施設勤務セラピスト スペシャル座談会

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セラピストの本音に迫ります!

高齢者施設に勤務する現役のセラピストさん4名が新宿・マイナビコメディカルオフィスに集合しました。「生活」を重視する施設のリハビリ。病院リハビリとの違いとは?セラピストが施設で働くことの魅力とは?施設の実態が垣間見える座談会です。

セラピスト プロフィール

能登真理子さん理学療法士

医療法人社団 廣風会 介護老人保健施設 ラ・クラルテに勤務。資格取得後、2002年に病院リハビリテーション科へ入職。系列の介護老人保健施設でも非常勤セラピストとして高齢者への維持期リハビリテーションを経験する。その後、介護老人保健施設に転職して10年間勤務。2015年2月から現職。

森平哲司さん機能訓練指導員(作業療法士)

社会福祉法人 章佑会の主任セラピストとして特別養護老人ホームやすらぎグランデのほか系列3施設を担当する。資格取得後、老人病院に常勤で働き始める。1997年からは現職の法人が運営する特別養護老人ホームに週1回勤務。2002年8月から正職員として現職。

高山美季さん機能訓練指導員(作業療法士)

社会福祉法人 章佑会 特別養護老人ホームやすらぎミラージュで利用者様のリハビリを担当。回復期リハビリテーション病棟にて6年間勤務した後、生活期リハのできる介護老人保健施設へ入職。その後に現法人へ移り、現職。一児の母。

小川康弘さん機能訓練指導員(理学療法士)

株式会社アズパートナーズ 介護付き有料老人ホーム アズハイム横浜いずみ中央勤務。資格取得後、回復期リハビリテーション病棟に入職。5年間の経験を経て、クリニックの外来リハビリテーションなどに勤務。国際認定フェルデンクライス・プラクティショナーを取得。2013年7月より現職。

社会人からの転身も多い、施設勤務のきっかけ

――今回は老健、特養、有料にお勤めの方にお集まりいただきましたが、皆さんがこうした施設で働こうと思ったきっかけを教えてください。

高山私は救急救命士をしている姉の影響もあって、医療職を目指しました。新卒のときは回復期リハに就職しましたが生活期リハに興味があり、老健に入職。その後、さらに長い期間利用者様との関わりがもてる特養に転職しました。

小川私は大学を卒業後、家電量販店で働いていました。もともと体育大学の出身でトレーニングに興味があったので、PT養成校へ入学。養成校を卒業する頃に母が脳出血を起こして片麻痺を患いました。今は元気なのですが、そのとき出会った理学療法士の先生が素晴らしい方でした。「機能回復とは、あくまでその人らしさの延長である」ということを教えてもらい、「こんな人がいるなんて、PTの仕事を選んでよかった!」と思いましたね。

能登今の勤務先は老健です。叔父が病院を経営していたことと、祖父が脳梗塞で倒れたときリハビリに接したことで理学療法士を目指すようになりました。前職は英語教師なので、私も異業種からの転職組です。新卒時は効率的に症例数を経験できそうな医療機関を選びましたが、そこのグループ施設である老健で働くようになったことが最初のきっかけです。

森平私は怪我をきっかけにリハビリに興味を持つようになりました。当初は小児リハを希望していましたが、重度の肢体不自由児など、泣いている子にリハビリをするのがかわいそうになってしまって。卒業後はウェイターのアルバイトをしていました。資格を取ったあとは老人病院で常勤勤務をしていましたが、同僚から誘われて福祉の方へ非常勤として勤務し、現在は社会福祉法人の作業療法士として、グループの施設を4ヵ所担当しています。

ケアーワーカーとの連携が施設リハビリの要

――施設と病院の大きな違いとは、何でしょうか。

森平病院は治療の場なので、患者さんを治療して家に帰すことが絶対なんですよね。首に縄をつけてでも(笑)リハビリをやって、よくなったら帰す、のような。

一同(笑)

森平「歩いていた人が転んで骨折をして病院に来たのなら、リハビリによってまた歩けるようになるはずだ」というのが(病院の)医師の考え方でしたから。

高山病院には患者様の機能回復が見られる楽しさがありましたね。ただ、たとえば入浴なら私が「上半身は自分で洗える方です」と伝えても、看看護師さんには「手伝った方が早い」のように言われてしまったり(笑)。他職種にわかってもらうための大変さもありました。

――病院でセラピストの考えを理解してもらうのは難しいですか?

能登病院時代は看護師さんとよく意見がぶつかりました(笑)。多職種連携は難しいですね。

森平福祉にきてみると、ケアワーカーさんはリハビリにも協力的という印象があります。

小川有料老人ホームでケアの主役はケアスタッフさんですが、リハビリへの期待は大きいと感じますね。アドバイスを求められることも多く、ケアのなかでできるリハ的な取り組みを提案しています。そういう意味でも、セラピストは厳しいことを言って多少嫌われてでも、ホームのなかでリーダーシップを発揮するべきだと思います。もちろん、あとでちゃんとフォローして関係維持にも努めますが(笑)。

高山特養も職員数で多いのがケアワーカーさんで、私がセラピストとして関われるのは全体の短い時間だけ。ケアワーカーさんもリハビリ的な支援ができるように、さまざまな提案を心がけていますね。

能登私が働いている老健では部署ごとにリハビリ的な取り組みができているので、ケアワーカーさんからアドバイスを求められるのは重症ケースがほとんどです。反対に、ケアワーカーさんたちにリハビリ的な視点が定着していない老健もあるので、一概に「病院だから」「施設だから」とは言えないかもしれませんね。

生活の視点を求められる施設でのリハビリ

――皆さんが福祉施設で働くようになって、気づいたことはありますか?

小川病院で働いていたとき、多くのことはリハビリで治せると思い込んでいました。確かに筋力やバランスは改善できますが、それが本当に在宅の生活へつながっているのか、今は疑問に感じますね。

森平病院でも生活視点は持っていたけれど、振り返ると不充分だったなと思うことがあります。患者さんが退院した後のフォローができておらず、再入院してきたら身体がカチコチに拘縮していて驚いたこともありました。

高山施設と病院では目標が違いますよね。病院は機能回復が目標ですが、特養では「この人はどうすれば楽しく生活できるのだろうか」といった視点で考えています。歩行訓練でもリハ室で歩くだけでなく、何か楽しい要素……「お花に水をあげに行こう」「水槽の金魚を見に行きましょう」と誘ったり。

生活の視点を求められる施設でのリハビリ

――高齢者施設で期待されているセラピストの役割とはどのようなものでしょうか。

小川私は有料老人ホームに勤めていますが、有料の一番の特徴はお金持ちの方の施設ということなんですね。つまり、いいサービスを提供しなければならない。有料では、週2単位までといった算定の制約もないので、セラピストが主体となっていろいろなことにチャレンジできる。とはいえ、60人のご入居者様に対してセラピストは一人です。私は一貫して、重症度の高い方から順に関わっていくことにして、ご入居者様にも理解をいただいています。訓練をしなくても身体機能が落ちない方もいるわけで、そういった方はケアスタッフの介入でもいいわけです。

森平施設は病院に比べると非常に自由度が高いです。特養にはPTやOTは数えるほどしかいないので、これというスタンダードはありません。医師が常駐していませんからリハビリの指示せんもないので、自分で「これがリハビリだよ」と言ってしまえばそれがリハビリになる(笑)。たとえば「コンビニに饅頭を買いに行こうよ」と声をかけたら、普段は「歩けない、歩けない」と言っている人が30~40分でも歩いてくれるとか(笑)。特養は生活の場、終の棲家ですから、そこでどう過ごしていただくのかコーディネートすることが我々の仕事かなと考えています。

能登「もともとのその人らしさを追求する」という点で、施設と病院のリハビリは本質的には同じだと思います。ただ、たとえば病院にいる30代の患者さんであれば、「これから50年ある人生の一時、リハビリをがんばろう」と励ますことができます。それが特養や老健では残された人生のなか、加齢で運動機能が落ちていくことと訓練による機能回復のバランスで、リハビリを提供していても目に見える変化が少なく感じることも。30代の人のような回復はないけれど、訓練によって維持できている部分もある。そうした違いは意識しています。

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