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日本初! アジア理学療法フォーラム開催(その1)~アジア健康構想

公開日:2017.10.30 更新日:2017.11.13

2017年秋、日本理学療法士協会主催、内閣官房健康・医療戦略室共催の下に、東京ベイ有明ワシントンホテル(江東区)にて、アジア理学療法フォーラムが開催されました。同フォーラムには、官民挙げた「アジア健康構想」推進の一環として、アジア各国の理学療法士協会との連絡・連携体制を構築し、相互協力体制を整備することを目的としており、アジア 14カ国の理学療法士協会の代表が招致されました。
急速に高齢化が進むアジア諸国からの参加者たちは、日本における先行事例・技術の紹介に熱心に耳を傾け、様々な意見を交換する場ともなりました。

アジア理学療法フォーラム 趣旨説明
公益社団法人日本理学療法士協会会長 半田 一登 さん

アジア諸国にもいずれ高齢社会が訪れれば、理学療法や理学療法士(PT)のニーズは飛躍的に高まるため、戦略を持っておかなくてはなりません。

日本の理学療法士の歴史を振り返ると、その教育は、英米などの協力の下に1963年に始まり、66年に初めての国家試験が行われ183人の理学療法士が誕生。110人によって日本理学療法士協会が立ち上げられ、50数年で会員数11万人という組織になりました。
1971年、厚生省(当時)は、将来の日本高齢社会に向け、リハビリテーションを積極的に推進すべきと表明。リハビリ医療の発展のために、病院で働くPTの処遇が改善され、理学療法士が飛躍的に増加し、物理療法から運動療法に中心の理学療法へと大きく舵を切りました。

日本では急激に若年層が減少して高齢者が増えていますが、アジア諸国もいずれ同様の状況が起こってきます。このような人口動態の変化に対して、運動療法を使った予防が非常に大きくクローズアップされます。アジア諸国では、今から予防療法の準備を進めることが、社会保障費の適正化にもつながるでしょう。

健康づくりの意識がない人たちに対して、意識改革から始めて、運動療法にしっかりとしたエビデンス(科学的根拠)を持たないと、しっかりした成果は出せません。また、痛みを起こさずに運動する手法を考えて実行させることは、PTにしかできないことです。行動変容はできても継続は難しいのですが、そこにもPTの専門性が発揮できるはずです。単に運動させるだけでなく、成果を実感させ、楽しみの要素も付加したアイディアを練って継続させてください。

病人を作らないこと、障害者を作らないことこそが、PTにとって1番必要でしょう。世界保健期間(WHO)の理学療法の定義においては、最初にヘルスプロモーションに言及しています。日本の理学療法は、当初は病院や施設の中における患者に対して理学療法を提供することから始まったために、その点では少し立ち後れました。アジア諸国では、それを糧にしてぜひ準備を進めてください。

患者の治療に当たるだけでなく、患者を作らないための予防、高齢者が健やかに生活できるための予防、高齢で介護が必要になった時には効率的な介護の提供、そうした場面でPTは力を発揮できます。アジア全域で理学療法の幅を広めるため、皆さんと力を合わせながら進んでいきたいと思います。

「アジア健康構想」について
内閣官房 健康・医療戦略室 次長 藤本 康二 さん

WA2_0041_300x200「アジア健康構想」は、アジア諸国と協力して、より健康な体制を持っていこうという取り組みで、緒に就いたばかりですが、アジア各国にアイディアを提案したり、意見交換をしたりして、健康な高齢社会に向けて互いに努力していきたいと思います。

まず重要なのは、健康と長寿のための総合的なアプローチで、健康な生活を維持する予防が必要になります。医療サービスだけでなく、予防のサービスを提供することによって、日々の健康な生活を持続できるようになっていくでしょう。

日本では、病院や介護施設でリハビリを提供する形から、介護や予防を在宅で行う形にシフトさせていかなければなりません。現状の日本の医療制度では、維持期になるとリハビリの頻度が減ってしまいますが、きちんとリハビリを行い、すべての人がサービスを受けられるような体制に持っていかなくてはなりません。

高齢社会においては「自立支援・介護予防」が重要で、日本の医療介護システムのパラダイムシフトにおいてもキーワードとなるでしょう。

「アジア健康構想」においては、2国間の協力体制を強化して、相互に生き生きとした健康な社会を作っていくことが目的となります。まず、アジアに対して介護サービスの普及を推進し、関連産業も発展させていきます。同時に、専門家向けの介護のトレーニングや技術のインターンプログラムなどの人材教育をアジア諸国に提供するだけでなく、日本でも同じようなサービスを展開して国内にも貢献していきたいと思います。
例えば、日本のスタイルを入れたリハビリ・センターをベトナムにおいて立ち上げており、施設の体制の強化やキャリアの構築にもつなげています。

「自立支援・介護予防」が日本だけでなく、アジアにも普及していくことを期待しています。

次回、アジア理学療法フォーラム(その2)では予防理学療法の具体例、歩行支援ロボットの実際について解説します。

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