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日本病院会 相澤孝夫会長 セラピストプラススペシャル 日本病院会 相澤孝夫会長

vol.16

病院経営から見た療法士(セラピスト)日本病院会 相澤孝夫会長

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 病床機能報告制度、地域医療ビジョン、地域包括ケア計画――いま、日本の病院は医療制度改革という大きなうねりの中にあります。これからの病院、リハビリテ-ション部門はどうあるべきか、セラピストには何が求められるのか。
全国2483の会員施設をまとめる、日本最大の病院団体である日本病院会。その第12代会長である相澤孝夫さんのお話を4回にわたってお届けします。

所属:2019年4月現在

病院にはマネジメントが必要

日本が終戦後の混乱期からようやく活気を取り戻し始めた1951年に、日本病院会は発足しました。それから今日まで68年にわたって医の倫理の確立と病院医療の質の向上を目的に活動を続けています。国に対する要望や政策の提言や「日本病院学会」「日本診療情報管理学会」などの学会の開催、医療安全管理者、診療情報管理士などの人材育成を通じて病院の経営支援にも取り組んでいます。

――このように多岐にわたる活動のなかで、最も注力していきたいことは何ですか?

「発足当時からの目標である医療の質、病院の質を追求し、高めていくことは今後ももちろん必要です。しかし、病院経営が健全で継続できなければ意味がなくなってしまいます。そこで、病院経営を継続できるように担保する方法論として“マネジメント”が必要なのです。病院は多職種から成る大勢のスタッフが集まって医療を行う組織であり、一人だけでできるものではありません。必然的に組織の運営をきちんとしないとうまくいきません。病院という組織がそれぞれの地域で機能を発揮するために、マネジメントをしっかり行って医療を継続的に成り立たせていく。日本の病院にとって重要なのはその点であり、日本病院会の活動は経営支援につきると私は考えています。たとえば病院で働くセラピストが組織人としてどうあるべきなのかということや、リハビリテ-ション部門がセラピストの人たちをいかにマネジメントしつつ、病院の一部門として継続的に機能していくのか、ということです」

「マネジメント」とは、「経営」「管理」などの意。組織の目標を設定し、経営資源を効率的に活用したり、リスク管理を行ったりしながら目標達成を目指す一連の活動を言います。この概念の生みの親は「現代経営学の父」と呼ばれるピーター・ドラッカー博士。アニメにもなった「もしドラ」、「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」のあのドラッカーです。

組織人であるという意識をもつ

日本病院会会長室。歴代会長の写真が並ぶ中で執務をする。

マネジメントという視点に立つと、病院という組織のあり方以前に一人ひとりの療法士や医療職にも課題があると相澤会長は指摘します。

「セラピストも含めて医療職はどうしても専門技術の向上を追求します。しかし、組織人として組織の中でうまく自分を活かし、自分自身を育てながら組織に貢献することはまだまだできていません。というのは、病院には組織での行動の仕方を知らない人、組織人としては未熟な人が多いと感じています。たとえば、あるセラピストが自分の部署でうまくいかないことがある。どうしてだろう?と悩み、自分の直属のグループ長にも話してみた。しかしどうしてもうまく話がまとまらず解決しない。そんなときに、横のつながりで職場の友達に相談してしまってはだめです。組織人としての原則は、問題を上長にあげること。つまり、グループ長と話して解決しなければその上の部門長に話し、それでもうまく行かなければ院長に話す。横のつながりで同僚と愚痴を言いあっていても、部署にとっては何の問題解決にもなりません」

――そのような状況を変えるためにはまず何をすれば良いのでしょうか。

「まず現場の若い医療職に“組織人として”働くとはどういうことかを教えることができる現場のトップ、中間管理職を育てる必要があります。その人たちが自分の部署のスタッフにオン・ザ・ジョブ・トレーニングで教えていく。一部は教科書で学べる部分もあるかもしれませんが、セラピスト自身が体験し失敗しつつ成長していく過程が大事なのです。しかし、このような人材育成の意識がきわめて薄いのが医療界であり、病院という組織のこれまでの特徴だと思います」

――病院のリハビリテーション部門のあり方はどうお考えですか。

「リハビリテ-ション部門は理学療法、作業療法、言語聴覚療法というカテゴリーが分かれている上、脳卒中リハ、運動器疾患リハ、呼吸器リハ、心臓リハといった疾病ごとのリハビリに専門分化しています。その一方で急性期、回復期、生活期のリハビリという病期によるリハビリがある、きわめて複雑な構造になっています。セラピスト個々人の能力を高めることはもちろん大切ですが、マネジメントという視点が欠けていると、『リハビリ部門はスタッフが多すぎて、人件費ばかりかかって収入は上がらない』ということが起こりがちです。病院のトップやリハビリ部門長にはこれを組織としてマネジメントしつつ、かつ個々人の能力を上げ、ひいては理学療法士・作業療法士・言語聴覚士自身が『この病院で働いていてよかった』と思える環境を作っていくことが求められている。これはものすごく難しいことなのです」

自分自身をマネジメントする

――マネジメントという視点は、ひいては医療の質、病院の質、経営の質につながると言えそうです。

「もちろんそうです。病院を支えるのは人ですから。働く人がそれぞれ活躍して初めて医療はうまくいくものです。皆がばらばらの方向を向き勝手にやっていたのでは組織としてのパワーは出ません。組織として行動していくためには、まずそこにマネージャーが必要ですし、マネージャーに教わってスタッフが成長し次のマネージャーになっていくというシステムが必要です。
たとえばいまや、患者さんにリハビリを提供するときにはチームアプローチが不可欠です。医療チームも小さな組織であり、そこで自分がどういう仕事を担っていくかということを考えていく。マネジメントはまずそこから始めて、次は部署、部門。さらには病院全体というように考える範囲をだんだんと広げていけばよいのです」

相澤会長はさらに、リハビリ療法士に向けてこんなお話もされました。

「セラピストにとってさらにもっと大事なことは、自分自身のマネジメントをすることです。私はよく『自己経営ができてこそプロだ』と言っています。その基本は、自分という人間がこの病院で働くために何ができ、何が不足していてどこを強化しなければいけないか、自分の強みをさらに強くしていくためには何をすればよいかということを自分自身でわかること。それによって自己経営ができます。知識が足りなければどこかに行って勉強してくることは個人個人の自由であり、病院に強制されて『勉強してこい』と言われるまでもなく自発的にきちんとできるのがプロ。私はそう思っています」

次回は、地域包括ケアシステムの時代に求められる病院とリハビリテーションのあり方についてうかがいます。

相澤孝夫(あいざわ たかお)一般社団法人日本病院会会長

相澤孝夫(あいざわ たかお)
一般社団法人日本病院会会長

1973年
東京慈恵会医科大学卒業
1973年
信州大学医学部附属病院
1981年
特定医療法人慈泉会相澤病院 副院長
1988年
社会福祉法人恵清会 理事長
1994年
社会医療法人慈泉会相澤病院 理事長・院長
2008年
社会医療法人財団慈泉会相澤病院 理事長・院長
2017年
社会医療法人財団慈泉会理事長 相澤病院最高経営責任者(現職)
2017年
一般社団法人日本病院会会長(現職)

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