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「訪問看護の扉」をたたいた理学療法士に聞く、生活を支えるリハビリの魅力

公開日:2021.06.24

ケアプロ訪問看護ステーション東京

取材・文:ナレッジリング(中澤仁美)
写真:ブライトンフォト(和知 明)

「病院から在宅へ」の流れが加速し、高度なリハビリテーションを必要とする人が地域に増えていく中、セラピストが活躍する訪問看護ステーションに注目が集まっています。

11人ものセラピストが活躍する「ケアプロ訪問看護ステーション東京(中野区、足立区)」もその一つ。理学療法士として活躍する星野真二郎さんに「在宅ならではのやりがい」について、管理者のお二人に「セラピスト採用のメリット」について、それぞれ伺いました。

お話を伺った方々
星野真二郎さん
(ケアプロ訪問看護ステーション東京 足立ステーション)
金坂宇将さん
(ケアプロ株式会社在宅医療事業部事業部長 ケアプロ訪問看護ステーション東京管理者)
高田雄貴さん
(ケアプロ訪問看護ステーション東京 足立ステーション/慶友サテライト 所長)

飛び込んでみて分かった、病院と在宅の違い

ケアプロ訪問看護ステーション東京

星野真二郎さん
(ケアプロ訪問看護ステーション東京 足立ステーション)

理学療法士である星野さんが、在宅医療に興味を持ったきっかけを教えてください。

私はもともと医療事務や編集の仕事をしていたのですが、医療職へのあこがれを捨て切れず、33歳で理学療法士になって総合病院のリハビリテーション科に入職しました。そうして経験を積むうちに、少しずつ芽生えてきたのが「いつかは在宅に挑戦したい」という思い。

病院で働いていると、患者さまが「自宅に戻れるようにすること」をゴールと考えがちだったのですが、本当に大切なのは「自宅に戻った後、その人らしく過ごせること」です。個別の日常生活動作(ADL)だけに注目するのではなく、患者さまの気持ちやご家族の背景まで視野に入れ、生活全体を見据えたケアに挑戦したいと思ったのです。

病院でも患者さまの個別性を重視すべきなのは当然ですが、退院後の日常生活でその人が持つ機能を最大限に発揮してもらうには、やはり自宅を訪れてリハビリテーションなどをするのが一番ではないかと考えました。

そこで、病院で約14年間を過ごした後、自分の仕事の集大成を築く舞台として訪問看護ステーションへの転身を決意。マイナビを利用して職場を探し、利用者層や立地などの条件からケアプロを選んで、2020年9月に入職しました。

病院時代と比べて、在宅での業務にはどんな違いを感じますか。

病院ではさまざまな職種が患者さまに関わりますが、それぞれの役割が固定化されがちで、他職種の仕事に手を出すのは「越権行為」のように感じられることもありました。しかし、基本的に自分一人で利用者さま宅を訪問する在宅の現場では、必要に応じて幅広い業務に対応しなければなりません。

ケアプロ訪問看護ステーション東京

理学療法士であっても、内服、食事・水分の摂取状況、排泄や睡眠状況の確認を行ったりもします。そうした環境だからこそ、利用者さまの全身状態の変化を観察したり、看護師に報告して指示を受けたりする力が求められます。

また、いざというときに備えて、救命救急のスキルを磨いておくことも欠かせません。最初は戸惑いもありましたが、新しいスキルを習得して成長することが喜びにつながっていきました。

臨機応変に考え、現場の状況に対応しようとする柔軟性を持っていなければ務まらない仕事だと思います。

看護師との「分業」を超えた「協業」を実現

ケアプロに入職して、最初に担当した利用者さまのことを教えてください。

私が最初に担当したのは、脳腫瘍から麻痺を起こしている末期の利用者さまでした。死期が近づいていることを本人も認識しており、生きる意味を見失いかけている様子で、理学療法士としてどう目標を設定すべきか悩んだことを覚えています。

あるとき、ほぼ寝たきり状態だったその方が「また歩いてみたい」とつぶやいたのを聞き、思い切って歩行の練習を提案・実施しました。

その結果、わずかな距離ではありますが、ベッドを離れて歩く体験をしてもらうことができました。利用者さまのニーズにこたえて信頼関係を築けたこともうれしかったですが、歩き出せたときの喜びにあふれた表情が忘れられません。

当ステーションで看取りとなったのですが、亡くなる1週間ほど前までリハビリテーションを行い、前向きな時間を過ごしてもらえたと思います。

星野さんは現在、ステーション内でチームリーダーを務めているそうですね。

ケアプロ訪問看護ステーション東京
ケアプロでは多職種混合でチームを編成しているのですが、そのうちの1つでリーダーをしています。管理的な業務が増えたことから、訪問件数は少し抑えてもらっており、平均すると1日当たり5件程度です。

看護師とセラピストがそれぞれの視点から意見交換し、より良いケアができるよう切磋琢磨する毎日はとても新鮮です。職種が違うからと「分業」するのではなく、お互いの良さを発揮しながら「協業」できていることを実感しています。

また、理学療法士として持っている知見を共有するため、看護師を対象にした勉強会で講師を務めることも多いです。関節の動かし方やベッド上でのポジショニングのポイントなどについて、「おむつ交換のときには脚をこのように動かすと安全です」などと、看護師の具体的な業務に結び付けながら説明しています。

ケアプロ訪問看護ステーション東京

看護師の皆さんにとって業務改善につながるほか、お互いの職務を理解し合い、より良いケアをめざして意見交換する意味でも有意義な取り組みだと感じています。

「生活の場に入る」からこそできること

利用者さまの自宅をセラピストが訪問することに、どんな意義を感じていますか。

人間は誰しも、「ちょっとした動作の不具合」を抱えているものです。健常な人であれば、余分のエネルギーが必要になるくらいで大きな問題にはなりませんが、利用者さまの場合は「まったくできない」「何とかできるが疲れや痛みが生じる」といったレベルで問題になることがあります。だからこそ、その人ならではの生活環境に適応するための、具体的なケアやアドバイスが大切です。

セラピストが利用者さま宅を訪問すれば、物品の配置や高さ、段差の有無、動線などを含めた生活環境を詳細にチェックすることができ、適切な介入が可能になります。

例えば、手を置く位置をほんの少し変えるだけでも、動作全体がグッと楽になるケースは少なくありません。訪問中にそうした点を見出し、より良い身体の動かし方が定着するよう働きかけることは、「訪問のセラピスト」だからこそ果たせる役割だと思います。

最後に、在宅に興味を持つセラピストの皆さんに、メッセージをお願いします。

ケアプロ訪問看護ステーション東京
訪問看護ステーションのセラピストについて、介護報酬引き下げの動きがあることは残念ですが、これは私たちセラピストへの「警鐘」という見方もできるのではないでしょうか。

明確な目標もなく訪問して機械的にマッサージするだけでは、本来の職能を十分に発揮しているとはいえません。これを契機にリハビリテーションの真価を追求し、より意義のある訪問を実現していくべきだと思います。その上で、機能維持・改善に対する正当な評価を訴えていくことも、これからのセラピストに課せられた使命ではないでしょうか。

在宅に興味を持つセラピストの中には、スキルアップやキャリアアップをめざした前向きな方ばかりでなく、病院での人間関係などに疲れてしまった方もいるはずです。個人的には、前者はもちろん、後者のセラピストも歓迎したい思いです。

自分の力を生かせない職場から「逃げた」としても、利用者さまと向き合うことから「逃げない」覚悟を持っていれば、この世界の扉をたたく資格があるのではないでしょうか。

看護師とセラピストがワンチームでケアの構築に挑戦

ケアプロ訪問看護ステーション東京

金坂宇将さん
(ケアプロ株式会社在宅医療事業部事業部長 ケアプロ訪問看護ステーション東京管理者)

当社では11人のセラピスト(理学療法士8人、作業療法士3人)が活躍しており、5~6年の経験がある中堅どころから40歳代のベテランまで年齢層は幅広いです。ただ、共通して持っているのは「ワンチームでケアを構築する」という思い。

身体的な機能訓練だけに興味があるというよりも、多職種と協働しながら利用者さまの「生活の基盤」を作り、その上でリハビリテーションを提供するという意識がある人を採用しています。身体の構造を詳しく勉強してきたセラピストがチームに加わることで、看護師のケアの質やモチベーションも上がったように感じます。

セラピストの採用後は、独自のラダー制度をベースに研修などを行います。特に意識しているのは、看護師との同行訪問などを通して「利用者さまの全体像」をとらえる力を育んでもらうこと。

看護師とセラピストが一緒に動く中で、セラピストならではの視点を看護師へ教えることにもなり、お互いに学び合える環境だといえるでしょう。さまざまなバックグラウンドを持った人間が関わることは、より深い対象者の理解につながります。

看護師とセラピストが互いの個性や強みを生かし、多面的な議論を重ねることで、多様な利用者さまを支えていきたいと考えています。

対象者の「○○したい!」をかなえる訪問セラピスト

ケアプロ訪問看護ステーション東京

高田雄貴さん
(ケアプロ訪問看護ステーション東京 足立ステーション/慶友サテライト 所長)

在宅の現場でセラピストが活躍できる機会は多いですが、中でも神経難病を抱える利用者さまのケースではセラピストの力を感じます。

例えば、人工呼吸器を装着したばかりの筋萎縮性側索硬化症(ALS)の利用者さまがお出かけを希望されたとき、看護師とセラピストを中心に入念なアセスメントをしたことで、わずか退院2週後のタイミングでの外出支援につながったことがあります。

また、同じくALSの利用者さまが自宅入浴を希望されたときは、セラピストが介助方法を事前に練り上げ、足の着き方一つひとつにまで気を配ったことで、2階にある浴室まで階段で上がってゆっくりとお風呂を楽しんでもらうことができました。

単独での訪問時も、スタッフが電話で情報共有・アドバイスをし合うことで、緊急性の高い事例にも対応しやすくなったように思います。セラピストの訪問中に褥瘡を発見したときは看護師がケアの方法を伝える、看護師の訪問中に利用者さまが足を痛めたときはセラピストが観察の視点を伝えるといったように、それぞれの専門性を生かした連携を図っています。

2020年4月には、整形外科およびリハビリテーションを専門とする足立慶友リハビリテーション病院(医療法人社団新潮会)にサテライトを開設し、入院中から当社のセラピストが介入することで病院から在宅へのシームレスな移行をめざすなど、活躍の場はますます広がっています。

ケアプロ訪問看護ステーション東京

地域医療で大きな期待が寄せられている訪問セラピストの仕事に、多くの人が興味を寄せていただけたらうれしいです。

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