「なんとなく」ではなく、正しい「尊敬語」をマスターしましょう!【第10回】
公開日:2017.08.21 更新日:2023.03.30
文:村尾 孝子
薬剤師/医療接遇コミュニケーションコンサルタント
「ご」「お」をつけるだけで尊敬語になる言葉
尊敬語は、相手または第三者の行為、物事、状態などについてその人をたてる言葉です。セラピストの皆さんにとっては先輩や医師はもちろん、患者さんやそのご家族に対して使う言葉でもあるでしょう。
尊敬語には2つのパターンがあります。1つは「お(ご)~になる」「お(ご)~くださる」というような一般的な言いまわしのパターンで、こちらは日常的に使っている方も多いと思います。
例
「お(ご)~になる・なさる」
↓
「もうすぐこちらにお越しになります」
「お(ご)~くださる」
↓
「もうすぐこちらにお越しくださいます」
「~てくださる」
↓
「もうすぐこちらに来てくださいます」
「~れる・られる」
↓
「もうすぐこちらに来られます」

ただし、どのような言葉にも「ご」「お」をつければいいというわけではありません。なかには「ご」「お」をつけるとおかしな表現になってしまう言葉もあります。例えば「こちらに座ってください」に「お」をつけた場合。「こちらにお座りください」と言ってしまいそうになりますが、文法上間違っていなくても、見下したり命令したりする表現と受けとめる人もいますから注意が必要です。より丁寧な表現としては、「座る」を「掛ける」に変えて「こちらにお掛け(になって)ください」と言うのが適切です。
バリエーション豊富な「尊敬語の言いまわし」
尊敬語の2つめは「する→なさる」「言う→おっしゃる」といった、尊敬語ならではの特殊な言いまわしです。バリエーションが豊富なので、できるだけ多くの言葉を身につけ、状況に応じて使い分けられるようになるといいでしょう。下記に一部の例を挙げてみます。
例
「こちらの書類は見ましたか?」
↓
「こちらの書類はご覧になりましたか?」
「昼食は食べましたか?」
↓
「昼食は召し上がりましたか?」
「リハビリの時間が変更になったのを知っていますか?」
↓
「リハビリの時間が変更になったのをご存知ですか?」
このほかにも「来る→見える、いらっしゃる」「与える→くださる」などがあります。
難しいイメージが先行しがちな尊敬語ですが、こうした言いまわしを覚えておくことで、自信をもって患者さんと会話ができると思います。患者さんはもちろん、医師や職場の先輩との対話でもよく使う言いまわしから覚えて、気持ちよく話ができるセラピストを目指しましょう!

村尾 孝子(むらお たかこ)
薬剤師、医療接遇コミュニケーションコンサルタント。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: https://smilegrdn.exblog.jp/
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