地域包括医療病棟、ADL維持・向上の取り組みも重視~診療報酬改定告示・通知2024.03.11
厚生労働省は3月5日、2024年度診療報酬改定を告示し、関連通知を発出した。同時に公開された説明動画では、新設の「地域包括医療病棟」について詳しい説明が行われた。急性期一般病棟と地域包括ケア病棟のそれぞれの機能を一部併せ持つ病棟として、救急患者の受け入れ体制とともに、ADL維持・向上や早期の在宅復帰支援への取り組みが施設基準や算定要件で求められることを示した。
地域包括医療病棟は、増加傾向にある高齢救急搬送患者の受け皿の1つとして創設。入院料は1日当たり3050点の包括評価とし、入院基本料等の加算や検査、画像診断、投薬・注射、処置等は原則入院料に含まれる。ただし、包括範囲外となるものとして、①「救急医療管理加算」、「医師事務作業補助体制加算」、「栄養サポートチーム加算」、「医療安全対策加算」、「感染対策向上加算」等の入院基本料等の一部加算、②心臓カテーテル検査や内視鏡検査等の一部検査、③1000点以上の処置、④リハビリテーション、⑤手術、麻酔等の費用―などが列挙、出来高での算定が可能となる。
施設基準では、10対1以上の看護職員配置やリハビリ専門職、管理栄養士の病棟配置のほか、直近1年間に退院・転棟した患者のうち、退院・転棟時のADLが入院時と比べて低下した患者の割合が5%未満であることを求める。さらに留意事項通知では、①入棟患者全員に対して入棟後、原則48時間以内にADL、栄養状態、口腔状態を評価し、その結果に基づいてリハビリ・栄養管理・口腔管理に関する計画を作成する、②専従のリハビリ専門職や専任の管理栄養士は、すべての患者に対し、ADL維持・向上等を目的とした指導や栄養管理などを行う―ことを定めている。
在宅復帰率は8割以上、平均在院日数は21日以内に設定。運動器疾患や脳血管障害等の急性疾患への対応を想定し、在宅復帰率の計算式の分子には「回復期リハビリテーション病棟への退院・転棟」も含める扱いとする。
■「急性期一般1〜6」や地域包括ケア病棟からの転換を想定
地域包括医療病棟には今後、急性期一般病棟や地域包括ケア病棟からの移行が見込まれている。厚労省は、(1)後期高齢者の緊急入院が多い「急性期一般入院料1」届出病棟の一部転換、(2)リハ専門職や管理栄養士の確保、ADLの実績評価に対応可能な「急性期一般入院料2〜6」届出病棟の全体、または一部転換、(3)在宅復帰機能と救急搬送受け入れ体制を備えた地域包括ケア病棟からの転換―などが具体例として考えられるとした。
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出典:Web医事新報
セラピストプラス編集部からのコメント
厚生労働省は2024年度の診療報酬改定を発表し、新設の「地域包括医療病棟」について詳細を公表しました。この病棟は急性期一般病棟と地域包括ケア病棟の機能を併せ持つもので、救急患者の受け入れと在宅復帰支援への取り組みが求められます。入院料は1日当たり3050点で、基本的な医療行為は原則入院料に含まれますが、一部の加算料金や特定の検査・手術等は別途算定可能です。施設基準では、看護職員や専門職の配置や、患者の生活能力の維持・向上に重きが置かれています。