足首を柔らかくするストレッチ3選!足首が硬くなる原因とは?
公開日:2024.05.21
文:服部 恵実(理学療法士・ピラティスインストラクター)
あなたは「しゃがみこむ動作ができない」「足首が硬くて踏ん張れない」と悩んだことはありませんか。
そのお悩みは足首が硬いことが原因かもしれません。日本人の生活が和式から洋式に変化したことで、しゃがむことが減っているためそのように足首の硬さに悩んでいる方が増えてきています。
そこで当記事では、硬い足首を柔らかくするストレッチを解剖学的に解説します。
また足首が硬いと浮腫みや冷えなどにも繋がりやすいため、心当たりのある方はそのようなお悩みも一緒に解決していきましょう。
足首が硬いとはどんな状態?
多くの方は足首を反らすストレッチをした時に筋肉が引っ張られて痛いと感じることや、しゃがみこみなどの動作ができないことなどがきっかけで、足首が硬いと感じるのではないでしょうか。
本来、正常な足首(足関節)の可動範囲は、反らす動き(背屈)は20度、つま先を下げる動き(底屈)は45度です。そのためこの角度までいかない場合は、足首が硬くなっていると言えます。どちらかと言うと反らす動き(背屈)が硬くなる方が多いです。
さらにある研究ではしゃがみこむ際、自分で足首を反らす角度が14.3度、誰かに動かしてもらった時の角度が36.5度は必要だと言われています。
そのため、この結果からもしゃがみこみができない場合には、足首が硬くなっている可能性があることがわかるのです。
ちなみにしゃがみこみは、足首の柔らかさだけではなく、骨盤や股関節、そして膝関節の使い方なども関係していると言われています。そのため足首の角度が十分にあるにも関わらずしゃがみこみができない場合、他の部位の問題を疑った方が良いでしょう。
足首が曲がらない原因について解説
通常の足首の角度がどれくらいかわかりましたね。それでは必要な角度まで達していない場合は、何が原因なのでしょうか。
必要な角度まで達しない場合には、足首周りの筋肉が硬くなっていることもあれば関節を覆う組織が硬くなっていたり、骨の位置が悪いことなどが考えられます。
ふくらはぎの筋肉の硬さ
まずわかりやすいのは単純にふくらはぎの筋肉が硬くなっていることです。足首を反らす時に後ろの筋肉が伸びにくいと、引っ張られて動きが制限されてしまいます。具体的な筋肉について後ほど解説していきます。
脂肪組織の癒着
制限の原因になるのは筋肉だけではありません。踵やアキレス腱の近くにある脂肪組織が硬くなり動きが悪くなっていると、引っ張られて足首を反らす動きに制限が掛かります。
普段から足首を動かしていない方は、脂肪組織が硬くなっていたり周りの組織に癒着している結果、足首が硬くなっている可能性があります。
骨のアライメント(位置)の乱れ
足首が曲がる時には、骨が滑りこむことで関節運動が起こります。しかし筋肉のアンバランスや脂肪組織や靭帯の硬さや癒着などにより、本来の骨の位置からズレてしまうと、骨がぶつかるため動きが悪くなっている可能性があるのです。
すねの骨が外側にねじれている方は足首の骨の位置も乱れていることが多いため、足首だけでなく他の部位も関係しているかもしれません。
【解剖学から読み解く】足首の硬さと関係する筋肉を解説
それでは大きな要因として挙げられる、足首周りの筋肉の硬さについてさらに詳しくみていきます。
足首を反らす動きに制限がある場合、反対の動きであるつま先を下げる筋肉が硬くなっているケースが多いです。つま先を下げる主な筋肉は、ふくらはぎにある腓腹筋とヒラメ筋と言います。
原因となる筋肉を理解することでストレッチを行いやすくなり、より効果を感じることができるため、しっかり確認していきましょう。
腓腹筋
腓腹筋は太ももの骨から踵まで付いていて、ふくらはぎの一番表にある筋肉です。つま先を下げる(足関節底屈)働きのほか、膝を曲げる働きを持ちます。
膝を伸ばした状態で足首が硬いと感じる場合は、腓腹筋が硬くなっている可能性があります。
また腓腹筋はハムストリングスという腿裏の筋肉の近くを通り、膝裏で交差するように走るため、ハムストリングスが硬くなると腓腹筋も一緒に硬くなることがあるのです。
ヒラメ筋
ヒラメ筋もふくらはぎの筋肉で、腓腹筋よりも奥にある筋肉です。つま先を下げる(足関節背屈)の働きを持ちます。
脛(すね)に付いている筋肉で、膝を曲げた状態で足首が硬いと感じる場合は、ヒラメ筋が硬くなっているかもしれません。
また腓腹筋とヒラメ筋は一部が繋がっているとも言われていることや同じふくらはぎを走行していることから、足首が硬い場合どちらかが硬いというよりも両方が硬くなっていることが多いでしょう。
【自宅でできる】足首を柔らかくするストレッチを解説!
それでは足首が硬くなる原因の筋肉がわかったところで、実際に柔らかくするストレッチを紹介します。ストレッチを行うことで腓腹筋とヒラメ筋、そしてハムストリングスの柔軟性を向上させていきましょう。
腓腹筋とヒラメ筋はねじれ構造を持つとも言われていたり、膝の動きによっても働きが異なるため、様々な動かし方をすることがポイントです。
踵上げ運動(膝を伸ばした状態)
⒈段差につま先を乗せて立ちます。
⒉膝を伸ばした状態で、踵を上げ下げします。この時、しっかりと下まで踵を下げることを意識して行いましょう。
⒊つま先の方向をまっすぐ、内向き、外向きと変えて行うことで、より足首が曲がりやすくなります。
踵上げ運動(膝を曲げた状態)
⒈段差につま先を乗せて立ちます。
⒉膝を曲げた状態で、踵を上げ下げします。この時、しっかりと下まで踵を下げることを意識して行いましょう。
⒊こちらも同様、つま先の方向をまっすぐ、内向き、外向きと変えて行うことで、より足首が曲がりやすくなります。
ダウンドッグ
⒈四つ這いになります。肩の下に手首、股関節の下に膝が来るようにセッティングしましょう。
⒉股関節を引き込みながらお尻を天井に引き上げます。背中が丸くならないように、股関節を引き込むことがポイントです。
⒊膝を伸ばして踵を床に落とします。完全に踵が床に付かなくても、ふくらはぎや腿裏の伸びを感じましょう。
⒋できる方は足踏みをするようにして、膝を曲げながら踵を伸ばす動きも行ってみましょう。
まとめ
今回は、足首を柔らかくするストレッチについて解説しました。
足首が硬くなる原因は様々ですが、ふくらはぎの筋肉が硬くなり影響していることも多々あります。解剖学を理解しながらストレッチを行うことで、より効果を感じることができますので、ぜひ当記事を参考にしていただけたら幸いです。
また足首を正しく使えることで脚やせや怪我の予防にも繋がりますので、お悩みの方はぜひ取り組んでみてください。
![服部恵実](https://co-medical.mynavi.jp/contents/therapistplus/wp-content/uploads/sites/2/2024/03/DSCF1730-2.jpg)
服部 恵実
大学卒業後、理学療法士として大学病院に勤務。集中治療室や救命救急病棟にて手術後や集中的な全身管理が必要な方などを始め、計33診療科でのリハビリテーションを担当。その中で予防医療の重要性を痛感したため心臓リハビリクリニックへ移り、生活習慣病の再発予防を運動や食事など多方面からアプローチを行う。さらに本質的な予防医学を伝えていくには病院外で活動していく必要性があると感じ、ピラティスインストラクターへ転向。現在は、インストラクターや医療従事者向けの講師やオンラインサロン運営を行なっている。
Instagram:@_emiitreat_
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