電話応対のポイント(2)【第46回】
公開日:2020.07.22 更新日:2023.05.09
文:村尾 孝子
薬剤師/医療接遇コミュニケーションコンサルタント
前回に続いて、電話応対のポイントの後半を紹介します。電話応対への苦手意識を克服する近道はありません。実践と経験を積むことで自然と自信がつきますから、基本をしっかり覚えましょう。
5.メモを取る
聞き取った用件は、必ずメモします。「5W3H」(When/Who/Where/What/Why、How/How much/How many)を念頭に置いてメモを取ると、伝言メモを作るときに役立ちます。具体的には、「いつ」「相手の所属(会社名や部署名など)と名前」「電話を受けた自分の名前」「相手の用件」「今後の対応(確認のみ/折り返し等)」といった内容です。
6.復唱する
聞き間違いや言い間違いといったヒューマンエラーを防ぐために、用件を繰り返して確認します。数字の1と7、アルファベットのBとDといった聞き間違いの多い言葉は、別の音になるように読み替えたり、同じ意味の別の単語に置き換えたりして伝えることで、聞き間違いを予防できます。
7.名指し者が不在の場合、折り返しを提案する
電話に出たとき、名指しされた人が外出等で電話に出られないのはよくあることです。取り次ぐ相手がいない場合、不在であることを伝えた上で、折り返しの提案をします。
すぐに出られない時は、「ただ今、席を外しております」と告げた上で、「戻りましたら、こちらからご連絡差し上げましょうか」「のちほどこちらからおかけしましょうか」など、相手の様子に応じて提案します。たとえば、トイレに行っている、休憩に行っている、といった場合でも、詳細を伝える必要はなく、「申し訳ございません。〇〇はあいにく席を外しております」と伝えます。
相手がとても急いでいると察した場合は、「もしよろしければ、わたくし〇〇がご用件を承りましょうか」という提案も必要です。この場合は、用件を聞き伝言メモを書きます。伝言を受ける時には、相手の所属・名前・折り返し先・内容の4点を必ずメモしましょう。
伝言を受ける・折り返し電話する、のいずれの場合も、責任の所在を明らかにするために、「私、○○がうけたまわりました」と必ず自分の名前を告げます。
8.受話器をゆっくり戻す
電話を切る時は、基本的に相手が切ったことを確認してから受話器をゆっくり戻します。 固定電話の場合、受話器を直接置かずに指でフック(リリースボタン)を押す習慣をつけると、もし相手が話し忘れたことを思い出した場合でも、すぐに対応することができます。
2回に分けて、電話応対のポイントをまとめてみました。最初は緊張してうまく話せないかもしれませんが、数をこなして慣れてくれば、失敗も緊張も少なくなります。電話は個人の印象だけでなく、病院のイメージにもつながります。電話応対を苦手に感じる人ほど、基本のパターンを覚えて積極的に電話に出てほしいと思います。
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村尾 孝子(むらお たかこ)
薬剤師、医療接遇コミュニケーションコンサルタント。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: https://smilegrdn.exblog.jp/
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