作業療法士(OT)が転職で失敗しないために大切なこと

更新日 2024年02月22日 公開日 2019年05月31日

#情報収集 #転職検討/準備

作業療法士の転職理由には、年収や待遇のほかに「家庭と両立できる働き方をしたい」という理由も多いです。しかし、転職を通して希望が実現している方と、そうではない方がいることも事実です。いったい何が、転職成功と転職失敗を分けているのでしょうか?
作業療法士がうまく転職活動をするためには、いくつかのポイントがあり、それらをきちんと押さえているかによって、結果は変わってきます。

ここでは、作業療法士の転職について、転職失敗の典型的なパターンや実際の事例とともに、転職に失敗しないために押さえておきたい3つのポイントや注意点を現役キャリアアドバイザーがご説明します。

1. 作業療法士が転職で失敗しがちなパターン

作業療法士が転職を失敗するときのパターンは、おもに2つあります。それぞれ詳しく見てみましょう。

入職してみたら事前に聞いていた条件と違う

作業療法士が転職で失敗しがちなパターンとして、「給与や待遇が入職前に聞いていたのと違った」といった「条件相違」が挙げられます。条件相違で特に多いケースには、次の3つが挙げられます。

・年収が提示されていた金額よりも少ない
年収条件などが文書で示されず、口約束のみで交わされた場合に起こりがちです。
その法人では口頭での条件提示が慣例であるといわれた場合にも、条件は書面化してもらえるようにお願いしてみたほうが良いでしょう。

・配属先が事前に聞いていたものと違う
病院や施設では、配属先が確定した上での雇用がほとんどですが、大手施設では「希望は聞くが、絶対に叶えられるとは限らない」といったところもあります。雇用条件通知書などで、しっかり確認しましょう。
また、勤務地は固定なのか、それとも転勤などで将来変わる可能性があるのかもしっかり確認した上で、転職するか否かを決める必要があります。

・「勉強できる環境」「残業はほとんどない」といわれていたがギャップがある
採用段階では、外部の勉強会に出席する際は費用を負担してくれる、有給休暇が使える、業務時間に換算できるなどと聞いていたのに、約束が果たされないというトラブルも、口約束のみで取り決めがなされた場合に起こりがちです。
また、意図的に雇用先が嘘をついていたわけでなくとも、「残業はほとんどない」や、「少ない」と伝えられて、月に2~3時間ほどかと考えていても、採用担当者にとっては月20時間の残業だから少ないと捉えている可能性もあります。「少ない・ほとんどない」という認識は、人によって異なり、ギャップを生み出しやすい事柄です。
年収や配属先、勉強会の取り扱い、残業の平均時間数など、条件面の相違を防ぐには、遠慮して内容を曖昧にせず、面接時に数字を含めてきちんと確認しておくことが大切です。

仕事内容が自分の希望した条件と違う

入職した職場や施設の目指すリハビリの内容や方針、方向性などが、自分の希望している仕事内容とずれているという転職失敗パターンもあります。具体的には、次のようなケースが挙げられます。

・作業療法士としての専門性を活かすリハビリテーションが十分にできない
例えば、認知機能や精神分野に興味があり、認知症や精神状態にアプローチするようなケアがしたいと考えて転職しても、選んだ業態によっては想像していたリハビリと異なる可能性があります。個別の作業活動ができると思っていたけれど、集団訓練でしか利用者を対応することができなかった、リハビリテーションではなくケアしかできない、など多くあるケースです。
また、介護老人保健施設やデイサービス等で起こりやすいケースは、理学療法士と仕事内容の差別化がないケース、機能訓練指導員としての役割のみになってしまっているケースがあげられます。そういった環境ですと、作業療法士の方が思われるのは、作業療法士の専門性を生かせない、生活に寄り添ったリハビリテーションができていないと感じられ入職後のギャップにつながりやすいです。

・精神分野でも詳細な違いがあると気付かなかった
希望した精神系の病院に入社したけれども、対応している科目の違いによってやりたいリハビリテーションができないケースもあります。例えば、「精神病院だと思い入社したけれども、病棟では認知症の患者さんがほとんどだった」や、精神病院の中でも統合失調症やうつ病、アルコール依存症など中心となる患者さんの割合は異なります。
また、患者さんの状態に対して、「治すリハビリ」がやりたいのか、それとも「機能が向上しなくとも、日々の生活の楽しさを生み出す活動を提供したいのか」によっても病院や施設の選択肢は異なります。
そのため、面接時にどんな患者層が多いのか、想定しているリハビリテーションのゴールを具体的に質問することが必要です。

・「精神分野は体力的に楽」だと思っていたら、実際はそうでもなかった
精神分野は残業が少ない、単位にしばられていなそう、身体的に楽などのイメージから、精神分野への転職を希望する人もいます。
しかし実際のところは、認知症患者さんには想像以上の介助量が求められることもありますし、急に走り出してしまう患者さんを対応しなくていけないなどハードな一面もあります。
また、単位数によって経営が成り立つ病院ですので、こなすべき単位数はしっかり設定されていますので注意が必要です。

2. 転職を成功させるために大切な3つのポイント

「入ってみたら思っていた条件と違った」という転職失敗を防ぐには、自分が求める条件を明確にすることと、やりたいことに合った施設を選ぶことが重要です。
そのためのポイントは以下の3つです。

自分は何をやりたいのかをしっかり定める

職場を選ぶときに一番大切になるポイントは、「自分は何がしたいのか」です。「自分が患者さんに提供したいものは何なのか」「何をしているときに楽しさを感じるのか」「どんなゴールを設定したいのか」「患者さんとどんな関係性を築いていくのが楽しいのか」「どんな風に働きたいのか」といったことを掘り下げるといいでしょう。
自分のやりたいことや譲れない条件がわかったら、それが叶えられるのはどんな業態や施設なのかを考えてみてください。

必ず3、4施設に応募し、比較検討した上で選ぶ

転職をすることで、「自分の希望が100%叶う」ことはほぼありえません。しかし、施設によって条件は異なりますので、自分の希望に近い条件で働けそうな施設が見つかるまで、きちんと調べて比較することが大切です。多少希望と合わない部分があったとしても、自分が大切だと思うポイントが満たされているのなら、検討リストに加えていきましょう。
いいなと思ったところの3、4カ所に応募し、面接・見学に行くことをおすすめします。比較対象があることで、それぞれの特徴がわかりやすくなり、自分に合った職場を選ぶことができます。
また、特に精神・認知症分野や、小児関係は求人の数は少なく、希望する方が多い分野です。さらに、増員募集をかけることが少なくほとんどが欠員での募集となります。そのため、募集があるタイミングでチャレンジをする必要があります。

欲しい情報を明確にし、数字を使って情報を集める

面接の場で「実際のところ、どんな施設なのか」を知るには、具体的に数字を使って確認するといいでしょう。
例えば、訪問看護ステーションなら、資本金や案件数、訪問スタッフは1日何件回っているかなどを質問することで、およそどれぐらいの収益を上げているか推測でき、「提示している給与は高いが、実際は支払いができないかも」など、不自然な点に気付く手掛かりになります。
クリニックなら、訪れる患者さんの総数や外来人数、リハビリを利用する割合などを聞いておけば、おおよその経営状態を知ることができますし、どんな疾患の方が多いのか、どれぐらいの忙しさなのかというイメージを持つこともできます。

「残業はどのぐらいありますか?」と聞いて、「ない」という返事が返ってきたとしても、本当にまったくないのか、「月10時間程度はあるけれど、ほぼなしという意味で”なし”」なのかまではわかりません。
「皆さん、平均何時間ぐらい残業されているのですか?」「1日平均、何単位を診ているのですか?」など、実態がわかる具体的な質問をするのがおすすめです。

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3. 作業療法士の転職失敗実例

作業療法士が転職に失敗した実例を、その原因とともにご紹介します。

思ったよりも残業が多かった

介護老人保健施設(老健)に転職した女性作業療法士の方の実例です。
見学時の雰囲気が良かったことと、「老健はあまり忙しくない」と考えて転職したのですが、最近の老健は、施設によっては急性期病院並みの忙しさになっているのが現状です。2018年度の介護報酬改定により、在宅強化型施設への介護報酬上の評価が高まることとなり、多くの施設で対応を進めているためです。
この施設も例外ではなく、入職後、予想外の残業の多さに「こんなはずじゃなかった」と感じることになってしまいました。

このケースの場合、業務内容や条件についてしっかり確認することをせず、職場の雰囲気重視で決めてしまったことが、入職後のずれの原因となっています。
入所リハビリ、通所リハビリの双方で、それぞれ1日に何人の利用者さんを対応するのか事前に確認しておけば、忙しさを予測することはできたと考えられます。

作業療法士の採用は、現場のリハビリ長や事務長が担当していることが多く、選ぶ側も「この人はうちのカラーに合いそう」「うちのリハ室に合いそう」など、フィーリングや人柄を重視しがちです。選ばれる側も、「雰囲気が良さそう」といった印象で決めてしまうことがあるでしょう。
雰囲気だけで職場を選んでしまうと、後で「思っていたのと違った」ということになりかねません。1つの施設しか見ていないと比較対象がないため、合理的な判断ができませんから、必ず3、4ヵ所の施設に応募し、給与や残業時間、リハビリ方針などについても比較・検討した上で職場を選んでください。

4. 作業療法士が転職するときの注意点

作業療法士が転職を成功させる上で、注意しておきたい点についてまとめました。

転職活動は在職中に

在職中に活動を始め、転職先が決まった時点で直属の上司に報告し、引継ぎもしっかり終わらせてから、新しい職場に移りましょう。
新しい職場での内定を得るよりも先に退職してしまうと、「計画性がないのでは?」「急に辞めなければいけない事情があったのか?」など、不利な評価につながりやすいので、避けるのが無難です。
経験年数については、3年以上の実務経歴があれば「勉強している」「一人前」との評価につながる一方、1年未満の場合は、ほぼ確実に理由を聞かれます。たとえ1日で辞めても、その企業や施設に在籍したという事実は残りますし、職歴にも数えられてしまい、次に転職した企業も保険を介して把握できるので、将来のキャリアを考える上でも、職場は慎重に選ぶ必要があるといえます。

不採用の理由が自分だけにあったとは限らない

作業療法士の転職において、採用不合格は応募者のせいだけとは限りません。応募施設の人員の状況や年代構成、その他の事情も合否に大きく関わっています。
「ベテランが退職する代わりの採用だから、10年以上の経験がある人がいい」「今は新人を教える余裕がないから、即戦力になる人を取りたい」などです。
なお、個人で応募した場合、通常、不合格の理由は教えてもらえませんが、転職エージェントを利用している場合は、そういった事情を含めたフィードバックを受けられます。

5. 作業療法士の転職はエージェントをうまく利用しよう

自分のやりたいことを明確にし、それを実現できる職場を探し、複数の候補を比較して自分に合ったところを選ぶ…といっても、情報の集め方やどの条件を優先すべきかといった整理の仕方、効果的な質問の仕方など、わからないことはたくさんあると思います。だからこそ、転職エージェントを利用して転職するメリットはあると思います。
マイナビコメディカルには、作業療法士の方を徹底サポートする専任のキャリアアドバイザーがおりますので、ぜひ一度ご相談ください。皆様の転職成功のために、全力でサポートさせていただきます。

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プロフィール

塩本美菜海

マイナビコメディカル 
キャリアアドバイザー

首都圏を中心に、甲信越・北海道を含めた東日本エリアでの紹介事業実績があり、20代~60代の転職だけでなく、学生の就職サポートも成功させている。過去300社以上の法人の採用支援も行っており、双方の目線・ニーズを把握し転職市場の円滑化を行う。
趣味は漫画・スノボ・岩盤浴。比較的穏やかに過ごすことが多い。

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