その人のイメージを左右してしまう「口癖と話し方」【第19回】
公開日:2018.04.06 更新日:2023.05.09
文:村尾 孝子
薬剤師/医療接遇コミュニケーションコンサルタント
院内では常にオフィシャルな場にふさわしい話し方を
前回は身体の癖についてお伝えしましたが、今回は口癖について考えてみたいと思います。口癖は身体の癖以上に気づきやすく、また印象にも残りやすいのでその人のイメージを決定づけてしまう点で注意が必要です。
まず、患者さんに赤ちゃん言葉で話しかける人がいますが、親しみではなく上から目線の表れとして様々な施設で苦情が寄せられています。患者さんを敬う気持ちがあれば絶対に出てこないはずなので、心当たりがある人はすぐに改めましょう。
気を付けたいのが「そうなんですよ~」「おはようございま~す」など、語尾や言葉の一部を伸ばす話し方。学生気分が抜けておらず、友達感覚で話している印象です。よほど長く担当していて仲がいい患者さんで、患者さん自身もそうした話し方をするのであれば許されるケースもあるでしょう。しかし、こうした語尾伸ばしは多くの場合癖になってしまっていて、誰に対しても同じように語尾を伸ばしてしまっているもの。相手と状況に応じてきちんと使い分けられているのであれば別ですが、使い分けができていないならすべて直した方がいいでしょう。
もちろん、「マジで!?」「ヤバい」「~じゃね?」など、若者言葉は言語道断。まさかと思うかもしれませんが、口癖になっていると、話が弾んだ時などについつい出てしまっているものです。
スタッフ同士の会話も、気を付けたいところです。同期などで仲がいい人と話す場合は、ついつい友達のノリで砕けた話し方をしてしまいがちです。しかし、病院およびその周辺も含めて、セラピストにとってはオフィシャルな場。どこで誰が聞いているか分からないので、勤務中および通勤時間も含めて医療人であるという自覚を持ち、丁寧な言葉を使ってほしいところです。
また、患者さんの前で他のスタッフに声をかける際に「〇〇ちゃん」などとあだ名で呼ぶのも基本的にはNGです。アットホームでフレンドリーな雰囲気を出すために病院として積極的に推奨しているのであれば別ですが、基本的には普段、どんなに仲が良くても患者さんの前では「〇〇さん」と名字+さん付けで呼びましょう。
あいづち上手はコミュニケーション上手
会話でもう一つ気を付けたいのが「あいづち」です。あいづちは、相手の話の流れに合わせたタイミングと言葉の両方がかみ合っていることが大切です。「はいはい」「うんうん」など、同じ言葉を繰り返しているだけだと、相手は「適当にあいづちを打っている」「本当に聞いているのか」と不愉快に思います。時折、小刻みに首を振りながらずっと「うんうんうん…」とあいづちを打っている人がいますが、これはマナー違反。嫌う人も多いので、やってしまっている人はぜひ直しましょう。
あいづちのコツは同じ言葉を繰り返さないこと。「そうでしたか」「それからどうしたんですか?」「大変でしたね」など、相手の話に合わせた言葉をタイミングよく挟むことで「ちゃんと聞いていますよ」「もっと聞かせてくださいね」という気持ちを伝えることができます。あいづちは上手く使うと会話が弾み、相手との距離をぐっと縮める潤滑油になりますので、ぜひあいづち上手になれるよう練習してみてください。まわりにいる人であいづちが上手な人がいたら観察してみるといいと思います。
ちなみに「なるほど」というあいづちは、本来は目上の人が目下の人に使う言葉。今ではかなりあいまいになっていますが、高齢の方などは正しい使い方を知っている場合も考えられます。患者さんや目上の方には「そうでしたか」など他の言葉を使うようにしましょう。
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村尾 孝子(むらお たかこ)
薬剤師、医療接遇コミュニケーションコンサルタント。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: https://smilegrdn.exblog.jp/
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