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第20回日本代表チームのメディカルスタッフとして金メダルを目指す

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理学療法の専門知識と競技に関わってきた経験を買われ、協会のメディカルスタッフとして日本代表チームに携わることになった阿部良平さん。フィジカルコーチらとも情報を共有しながら、選手のコンディションを整えます。視覚障害のあるアスリートの弱点は「回旋運動」。身体をひねる動作が身につきにくいためパワーが出せず、けがのリスクも高くなっていました。

メディカルスタッフとして選手のコンディションを整える


選手のコンディションを見る阿部さん ⓒJBFA

前回はプレーヤーとしてブラインドサッカーをどんな風にしているかを説明しましたが、今回はメディカルスタッフとしての役割をご紹介します。
日本代表チームのメディカルスタッフとしては、試合や代表合宿でけが人の対応をしています。打撲や顔など、激しい接触プレーによるけがもあります。歯が欠けてしまうことや、頬骨の骨折もありました。また、夜間や練習の合間には各選手のコンディショニングも担当しています。痛みや違和感のある部分を確認して処置することも、メディカルスタッフの役割です。
けがの処置などがないときは練習全体のサポートをしています。生活で必要な動作の大部分は自立している選手たちですが、慣れない合宿地ではサポートが必要な場面もあるからです。
 
トレーニングはフィジカルコーチが担当しています。日常的に選手が自分でストレッチする習慣づくりに取り組み、その成果として、筋肉のけががとても少なくなりました。このごろ目立つのは、疲労が原因のけがや接触プレーで足首を捻挫するなど、外因的なトラブルです。
 
フィジカルとメディカルの役割分担はしていますが、選手のコンディションや要望など気になる点はスタッフ同士で共有するようにしています。

視覚障害者が苦手としている「ひねり動作」を改善する

運動を観察していると、視覚障害のある選手たちは「ひねり動作」が少ないと感じます。特に先天性障害のある選手ほど少ないです。
サッカーボールを蹴る動きもひねる動作です。ひねり動作ができず可動域が狭くなると、ボールや地面に強いパワーを与えられなかったり、コースの蹴り分けがしにくくなります。
 
視覚障害者は基本的に自分の身体の正面で物事を行います。見えていないため、状態を把握できている範囲の外には手を伸ばすことは少なく感じます。視覚が使えると、手が届きそうな少し離れた場所のものを取ろうとして身体をひねりながら手を遠くに伸ばすこともありますが、彼らにはそうした運動があまりみられません。
 
白杖を使っていることも影響があると思います。人間は歩行するとき腕を振ります。そのとき手と足を交互に出すことで「身体のねじれ」が生じるわけです。歩行速度があがると回旋も強くなります。ところが白杖を持つ手を前に伸ばしたまま歩くことや見えないことや見えないことで必然的に歩くスピードが落ちやすいため、回旋運動が少なくなりがちです。このように、日常の歩行でついた動作のくせがプレー中にも影響していると思います。
 
人間の身体は「ひねる」回旋運動によって、かかる力を逃がすことができます。そのため、ひねり動作が少ないと故障も増えるのです。こうした点にも注意しながら選手のコンディショニングを行っています。
(次回はプロとして活躍するブラインドサッカーブラジルチームと、チームの理学療法士についてお伝えします)

安藤啓一

安藤啓一(あんどう けいいち)

福祉ジャーナリスト。大学在学中からフリー記者として活動を始める。1996年アトランタパラリンピックをきっかけに障害者スポーツの取材をはじめる。夏冬パラリンピックや国内大会を多数取材。パラリンピック関係者に読み継がれている障害者スポーツマガジン「アクティブジャパン」「パラリンピックマガジン」記者などを経験。日本障がい者スポーツ協会発行誌『No Limit』などの媒体にも寄稿している。取材活動のほかチェアスキー教室講師としてもスポーツに取り組んできた。共著に「みんなで楽しむ!障害者スポーツ」(学習研究社)がある。


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