理学療法士(PT)を辞めたいと思ったときに考えるべきこと

最終更新日:2019年2月14日

身体機能回復のプロフェッショナルとして、数多くの患者さんの役に立てる理学療法士は、大きな魅力とやりがいがある職業です。しかし、どんな職業においても、理想と現実がピタリと重なるのは難しいもの。そのずれから、「理学療法士を辞めたい」「他の仕事に転職したい」と考える方も、決して少なくはありません。
ただし、「理学療法士を辞めてほかの仕事に就くしかない」と思っていたとしても、実は職場を変えるだけで問題が解決する場合もたくさんあります。ここでは、理学療法士の仕事を辞めたくなる理由と「辞めたい」と思ったときにはどうすればいいのかをご紹介いたします。

1.理学療法士が「辞めたい」と思う理由

「仕事を辞めたい…」と思うことは、理学療法士に限った話ではありません。ただし、「誰かの役に立ちたいから」と医療の道を選び、数年間養成校に通って国家資格を取得した理学療法士が「辞めたい」と思うようになるには、やはり、それだけ大きな事情があります。
理学療法士が辞めたいと思う理由としては、主に次のようなものが挙げられます。

思い描く医療ができない

「実際の仕事内容はほぼ介護で、リハビリに携わらせてもらえない」「もう少しやればこの患者さんは回復するとわかっているのに、病院の制度上、十分なリハビリをしてあげられない」「大学病院に就職したが、三次救急がメインで長期的にリハビリができない」といった、自分が思い描く医療ができないといった場合です。

ノルマに追われてばかり

特に、社会人経験を経て理学療法士になった方が理学療法士を辞めたいという理由として多いのが、このノルマです。「売上を気にせず、人の役に立つことだけを考えられる仕事だと思って理学療法士になったのに、結局、『単位』というノルマに追われて仕事をしているだけ。これでは、一般職として働いていたころと変わらない」という声が聞かれます。

理学療法士としてやっていく自信がなくなった

理学療法士は、常に最先端の医療知識や技術を学ぶことを求められる職業です。しかし、職場によっては、指導者がいなかったり、勉強の機会をあまりもらえなかったりといったこともあります。そのため、養成校時代の同期などと自分を比較して「みんなはここまで進んでいるのに、自分は全然勉強できていない」と感じ、理学療法士としてやっていく自信を失ってしまうといったケースです。

給与や待遇が不十分

厚生労働省「平成29年賃金構造基本統計調査」によると、理学療法士の平均年収は約404万円です。これは、医療系の中では高いほうとはいえず、また、場合によっては夜勤をこなす介護福祉士のほうが、月収が高いこともあります。「これであれば、一般企業で働いたほうが多くの収入が得られるのでは」と考えて、転職を選ぶといったケースです。

以上が、理学療法士を辞めたいというとき、主に聞かれる理由です。ここに挙げたような理由で、ほかの職業に転職しようと考える方は実際にいらっしゃいます。しかし、これらの問題は、本当に理学療法士そのものを辞めるまでのことなのでしょうか。私は、働いている職場や働き方を見直すことで、問題解決は可能だと考えます。

2. 理学療法士の働く場所

理学療法士が辞めたいと思うさまざまな理由を解決することができる職場はあります。以下に、理学療法士の職場となる主な施設と、その特徴についてご紹介します。

総合病院

多くの理学療法士が最初の職場として選ぶ場所が総合病院です。「治療」に特化した機関であり、リハビリ計画や医師の指示もあるので、何をすべきかがはっきりしています。病院で働きながら基本の技術を習得し、さまざまな患者に関わる中で、自分が興味のある分野や、やりたいことを考えて将来の方向性を定め、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などに転職するのが一般的です。また、給与はほかの職場に比べて低く、勉強会などで残業が多くなってしまう傾向があります。

特別養護老人ホーム

特別養護老人ホームは、在宅での生活が困難になった、要介護の高齢者が生活するための公的施設のひとつです。ベッドサイドリハビリテーションが中心なので、仕事内容としては簡単なものが多く、リハビリの効果を実感できる機会は少ないという特徴があります。一方で、終末期までしっかり関わりたいという方が選ぶことが多い職場です。

有料老人ホーム

有料老人ホームは、必要に応じて介護サービスを提供する民間の高齢者居住施設です。「患者さんに医療を提供する」のではなく「お客様にサービスを提供する」という意識で運営されていることが多く、自分が行うサービスでお客様を満足させたいと考えている方に向いています。

介護老人保健施設

介護老人保健施設は、3~6ヵ月での退去を前提に、リハビリをして在宅復帰を目指すための施設です。将来は在宅分野に進みたい方や、病院では見られなかった急性期後の回復に関わりたい方が選ぶ傾向があります。特に、在宅復帰に力を入れた強化型介護老人保健施設もあり、積極的にリハビリに関わっていきたい方はこちらを選ぶことが多いです。

デイサービス

デイサービスは、日帰りで介護サービスを提供する施設です。理学療法士としてリハビリを行う機会は少なく、機能訓練指導員の一人として、レクリエーションや介護分野のサービスを行うのが中心となります。

整形外科クリニック

整形外科分野のスペシャリストを目指す方におすすめの職場です。クリニックによっては、さらに腰や肩など、特定部位に特化していることもあります。

スポーツクラブやスポーツチーム

プロスポーツチームやオリンピックチームなどの、スポーツ選手をサポートする仕事です。ポストが少ない上に、契約は1年ごとが多いので、安定は期待できません。

訪問リハビリテーション

訪問リハビリテーションは、在宅分野を専門にしたい方向きの職場といえます。通常慢性期や維持期といわれる状態の方を相手にするので、「回復させる」という点での難度は高く、手応えを感じにくいともいわれています。一方で、土日休み・残業ほぼなし・給与は病院の約1.5倍など、待遇は良い傾向があります。

以上、各施設の特徴をご紹介しましたが、同じ形態の施設でも都市か地方か、また、その地域の利用者のニーズ、経営者やドクターの考え方などによっても、理学療法士の仕事内容や待遇は大きく変わってきます。
例えば、同じ介護老人保健施設でも、ある施設では「これからの時代はリハビリが重要」として、複数の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のチームを編成し、積極的なリハビリを行っているところがあります。また、ある施設では「リハビリも一応行うけれど、基本的には地域の人々の交流の場」との位置付けで、リハビリ専門スタッフは1人しかいなかったなど、ほぼ別形態といっていいほど違っている場合もあるのです。

3. 多くの問題は「自分に合った職場を選ぶこと」で解決できる

理学療法士の職場はさまざまあるので、ある職場で「自分には合わない。理学療法士を辞めたい」と感じても、自分の希望に合った職場に移れば問題は解消され、理学療法士としてやりがいを持って働くことができるケースは珍しくありません。
しかし、実際には「どうせどこへ行っても同じ」「自分のやりたいことができる職場はどこにもない」と考えて、職場を変えるのではなく、理学療法士そのものを辞めてしまう方が多くいます。なぜ、そうなってしまうのでしょうか。その原因の多くは「情報不足から起こるミスマッチ」にあります。

職場選びに大切なのは情報の目線を広げること

職業にかかわらず、転職の際に必ず考慮すべき3大要素は「希望」と「価格」と「市場」です。

希望

年収はどれぐらいほしいか、どんなところでどんな仕事がしたいのかなど。

価格

転職市場での自身の価値はどの程度なのか。

市場

企業側はどんな人を求めているのか。

これらの要素がぴったり合うのが「自分に合った職場」となりますが、残念ながら、企業側が実際どんな人を採用したいのかという情報は、求人票では詳しいところまでわかりません。
その結果、「在宅リハビリの経験を積みたいと思って給与が高めの介護老人保健施設を選んだら、全然リハビリが行われておらず、実際の仕事は入浴・排泄介助や送迎ばかり」というようなミスマッチが起こってしまうのです。さらに、周囲の同僚や先輩、同期からも同じような話を聞くうちに、「どこへ行っても同じ」と思ってしまうこともあります。

このようなミスマッチを防ぐには、まず「自分はどういう風に働きたいのか」を明確にすることと、「企業はどんな人を求めているのか」「実際のところ、どんな環境でどんな仕事をすることになるのか」といった客観的な情報を得ていくことがとても重要です。個人では調べにくいこれらの情報を提供し、情報の幅を広げることが、マイナビコメディカルが関わる意味であり、価値だと思っています。

4. 辞めてしまう前に、「どうしたらやりたいことが叶うか」を考えて

どういう思いで理学療法士になったのか、将来どうなりたくて今まで働いてきたのかなどを考えて、それでもほかの仕事がしたいと思うのなら、転職もひとつの道ではあります。
しかし、お金と時間をかけて取得した国家資格ですし、今やりたいことを見つけられない方も多い中で、せっかく見つけたものを、思いが叶えられないと思い込んで手放してしまうのは、とてももったいないことだと思います。やりたいことは叶うもの。それを叶える自信が、マイナビコメディカルにはあります。辞めるという選択肢を持つ前に、マイナビコメディカルに一度ご相談ください。

プロフィール

金原正記

マイナビコメディカル キャリアアドバイザー

北海道から沖縄まで全国での紹介事業実績があり、今までに20代~60代の転職サポートを成功させている。過去の担当企業数は1,000件を超え、現在は北日本のセラピスト、介護職のアドバイザーとして転職市場の円滑化を行う。
趣味は格闘技で休みの日は道場に出向き、アクティブに活動している。

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