーモアあふれるやりとりに、劇場内で笑いが起こる場面も多くありました。

笑いも涙も内包した日常を送りながら、自分が望む形に近い人生の最期を迎える。そうした「普通の日々」を願ってやまない患者さんやその家族をサポートするため、第三者としてできることは何か……。セラピストの皆さんが、本作から学べることは決して少なくないはずです。

「毎日がフレッシュ」と語る小堀医師。晴れの日も雨の日も、患者さんが待つ家に通い続けている。

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<作品情報>
『人生をしまう110分(ドキュメンタリー)
9月21日より渋谷シアター・イメージフォーラムほか、全国順次公開
監督・撮影:下村幸子 プロデュース:福島広明 編集:青木観帆、渡辺幸太郎
制作:NHKエンタープライズ 配給:東風
(C)NHK

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