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ないなら造る!高齢者や障がい者の行動範囲が広がる車椅子ロボット「movBot®」

公開日:2025.04.04

ないなら造る!高齢者や障がい者の行動範囲が広がる車椅子ロボット「movBot®」

取材・文 宅野美穂

アクセスエンジニアリング株式会社は、障がい者や高齢者の自立支援、介護現場の業務効率化をサポートするべく車椅子ロボット「movBot®」シリーズを開発。

中でも「movBot® ACE」は、階段の昇降ができない車椅子の課題を克服するため、利用者の安全性と利便性の向上を目指し設計されています。

本記事では、「movBot®」シリーズ開発の背景や展望について中村賢一さんに詳しくお話を伺いました。

中村賢一さん

今回インタビューした方:中村賢一さん

アクセスエンジニアリング株式会社
開発責任者 取締役会長
大手企業との取引実績を持ち、独自の営業手法と迅速な開発力で受託事業を展開。
2021年より車椅子ロボット「movBot®シリーズ」開発に着手し、2024年8月には「movBot® Office」が商品化。
「ないなら造ります」の方針で、革新的な取り組みを行っています。

 

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調査から試作品完成まで3ヶ月、movBot®の開発背景


※アクセスエンジニアリング株式会社外観

「movBot®」シリーズ開発の背景をお聞かせください。

「movBot®」シリーズ開発のきっかけは、大学時代の先輩の身内が車椅子生活を送り始めたことです。

段差の多い家で、車椅子を使うより家族が抱きかかえて移動しなくてはなりません。

他にも転倒や踏切での立ち往生、駐車車両の陰から見えにくいなどのリスクがありました。

「何か良いものはないか」と調べてみましたが、問題点を解決できるようなちょうど良い商品は見つかりませんでした。

アクセスエンジニアリング株式会社のモットーは、「ご要望の品、地球の隅々を、あるか、ないか調べます。ないなら造ります」。

私は「ないなら創るか」と一念発起し、階段を登れる車椅子の開発を決意。

3ヶ月で試作品を作り、実用新案を申請。

2022年2月に大阪で開催された「介護&看護 EXPO」に出展したところ好評を博し、新事業として本格的に開発を始めることができました。

御社のモットー「ないなら造る」、その行動力の源は何でしょうか?

「お客さまの要望に応える」です。

アクセスエンジニアリング株式会社は受託専門商社です。

私たちの仕事は、クライアントから製品の依頼を受けて製造会社に発注し、完成品を届けること。

クライアントが求める製品が市場にない場合は、新たに開発します。

創業してから今日まで、「ないなら造る」の姿勢でクライアントの要望に応えて解決策を提供してきました。

継続的に依頼が来るのも、クライアントとの強い信頼関係を構築してきたからだと自信を持って言えます。

階段昇降型車椅子ロボットが高齢化社会における移動を支援する


※社内の様子

開発中の「movBot® ACE」シリーズについて教えてください。

「movBot® ACE」は階段昇降機能のある車椅子ロボットで、公営住宅用の「Stair」、一般公道用の「Personal」、自動走行配送サービス用の「Atom」の3つの構想があります。

はじめに「Personal」を開発。

展示会に出展したところ、来場者から「日本にはエレベーターのない団地が多数あり、住民の高齢化が進んでいる」と聞きました。

この先、階段昇降が困難になる方が激増するだろうとの予想から、「Stair」の開発に着手しました。

現在、東京都の支援を受けて多摩エリアの団地で実証実験を行っています。

障がい者雇用と介護施設、福祉における車椅子ロボットの可能性


※movBotR OfficeRev1

「movBot® Office」はどのような製品ですか?

「movBot® Office」は座面を昇降できる車椅子ロボットです。車椅子に乗ったままで高所作業できます。販売も開始しています。

企業は40人以上の従業員がいる場合、障がい者を1人以上雇用しなくてはなりません。

企業が下肢障害のある方を雇用する場合、設備面で困難であるケースも多くあります。

「movBot® Office」は座面を昇降できるので、例えば倉庫内でのピッキング作業であれば上段にある商品も難なく手にできます。

利用者の目線の高さを一般の人と同じくらいまで上げられるので、コミュニケーションも図りやすくなるはずです。

「movBot® Nurse」について教えてください。

「movBot® Nurse」は、介護業界の腰痛問題に着目して開発した車椅子ロボットです。

車椅子からベッドへ利用者を移動させる時は、座席をフルフラットにして移乗装置を使うことで介護者は腰に負担をかけずに作業できます。

現在、私たちは「movBot® Nurse」で、既存のシャワートイレを乗車のまま排泄ができるよう改良を進めています。

車椅子にシャワートイレが付いていれば、利用者は車椅子に座って自力で排泄できます。

現時点では基本的な設計はできていますが、より良い製品にするため改良中です。

「movBot®」シリーズの実用化に向けた取り組み


※「movBot®」シリーズの理念が掲げられている

「movBot®」シリーズの実用化に向けて取り組んでいることを教えてください。

「movBot® Nurse」については、「TAISコード」の取得を予定しています。

「TAIS」とは、公益財団法人テクノエイド協会が管理している福祉用具情報システムのこと。

認定を受けると、適切な価格で製品を貸し出しできるようになります。

「movBot® Nurse」は施設向けに開発していた製品ですが、「自宅用も欲しい」との希望があるため在宅用の開発も進めています。

「TAIS」に登録することで、在宅介護でも気軽に「movBot® Nurse」を利用できる環境を整えたいと考えています。

「movBot® ACE」については、2025年内の実用化を目指しています。

流通ルートの確保は、どのようにしていますか?

流通ルートの確保は課題の1つです。

今は「売る時代」ではなく「買う時代」だと考えています。

情報があふれている現代では、消費者は多くの情報を吟味した上で「良い」と思うものを選んで購入します。

私たちも、SNSやYouTubeで顧客の購入意欲を刺激するような情報発信をしていかなくてはならないと感じています。

誰もが自由にどこでも移動できる未来を「movBot®」が造る


※「さがみはらSDGsパートナー」に登録

流通ルートの確保以外に課題だと感じることはありますか?

開発要員、特にロボットエンジニアの確保です。

現在、明治大学と神奈川工科大学の協力を得て開発を進めていますが、開発要員が少人数のため、要員の増強が急務となっております。

今後の展望についてお聞かせください。

高齢者や障がい者の人たちが、世界中どこでも介助者の手を借りずに自由に行動できるような世の中にすることです。

私たちは、「movBot®」シリーズを「いままでの電動車椅子で実現できない動き方ができる移動ロボット」にしたいと思っています。

まだ「movBot®」は、未完成な部分を残していますが、既に、オーストラリアを始めとして、アジア、欧州など、世界の市場に足掛かりを作っています。

アクセスエンジニアリング株式会社の考え方はシンプルです。

「お客さまが必要とするものを探し、ないものは自分たちで作る」。

私も年齢を重ねましたが、新しいものを作る情熱は変わりません。

今後も、お客さまが「こんなものがあったらいいな」と思うことを形にし、世界中の人々に届けていきたいです。

今よりさらに良い環境で働けるよう
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