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2018年診療報酬改定までカウントダウン(その2)

公開日:2018.03.09 更新日:2018.03.19

アウトカム重視が加速 維持期は円滑に介護保険移行へ

文:塚崎朝子

2018年、回復期リハ病棟のアウトカム実績引き上げ

 さて、2018年度改定におけるリハビリ部門の注目は、回復期リハビリ病棟のアウトカム実績が引き上げられることです。1月24日の中医協では、2018年度診療報酬改定の個別改定項目について具体的な検討がなされた中で、変更内容が決まりました。
 それによれば、「回復期リハビリ病棟入院料」が、現行の入院料1~3に、実績部分を載せた3区分の評価を追加した6段階評価に再編されることになります(表)。この実績部分の評価には、「リハビリ充実加算」の要件となっているリハビリの実績指数(1日当たりのFIM得点の増加を示す指数)が採用されます。これに伴って、同加算は廃止されることになります。 

表 回復期リハビリテーション病棟入院料(1日につき)
1 回復期リハビリテーション病棟入院料1 2,085点
(生活療養を受ける場合にあっては、2,071点)
2 回復期リハビリテーション病棟入院料2 2,025点
(生活療養を受ける場合にあっては、2,011点)
3 回復期リハビリテーション病棟入院料3 1,861点
(生活療養を受ける場合にあっては、1,846点)
4 回復期リハビリテーション病棟入院料4 1,806点
(生活療養を受ける場合にあっては、1,791点)
5 回復期リハビリテーション病棟入院料5 1,702点
(生活療養を受ける場合にあっては、1,687点)
6 回復期リハビリテーション病棟入院料6 1,647点
(生活療養を受ける場合にあっては、1,632点)

 

出典:厚生労働省 個別改定項目について 参考資料 2018年1月24日

 なお、アウトカムの実績以外の変更点として、回復期リハビリ病棟ではリハビリ栄養や介護部門との連携の強化も予定されています。

退院後早期の患者は疾患別上限の除外対象に

 一方で、維持期・生活期のリハビリについては、介護保険への移行を進める方向性が打ち出されています。退院後のリハビリの実施状況から、中医協での議論の方向を見て見ましょう。
 回復期リハビリ病棟を退院後のリハビリ・機能訓練の予定を見ると、「リハビリなし」の患者以外は、何らかのリハビリ又は機能訓練を必要とする患者でした。これは、回復期病棟退院した患者の約65%に相当します。
 にもかかわらず、回復期病院退院後、通所リハビリを利用するまでに14日以上要する割合は、2011年度調査で25%、16年度調査でも18%に達しています、
 その理由を見てみると、回復期リハビリ病棟を有する医療機関の自施設での通所リハビリ・訪問リハビリの実施状況は、訪問リハビリ実施が約54%、通所リハビリ実施は約46%と、いずれも半数にとどまっています。

出典:厚生労働省 社会保障審議介護給付費分科会 ヒアリング資料(2017.9.6)

 しかし、スタッフの配置状況では、多くの回復期リハビリ病棟に配置されている病棟専従のリハビリ専門職は、入院料1の施設基準では規定された数を上回り、入院料2や3でも一定割合の病棟が入院料1の施設基準で規定する数より多いとされました。
 回復期リハビリを要する状態と算定日数の上限等が定められていますが、これにも問題があります。
 実際には、上限まで入院した後に外来リハビリに移行した場合、その時点で疾患別リハビリの標準的算定日数(疾患ごとに発症等から90~180日)のギリギリになっていたり、もはや超過してしまっているということもあり得るようです。
 このため、厚労省は、退院後早期のリハビリを充実する観点から、退院後早期の患者については、疾患別リハビリ料の標準的算定日数の上限の除外対象とすること、そうした患者にも対応できるよう、病棟に専従で配置されている理学療法士等が退院後のリハビリを提供できるような専従の取り扱いの見直しがなされています。

要介護被保険者の疾患別リハ料算定は1年延長

 維持期リハビリについては、介護保険への円滑な移行策が検討されています。
 前回改定で、要支援・介護者に対する標準的算定日数を超過した疾患別リハビリ料は、所定点数の60%算定を2018年3月末までとする経過措置が取られました。
 実態を見てみると、例えば、脳血管疾患等リハビリ料や運動器リハビリ料等を算定した患者の2~3%が、標準的算定日数を超過した要介護被保険者等が算定する点数を算定していました(2016年度社会医療診療行為別統計)。
 医療保険のリハビリと介護保険のリハビリでは、それぞれ施設基準が異なり、双方を満たす従事者の配置が必要になります。
 医療機関が通所リハビリの実施が困難な理由として、施設基準の中でも「人員配置について要件が満たせない」が最も多く挙げられています。また、通所リハビリへの移行が困難な理由としては、「月13単位のリハビリで不都合を感じない」「通所リハビリでは医学的リスク等に対応困難」「患者の心理的抵抗感」などとなっています(診療報酬改定の結果検証に係る特別調査、2017年度速報値)。

 

出典:厚生労働省 社会保障審議介護給付費分科会 ヒアリング資料(2017.9.6)

 厚労省では、こうした移行が困難な理由を踏まえて、施設基準のうち、職員配置や設備を共用できるような取り扱いの見直しを検討し、さらに要介護被保険者の疾患別リハビリ料の算定に係る経過期間については2019年3月まで延長することが提案されています。

結果が求められる時代にさらなる質向上を

 医療提供体制の最近の20年間を振り返ってみると、最も大きく変化しているのが、病棟の看護体系と並んで、リハビリ医療の提供体制だと言えます。
 リハビリ医療は供給が急増したこともあって、結果が求められる時代を迎えつつあります。とりわけ、回復期リハビリ病棟は2000年に創設されて以降、量的整備から質的整備の時期へ移行しつあるようです。評価する指標は、施設基準のようなストラクチャーだけでなく、プロセスアウトカムについての指標が導入されており、実績指数(「各患者の在棟中のADLスコアの伸びの総和」を「各患者の(入棟から退棟までの日数)/(疾患毎の回復期リハビリ病棟入院料の. 算定上限日数)の総和」で割ったもの)は、要件が厳しさを増すことが予想されます。
 療法士には、さらなる質向上のための努力が求められるのは、言うまでもありません。

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