言語聴覚士(ST)を辞めたいと思ったときに考えるべきこと

更新日 2024年02月26日 公開日 2021年11月01日

#情報収集 #転職検討/準備 #内定・退職・入社

話す・聞く・食べる・飲み込むという機能の回復・改善のプロフェッショナルである言語聴覚士は、理学療法士、作業療法士と並んで、リハビリ医療になくてはならない重要なポジションであり、高齢者の増加に伴い、近年、そのニーズが拡大しています。
一方で、自分のやりたいことと現実のあいだにずれを感じたり、職場環境が合わなかったりといった理由により、「言語聴覚士を辞めたい」と考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、「他の仕事に就くしかない」と思っている方でも、自分に合った職場に移ることで、再び言語聴覚士としていきいきと働けることも少なくありません。
ここでは、マイナビコメディカルのキャリアアドバイザーが、アドバイザーの視点から言語聴覚士を辞めたいと思ったときにはどうすればいいのかについて詳しくご紹介します。

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言語聴覚士(ST)を辞めたいと思ったときに考えるべきこと

1. 言語聴覚士を辞めたいと思う理由

言語聴覚士は、2~4年の期間と少なくはないお金をかけ、養成校などに通い、国家試験に合格して資格を取った方が就ける仕事です。そのような努力の上に得た仕事を「辞めたい」と思うことは、相応の理由があるはずです。言語聴覚士が「仕事を辞めたい」と思う理由としては、およそ次のようなものが挙げられます。

学校を卒業したが、年齢を理由に受け入れてもらえない

養成校の卒業後は、さまざまな症状の患者さんを一通り診られる病院を最初の就職先として選ぶ方が多いのですが、病院側が新卒者に期待するのは、「教えたことをできる限り早く吸収して活躍してほしい」ということが多いです。そのため、憶えが早そうな若い世代を選ぶ病院が多く、社会人を経験した後に資格を取った言語聴覚士の場合、病院で経験を積みたいと望んでも、受け入れ先が見つからないことがあります。
養成校によっては、病院以外の施設を紹介してくれるところもありますが、自分のやりたいことと合わない、または病院で知識をつけた同期との差が大きく広がってしまったという理由から、仕事を辞めたいと思うようになるケースがあります。

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専門領域のミスマッチ

言語聴覚士は、最初は病院などで全般的な業務知識を身に付けた後、聴覚や発声、嚥下など、自分のやりたい専門分野をしぼっていくのが一般的です。しかし、同じ形態のリハビリ施設でも、行っているリハビリ内容は、施設ごとに違いがあります。
情報が不十分なまま転職をすると、「発声の訓練がしたいのに、嚥下中心の患者が多く、やりたいことができない」というズレが起こりがちで、仕事内容に不満を感じ「どうせどこの医療機関でも同じようなものだろう」と考え、言語聴覚士自体を辞めてしまう方もいます。

仕事の内容がほぼ介護

言語聴覚士を辞めたくなる理由として多いのは、言語聴覚士の専門領域である聴力や発声、飲み込みのリハビリ訓練ができず、ほぼ介護領域の仕事しか任されないことです。その原因は、「雇用する施設側が言語聴覚士の仕事内容を十分理解していない」「訪問リハビリの利用者が言語聴覚士の仕事をあまり理解していない」「リハビリ訓練のための施設がない」など、さまざまなケースがあります。これは、人を集めるために給与が高く設定される介護施設の求人などで起こりやすい傾向があります。

理想と現実のギャップ

いざ働いてみると、「同期が若い世代ばかりでコミュニティに入れない」「上司が年下でうまく学ぶことができない」「上司がきびしい」など、理想と現実のギャップに直面して、辞めたいと考える方もいます。

以上が、言語聴覚士が辞めたいという、おもな理由です。しかし、「想像していたのと違った」という理由だけで、せっかく時間とお金をかけて資格を取得した仕事を辞めてしまうのは、とてももったいないです。
受け入れ先が見つからないことや、理想と現実のズレといった問題は、言語聴覚士を辞めなくても解決する場合がほとんどです。なぜなら、言語聴覚士には、非常にさまざまな職場や働き方があるからです。

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2. 言語聴覚士の職場と働き方

言語聴覚士が活躍できる場所には、次のようなものがあります。

病院(総合病院/リハビリテーション専門病院)

前述したように、病院は規模や役割にもよりますが、嚥下、発声、聴覚と、さまざまな分野の患者さんを診られることが特徴です。病院で基礎を習得した後は、総合病院に残ってジェネラリストとして活躍する道や、大学病院や専門病院に移り、「先天的な要因で舌がうまく使えず、発声が難しい子供の発声訓練を行う」「地域の基幹病院で、嚥下訓練の需要に応えていく」といった専門分野を極めていく道のほか、最終的には在宅リハビリで活躍することを目指して、介護老人保健施設に進む道などがあります。
病院については、社会人を経験した方は受け入れられにくいこともあるというような内容をお伝えしましたが、そのような場合でも、前職の経験などから「人をまとめることがうまい」「ドクターとしっかりコミュニケーションがとれる」など、人間的な魅力をアピールして、年齢と経験のバランスがとれていることを伝えられれば、転職することも可能です。

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介護老人保健施設

介護老人保健施設は、主に一時的に入所し、リハビリをして在宅復帰につなげるための公共施設です。ただし、その内容は、地域や利用者のニーズ、運営者の方針によってかなりの違いがあり、充実した言語訓練室を備えてリハビリに力を入れているところもあれば、運営側が言語聴覚士の役割をあまり認識しておらず、専門領域のリハビリを行えないところもありますので、職場選びには注意が必要です。
将来、在宅リハビリで活躍することを目指す方のほか、病院勤務では期間が限られてしまう患者さんを長く診ていきたいと考える方などにおすすめです。これは、有料老人ホームにもほぼ同じことがいえます。

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クリニック

内科や耳鼻咽喉科、外来でリハビリを提供するクリニックなどの中にも、言語聴覚士を募集しているところがあります。担当するリハビリの内容は、脳血管障害のリハビリの一環としての嚥下訓練や学習障害のある子供たちの言語訓練などですが、これもクリニックによってさまざまです。

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デイサービス/訪問リハビリ

デイサービスでは、言語聴覚士として専門分野に携わる仕事は少なく、機能訓練指導員の1人として携わることが多いです。この場合、歩行訓練などが中心となるので、同じ機能訓練指導員として雇用されていても、理学療法士や作業療法士に比べて給与が低くなる傾向があります。
一方、訪問リハビリでは、家庭を訪れて、患者の状態と要望に合わせて、発声訓練や家族とコミュニケーションをとるための代償手段の活用法の提案、嚥下訓練などを行っていくことが一般的です。まだまだ需要は少ないですが、今後の需要拡大が期待されています。

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子供のリハビリに関する仕事

子供のリハビリについては、さまざまな形で携わることができます。総合病院の小児科などで言語訓練を行うほか、教員免許があれば養護学校や特別支援学級で働いたり、放課後デイサービスの児童指導員として働いたりといった道もあります。
最も需要が多いのは児童指導員ですが、給与などの待遇面はほかの職場に比べて低く、仕事内容も子供たちといっしょに本を読んだり、遊んだりといったことが中心となります。リハビリ訓練に特化できるわけではないですが、それでもいいという方以外はあまりおすすめできません。

以上が言語聴覚士のおもな職場と働き方ですが、同じ形態でも、施設ごとに任される仕事内容は大きく異なります。ですから、今の職場が自分に合わず辞めたいと思っても、自分に合った職場を見つけられれば、言語聴覚士の資格を活かし、やりがいを持って働くことができるのです。

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3. 自分に合った職場の見つけ方

「自分に合った職場を見つけられない」という理由で辞めたいという方が多い言語聴覚士ですが、どのようにして、自分に合う職場を見つければいいのでしょうか。ポイントとなるのは、自分がやりたいことを明確にすることと、雇用側の情報を把握することの2つです。

自分がやりたいことを明確にする

満足度の高い働き方をするためには、仕事を選ぶ基準となる「自分がやりたいことは何なのか」を明確化する作業が欠かせません。
マイナビコメディカルに来られた相談者様との面談も、これまでの仕事を振り返り、なぜ言語聴覚士を目指そうと思ったのか、実習に行ってどんな気持ちになったのか、言語聴覚士として何が楽しかったのかなどを振り返り、「今後、どのように働きたいのか」を考えてもらうところからスタートします。

事業所が求めているものに注目する

自分のやりたいことがわかり、職場を選ぶ基準が定まったら、今度は「雇用側はどんな人を求めているのか」に目を向けてみましょう。企業が出す求人票には、給与や募集条件しか書かれていないことが多いため、それぞれの施設で実際にどんな仕事をするのかといった情報は、同期や先輩からの情報に頼りがちです。しかし、それだけでは、実際にどんな人を求めているのかはわからず、自分の希望と先方の希望の両方を突き合わせて職場を選ぶことができません。
私たちマイナビコメディカルの仕事は、そんな情報不足を解消するために、転職の仕方や企業が求める人材といった情報を伝えることにあります。

4. 言語聴覚士をあきらめてしまう前に一度相談を

言語聴覚士の仕事を選んだきっかけや未来への展望も考えた上で、やはりほかの仕事がしたいと思えるなら、それもひとつの道ではあります。しかし、言語聴覚士でやりたいことがあるのであれば、あきらめることはありません。その思いは必ず叶います。
マイナビコメディカルをご利用いただく際は、「どうせどの職場でも同じ」というのではなく、「やりたいことが叶う場所を探してほしい」と担当者に伝えてください。

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著者プロフィール

金原正記

マイナビコメディカル キャリアアドバイザー

北海道から沖縄まで全国での紹介事業実績があり、今までに20代~60代の転職サポートを成功させている。過去の担当企業数は1,000件を超え、現在は北日本のセラピスト、介護職のアドバイザーとして転職市場の円滑化を行う。
趣味は格闘技で休みの日は道場に出向き、アクティブに活動している。

監修者プロフィール

マイナビコメディカル編集部

 

リハ職・医療技術職・栄養士のみなさまの転職に役立つ情報を発信中!
履歴書や職務経歴書の書き方から、マイナビコメディカルサイト内での求人の探し方のコツや、転職時期ごとのアドバイス記事などを掲載。
転職前の情報収集から入職後のアフターフォローまで、転職活動の流れに添ってきめ細やかなフォローができる転職支援サービスを目指しています。

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