肋骨を締めるストレッチでくびれをつくろう!開いている状態や原因についても解説!
公開日:2024.05.22
文:服部 恵実(理学療法士・ピラティスインストラクター)
あなたは「ダイエットをしているのになかなかくびれができない」「アンダーバストが広くて見た目が悪い」と悩んだことはありませんか。
そのお悩みは肋骨が開いていることが原因かもしれません。ご自身の肋骨の状態を知り、解消法を実施することでくびれができるだけでなく、良い姿勢や疲れにくい身体に繋がります。
そこで当記事では、肋骨が広がる要因とセルフチェック方法、また肋骨を締めるストレッチを解説します。
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そもそも肋骨が開いているとはどういう状態?
肋骨が開いているということを知るためには、まず肋骨の解剖から理解していきましょう。
肋骨は左右それぞれ12本あり、胸骨(胸の前にある骨)と胸椎(胸の背骨)に連結しています。胸骨と肋骨の間には胸肋(きょうろく)関節、胸椎と肋骨の間には肋椎関節という関節があります。
それぞれの関節が動くことで、肋骨が開いたり(外旋)閉じたり(内旋)するのが正常な動きです。
ここで肋骨が通常よりも外旋している状態をリブフレアと言い、いわゆる肋骨が開いている状態を指します。
【意外と知らない】肋骨が開く原因について解説!
結論から述べると、肋骨が開く原因は普段からの習慣が大きく関係しています。具体的には、呼吸や姿勢などが関係しているのです。
それでは具体的に解説していきますので、ご自身の日常生活を思い返しながら読み進めてみてください。
呼吸が浅い
肋骨は開いたり(外旋)閉じたり(内旋)動くと述べましたが、その代表的な場面は呼吸をする時です。
肋骨は胸椎(胸の背骨)や胸骨(胸の前の骨)とともに籠(かご)のような構造をし、肺を覆っています。通常、息を吸う時には開き(外旋)、吐く時に閉じる(内旋)仕組みを持ちます。
本来は息を吐いた時に肋骨が元の位置まで戻りますが、呼吸が浅くなっていると、息を吐ききることができず肋骨が開いた状態のままになってしまうのです。
さらに肋骨が開いた状態になってしまうと、呼吸の働きの大部分を占める「横隔膜」が十分に機能しなくなります。そうすると、肋骨を前に開くことで息を吸おうとするため、より肋骨が開きやすくなるのです。
長時間のデスクワークによる悪い姿勢
長時間に渡りデスクワークを行なっていると、猫背姿勢になったり全身の筋肉が衰えます。
猫背姿勢が続くと、胸椎(胸の背骨)の動きが悪くなることが多いです。本来、手を上げたり背骨を反る動きをする時には、胸の上部も反る必要があります。しかし胸椎(胸の背骨)の上部が硬くなると動かせず、胸の下部や腰から代償して動かしてしまうことが増えます。背骨を反ると肋骨は一緒に開く(外旋する)という仕組みを持つため、胸椎の下部が反るのと同時に、肋骨の下が開いてしまうのです。
さらに長時間に渡り座っていると筋肉のバランスが乱れ、骨盤が前に出るような立ち姿勢(Sway back)になる方が多いです。そういう方は肋骨を締める働きを持つお腹周りの筋肉が弱くなっていて、肋骨は開きやすい傾向があります。
良い姿勢を勘違いしている
意外と多いのが、良い姿勢を勘違いしているケースです。
一般的に正しい姿勢の目安は、「頭、肩甲骨の間の背骨、お尻を壁につけて立った時に、背中の間が手のひら一枚分」と言われています。しかし良い姿勢を取ろうと胸を張った結果、胸椎の下部や腰を反ってしまっているため、肋骨が開いているケースが多いのです。
そのように脳での認識も、姿勢や体の状態に大きく影響を及ぼします。
【簡単にできる】肋骨セルフチェック方法を解説
それでは肋骨が開く原因がわかったところで、次はあなたの肋骨はどのような状態になっているのか見ていきましょう。
自宅でご自身で行えるチェック方法を2つ紹介します。鏡で確認したりスマホで写真を撮るとわかりやすいため、ぜひどちらかをご準備ください。
肋骨の角度をチェック
まずはご自身の体を前側から見ていきます。
左右の肋骨の一番下側が成す角度を「肋骨下角」と言います。通常は角度が70〜90度です。
それでは以下に測り方を紹介します。
⒈体の前方から肋骨の一番下側を触りましょう。胸骨(胸の骨)の下側が尖っているので、そこから脇に向かって触ると見つけやすいです。
⒉左右の肋骨の角度が何度になっているか確認します。胸骨(胸の骨)の下側の尖っているところが、角の頂点です。
角度計がない場合は、本やノートなどの角を利用して90度よりも大きいか小さいか確認しましょう。
角度が100度以上の場合は、肋骨が開いている状態と言われます。
横から見た肋骨の位置をチェック
次に横からも見ていきましょう。
通常、横から見た時に肋骨の位置は骨盤の前面と同じ一直線上にあると言われます。骨盤の前面とは、左右の腰骨と恥骨(へそから下がって触れられる骨)を結んだ三角形を指します。
肋骨が骨盤よりも前方に出ていると、肋骨が開いている状態です。
それでは以下に確認方法を紹介します。
⒈立った状態で横向きになり、肋骨の一番下側を触ります。
⒉左右の腰骨(ASIS)と恥骨を触り、骨盤の三角形を探しましょう。
⒊肋骨の一番下と骨盤の前面の三角形の位置関係はどのようになっているでしょうか。
立った姿勢だけでなく、仰向けの姿勢などでもわかりやすいので、ぜひ姿勢を変えて確認してみてください。
肋骨を締めるストレッチ&エクササイズを紹介
セルフチェックで肋骨が開いていた方は、普段から呼吸が浅く息を吐ききれていなかったり、お腹の筋肉である外腹斜筋などが弱くなっている可能性があります。
そのため肋骨や背骨を動かし、息をしっかりと吐ききれるように練習できると良いでしょう。そういった効果のあるストレッチを紹介するので、ぜひ行ってみてください。
肋骨と背骨の動きを取り戻すキャットアンドカウ
肋骨が締まらない方は、開いたままで背骨や肋骨が硬くなってしまい関節の動きがロックされている場合が多いです。
そのためまずは肋骨と背骨を動かせるようにストレッチをしていきましょう。
また四つ這いで床を押すことで前鋸筋という筋肉が働きます。この前鋸筋が働くことで、肋骨を締める働きを持つ外腹斜筋という筋肉も働きやすくなります。
⒈四つ這いになります。この時、肩の下に手首、股関節の下に膝がくるようにしましょう。
⒉息を吐きながら、背骨を一つずつ丸めていきます。
⒊次に息を吸いながら、背骨を一つずつ反らしましょう。
参考動画:https://www.instagram.com/p/Cedl5ztvL3H/?utm_source=ig_web_copy_link&igsh=MzRlODBiNWFlZA==
肋骨を締める腹斜筋エクササイズ
肋骨や背骨がしっかり動くようになったら、さらに肋骨を締める筋肉を使っていきましょう。
呼吸を止めずに行うことで、より肋骨は締まりやすくなりますので、ぜに意識しながら行ってみてください。
⒈仰向けになり、股関節・膝関節を90度に持ち上げます。このとき腰は反らないよう、背中の下は手のひら一枚分を保ちます。
⒉息を吐きながら、体を起こし体をねじりましょう。肩甲骨が離れるところまで持ち上げます。
⒊息を吸いながら、ゆっくり体を元の位置まで下ろしましょう。
まとめ
今回は、肋骨が開く原因と自分でできるストレッチについて解説しました。呼吸の浅さや普段の日常生活の意識が関係していることがわかりましたね。
肋骨を締めるためには、無理に肋骨を外から押し込むだけでは治りません。なぜその状態になっているのかを理解し、ストレッチとエクササイズの両方を組み合わせることで改善につながります。ぜひ当記事で紹介したものを参考にしながら行なってみてください。

服部 恵実
大学卒業後、理学療法士として大学病院に勤務。集中治療室や救命救急病棟にて手術後や集中的な全身管理が必要な方などを始め、計33診療科でのリハビリテーションを担当。その中で予防医療の重要性を痛感したため心臓リハビリクリニックへ移り、生活習慣病の再発予防を運動や食事など多方面からアプローチを行う。さらに本質的な予防医学を伝えていくには病院外で活動していく必要性があると感じ、ピラティスインストラクターへ転向。現在は、インストラクターや医療従事者向けの講師やオンラインサロン運営を行なっている。
Instagram:@_emiitreat_
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