全国制覇を目指したい!屋内で旅行気分を味わいながら運動をできる「テレさんぽ」
公開日:2025.05.17

取材・文:増田洋子
パナソニックエンターテインメント&コミュニケーション株式会社(大阪府守口市)は2024年12月20日、介護・福祉事業者施設、医療施設などを対象に「テレさんぽ」の提供を開始しました。屋内での運動促進と習慣化を目的としたサービスですが、コミュニケーションの活性化にも役立つといいます。
今回は、事業立ち上げに携わった西尾尚子さんと、新城隆二さんにこのサービスの概要から今後の展開まで聞きました。

今回インタビューした方:西尾尚子さん
パナソニックエンターテインメント&コミュニケーション株式会社ソーシャル事業推進室新規マーケティング部部長

今回インタビューした方:新城隆二さん
パナソニックエンターテインメント&コミュニケーション株式会社コミュニケーションネットワーク事業部ソーシャルイノベーション事業推進室新規マーケティング部マーケティング一課主務
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利用者の身体状況に合わせて気軽に運動を取り入れられる
「テレさんぽ」はどのようなサービスですか。

西尾さん:高齢者の運動継続と健康寿命の延伸を目的としたサービスです。日本全国の美しい風景や町並みの動画を眺めながら、足踏み運動をすることができます。足が不自由な方には座位姿勢や、ずり足歩行でご利用いただくことが可能です。
動画は現在、観光地、景勝地を中心に158本あり、1本あたり3~4分程度。歩行者目線で撮影されていることや、足踏みが止まると映像も停止する仕様であることから、外での歩行に近い感覚を提供できます。
動画はインストールされているものだけでなく、導入施設が独自に撮影したものを取り込んでいただき、利用いただくこともできます。
施設から駅までの道のりを撮影し、外でのリハビリのための準備に活用している導入施設もありますね。
利用にはどのようなツールが必要ですか。

新城さん:導入施設にご用意いただくのは、動画を映すテレビやモニターのみ。
「テレさんぽ」のアプリがインストールされた操作用のタブレットと歩行検知用の歩行センサー(スマートフォン)、そしてセンサーを入れるためのポシェットやケーブル類は当社が用意します。設置工事は不要ですので、導入施設の負担は少ないと思います。
さらに、パソコンをご用意いただければ、利用者の利用実績のデータを出力することも可能です。ケアマネージャーや利用者の家族にフィードバックをでき、機能訓練の計画と実績管理にご活用いただけます。
利用を継続しやすくなるために取り入れた工夫をお聞かせください。
西尾さん:一番の工夫は動画ですね。利用者からすると、施設内の壁を見ながら足踏み運動をするよりは、美しい風景や街並みを見ながらの方が、モチベーションが上がるでしょう。動画内にあるインフォメーションのアイコンまで到達いただくと、その景勝地、観光地に関する情報を知ることもできます。
また、コースを達成するごとにスタンプカードにスタンプが溜まり、達成したコースのアイキャッチに「済」のマークが記載されることから、スモールステップを体感しやすいと思います。
導入によって、どのようなメリットがありますでしょうか。
西尾さん:利用者、施設スタッフの両方に共通するのは、気候や個々の身体状況にとらわれず、無理なく運動を取り入れられることです。特に、施設スタッフの立場から考えると、外出時よりは転倒や熱中症のリスクの軽減ができると考えています。
コミュニケーションの促進を期待できるのも、このサービスの一面です。動画を選ぶ過程から利用後まで、利用者間、利用者と施設スタッフとの間に「ここに行ってみたかった」「新婚旅行で訪れた」といったような会話が弾むこともあります。
高齢者向けのUI設計に苦戦
開発の背景についてお聞かせください。

西尾さん:開発のきっかけはコロナ禍でした。自宅での運動を提供することを目的に、一般向けに開発をスタート。観光誘致に活用するというビジネスモデルを検討し、観光関連の展示会に出展しました。ここでのヒアリングを行っているうちに、旅行に行けない高齢者にご利用いただいた方が、より心に響くサービスになると考えるようになりました。そこで、グループ企業であり、介護福祉施設を運営するパナソニックエイジフリー株式会社での実証実験を経て、サービス提供を開始しました。
コースはどのような基準で選定しましたか。
新城さん:動画は全て「テレさんぽ」用に撮影しました。コースの選定は、商用に利用することから、まずは許可が取れる場所であることが前提になっています。さらにその中から、展示会や実証実験の過程でのヒアリングを参考に選んでいます。
開発において苦労をしたことをお聞かせください。
西尾さん:大きく2つあります。1つは、高齢者の利用を想定したUIについて。「パナソニック」と聞くと、多くの方が家電をイメージされると思います。
当社は特にAV機器を利用したサービスを展開しており、高齢者層でも使いやすいUIの知見は持っていましたが、それでもタブレットを操作することは、高齢者層には難しいことが分かりました。
そこで、直感的に選べるように、できる限りわかりやすいアイコンを採用。何度も繰り返して作り直しては検証を重ね、現在のアイコンと操作性にたどり着きました。とにかくシンプルにすることを心がけました。
もう1つが、歩行検知用のスマートフォンを入れるポシェットです。実は、最初の案はウエストポーチでした。しかし、ウエストポーチは、着け外しの方法がわからない方がいる、サイズの調整が難しいなどのデメリットがありました。
一方でポシェットであれば、肩に掛けるだけで済みます。また、ずり足や座位でも振動を検知しやすいということがあり、最終的にポシェットを採用しました。
「テレさんぽ」の利用に前向きな声が
利用者、施設スタッフからはどのような声が上がっていますか。
西尾さん:利用者からは「楽しく運動できている」「『今日はどこ行こうかな?』と歩くのを楽しみにしながら施設に来ている」などのお声をいただいており、非常に前向きに運動をしていただけていると感じています。
施設スタッフからは「手間を掛けていないにもかかわらず、利用者に前向きに運動をしていただける」「利用者間、利用者と施設スタッフ間での会話が増えた」などの声があり、とてもうれしく思います。
今後のコース、機能の追加実装の予定はありますでしょうか。
西尾さん:四半期に一度、顧客からのフィードバックを元にしたアップデートを予定しています。アップデートの内容は2つあり、1つは動画の充足です。日本は四季がありますので、それに合わせた景勝地、観光地の動画を追加していきたいと考えています。
また、海外の動画を加えてほしいというご要望も非常に多くいただいています。いずれは追加したいという思いはありますので、期待してお待ちください。
もう1つはUIやユーザビリティの改善です。参考までに挙げると、2025年4月度のアップデートでは、新しく追加したコースのアイキャッチに「新」、達成したコースのアイキャッチに「済」のマークが記載されるようになりました。
AV機器と関連したエンターテイメントの提供を得意とする当社は、この高齢化社会において、介護の現場にエンターテイメントを提供することで健康寿命の延伸や介護現場の負担軽減に寄与したいと考えています。動画は無料の動画サイトでも確認できます。気になった方は、まずは一度ご覧ください。
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