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第6回あえて反対側を鍛え、その効果を実証! 対側筋力トレーニングの研究

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身体を動かすと、いろいろな部位が連動します。例えば、足を振り上げるには無意識に腹筋を使ったり、軸足に力を入れたりしているものです。リハビリを行う現場でも実感されていることでしょう。
しかし、四肢のトレーニングの際に、部位の連動を意識したことはありますか? 「右足を鍛えるために、あえて左足のトレーニングを行う」という考えです。強化したい側とは反対側の手足のトレーニングによって、求める効果が得られる場合、筋力低下により該当部位のトレーニングが困難な四肢をリハビリするための新しいアプローチとなる可能性があります。
そこで今回は、米国理学療法協会(APTA)の学会誌『フィジカル・セラピー』より、対側筋力トレーニングの効果についての論文をご紹介しましょう。多発性硬化症の患者さんが足首を鍛えたケースを調べた実証実験です。ぜひ参考にしてください。

Effect of Contralateral Strength Training on Muscle Weakness in People With Multiple Sclerosis: Proof-of-Concept Case Series

多発性硬化症患者における対側筋力トレーニングの効果:実証実験ケースシリーズ

Andrea Manca, University of Sassari
Maria Paola Cabboi, University of Sassari
Enzo Ortu, Segni Hospital
Francesca Ginatempo, University of Sassari
Daniele Dragone, University of Sassari
Ignazio Roberto Zarbo, University of Sassari
Edoardo Rosario de Natale, University of Sassari
Giovanni Mureddu, Policlinico Sassarese
Guido Bua, Policlinico Sassarese
Franca Deriu, University of Sassari

研究テーマ

鍛えたい手足の筋力強化を目的として、あえてそれと対になっている反対側の手または足を鍛えることを、「コントララテラル・ストレングス・トレーニング(CST: Contralateral Strength Training:対側筋力トレーニング)」といいます。これは、対となる肢の筋肉の動きが本来鍛えたい反対側の肢に伝わることによる効果をねらったトレーニング法です。
この研究の目的は、多発性硬化症のために下肢の筋力が非対称となっている患者さんが、症状が軽い方の足をトレーニングした場合、症状が重い方の足の筋力強化に効果があるかどうかを調べることです。

研究方法

多発性硬化症の患者さん8人を被験者とし、症状の軽い方の足に対し、足首の背屈に使われる筋肉を鍛える高強度のトレーニングを16~18セッション行う、単一被験者研究法を用いました。
この実験における主要な評価項目は、最大限の運動でピークに達した瞬間の「最大筋力」で、副次的な評価項目は以下の通りです。

  • 6分間歩行テスト
  • TUGテスト(Timed Up & Go Test)
  • 10メートル歩行計測テスト
  • 多発性硬化症QOL(Quality of Life)に関する54の質問

研究結果

6週間のトレーニングの後、多発性硬化症の症状が重い方の足(トレーニングをしていない方の足)を調べたところ、最大筋力が22~24%増加していました。また、実験前後の測定値から、被験者は臨床的および機能的な副次的評価項目においてもはっきりと向上していることがわかりました。 
実験から12週間後のフォローアップ時点の結果パラメーターでも、過半数(8人中5人)の被験者において、トレーニングしていない弱い方の足の強度は実験前より高い状態のままでした。

結論

今回の実証実験では、多発性硬化症患者における対側筋力トレーニングで、足首の背屈時に動く筋肉への効果が初めて認められました。これにより、将来有望なリハビリのアプローチとして、対側筋力トレーニングの新たな可能性が明らかになったといえます。片側のみの筋力低下によって弱い方の肢で通常のトレーニングが不可能、または困難な場合に試みるトレーニング法として、対側筋力トレーニングが役立てられる見込みがあります。

研究結果の限界

今回の実験の「方法」「対照群の不足」「規模」を考慮し、この実験における結果が全体にあてはまるかどうかは慎重に判断すべきです。きちんと計画されたランダム化比較試験による確認が必要でしょう。

Reprinted from Phys Ther. 2016;96(6):828-838, with permission of the American Physical Therapy Association. ©2016 American Physical Therapy Association. APTA is not responsible for the translation from English.
(この記事は、米国理学療法協会(APTA)の学会誌『フィジカル・セラピー』96巻6号828 ~838頁に掲載された論文の概要を翻訳したものであり、セラピストプラスが同協会の許可を得て作成および掲載しています。論文概要の著作権はAPTAにあると同時に、同協会は翻訳文について一切の責任を負いません。)

参考URL

米国理学療法協会・学術誌 『Journal of the American Physical Therapy Association』


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