メールマナー⑦宛名を書く時の注意点を解説【第87回】
公開日:2024.02.27 更新日:2024.03.06
文:村尾 孝子
薬剤師/医療接遇コミュニケーションコンサルタント
メールは、受け取った相手に「読みたい」と思ってもらうことが肝心です。確実に開封してもらうために、気を付けたい最初のポイントが宛名の書き方です。
たとえば「病院名が間違っている」「名前の漢字が違っている」などのミスがあれば、読みたくないと感じて後回しにされるかもしれません。
今回は宛名を書く時の注意点についてまとめてみます。
目次
①宛名はフルネームで書く
宛名はフルネームで書く方がより丁寧となります。
まだ親しくない間柄の相手や、丁寧に接したい相手の場合は必ずフルネームで記載しましょう。
②宛名に旧漢字が含まれている場合
名前に旧漢字が含まれている方は少なくありません。丁寧に書きたい気持ちがあっても、旧漢字は「環境依存文字」のため、メールなどに使うと文字化けを起こしてしまう可能性があります。
名前を正しい漢字で表記することは大切ですが、読めなくなるのも困りものです。名刺交換といった最初に挨拶をするときや、最初にメールを送るときに相手に確認するといいでしょう。
③同じ苗字の人が複数いる場合
多人数宛で、同じ苗字の人が複数人いる場合は、フルネームで記載しましょう。
青木○○様、青木△△様、青木●●様
この場合、立場(役職)が高い人から順番に記載します
④同じ役職の人が複数人いる場合
多人数宛で、同じ役職の人を記載する場合、業務に関わりが深い人から順番に書きます。
「B部長、A部長」
の順番に書きましょう。
⑤団体宛のメールの敬称
病院や会社など団体宛てにメールを送る場合は、一般的に「御中」を使います。病院や会社の個人宛の場合は、個人名の後に「様」をつけます。
NG例)A病院御中 B様
⑥担当者名が不明の場合
問い合わせのメールを送るときなど、担当者の名前がわからない場合は、次のように書きます。
××病院
××部
●●ご担当者様(ご担当者様)
NG例)
○○病院 医事課御中 採用担当者様
御中と様の両方を付けると二重敬語となりますから気を付けましょう。
⑦宛名が長い場合
宛名が短い場合はそのままの記載で問題ありません。病院・会社名や部署名、役職名などが長い場合は、改行を使うと読みやすくなります。
⇒医療法人社団〇〇
●●リハビリテーション病院
リハビリテーション科 科長
◆◆◆◆様
⑧宛名に使う敬称の使い分け
一般的によく使われる宛名の敬称のひとつが「様」です。「様」は、個人に送る場合に使います。メールを送る相手が目上、目下に関係なく、個人であれば誰に対しても使うことができます。
「殿」の敬称は、一般的に目上の人から目下の人に対して使う敬称です。名前や役職の後に付けて使い、相手が男性・女性に関係なく使用できますが、取引先などに使うと失礼にあたるため注意しましょう。特に「殿」を使う理由がなければ、「様」を使うと良いでしょう。
⑨二重敬語・敬称を複数使わない
丁寧に伝えたい気持ちから、同じ種類の敬語を二重に使ってしまうことがありますが、これはNGです。メールの宛名では、敬称の重複にならないよう十分気を付けましょう。
○○部長
御中
各位
●●病院 ○○様
NG例)
○○部長様
御中様
各位様
●●病院御中 ○○様
宛名を間違えてしまったときの対処法
メールの宛名でよく見られるミスとしては、
・名前の間違い(誤字脱字)
・敬称の付け忘れや使い方の間違い
・宛名の付け忘れ
・TOとCCの間違い
などがあります。
間違いに気づいたら、すぐにお詫びのメールを送信するなど、すばやい対応が求められます。状況や相手によっては、上司等に報告します。
誠意をもって謝罪するのはもちろんですが、必要に応じて電話での謝罪も検討しましょう。
村尾 孝子(むらお たかこ)
薬剤師、医療接遇コミュニケーションコンサルタント。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: https://smilegrdn.exblog.jp/
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