医療介護・リハビリ・療法士のお役立ち情報

セラピストプラス

マイナビコメディカル
マイナビコメディカル

医療介護・リハビリ・療法士のお役立ち情報

セラピストプラス

鎖骨骨折のリハビリ内容は?日常生活での注意点と自分でできるリハビリについても紹介

公開日:2024.03.08

鎖骨骨折のリハビリ内容は?日常生活での注意点と自分でできるリハビリについても紹介

文:伊東浩樹(理学療法士)

事故や転倒などによって生じる骨折は、多くが足や手などの部位に見られます。しかし、ときには、小さな骨の部位に入る「鎖骨」が折れてしまうことがあります。

今回は、鎖骨骨折と診断された場合のリハビリ方法や、日常生活での注意点、自身でできるリハビリなどについて解説します。

鎖骨骨折の原因と骨折の起こりやすい場所

鎖骨骨折は、転倒や落下時に肩をぶつけたり、打ったりしたときや、外部から直接大きな力が加わったときに生じるケースがほとんどです。

一般的には、転倒した際や交通事故などによる鎖骨骨折が起こりやすく、スポーツ外傷ではラグビーや柔道など相手との激しい接触の機会が多いスポーツで起こりやすいとされています。

鎖骨骨折といっても、骨折部分は1箇所とは限らず、起こしやすい部分が3箇所あります。

・胸の骨に近い部分の骨折
・鎖骨の中央に起こりやすい骨折
・肩に近い部分の骨折

鎖骨骨折は上記の3箇所で起こるとされていますが、その中でももっとも多い傾向にあるのが「鎖骨の中央」です。また、鎖骨骨折は子供に生じやすいと言われることもありますが、実際には状況によって、年齢を問わずすべての人に起こります。

鎖骨骨折の症状

鎖骨骨折のリハビリ内容は?日常生活での注意点と自分でできるリハビリについても紹介

鎖骨骨折をした直後は、肩周囲の痛みが強くなるという特徴があります。その他、これらの症状がある場合にも、鎖骨が折れていると考えた方がよいでしょう。

・腕が動かない
・肩や鎖骨周囲に腫れがある
・鎖骨が本来の場所に無く、平行ではない
・腕から手指にかけて痺れや感覚麻痺がある
・吐き気、気分不良、熱感がある

鎖骨骨折による影響と治療

鎖骨骨折のリハビリ内容は?日常生活での注意点と自分でできるリハビリについても紹介

鎖骨は、腕を動かす肩関節の一部として、大きな役割を果たしています。そのため、鎖骨骨折によって腕の動きに大きな制限がかかります。

また、鎖骨骨折時には、腕神経叢(わんしんけいそう)と呼ばれる、腕から手指にかけての神経を支配する領域を傷つけてしまうことがあり、手指の動きや感覚にも違和感が生じる場合があるでしょう。

もし、鎖骨骨折を治療せずに放置したり、適切な方法で治療やリハビリを進めなかったりする場合は、大きな後遺症をもたらすおそれがあるため注意が必要です。

鎖骨骨折の主な治療方法

鎖骨骨折の治療方法には大きく分けて、「保存療法」と「手術療法」の2種類があります。

保存療法は、骨のズレが少ない場合や、子供のように骨が小さくて、まだ成長が期待できる場合に選択されることが多いでしょう。

一方、骨のズレが大きい場合や、腕や手指に痺れや感覚麻痺などがある場合、なるべく早く回復を目指して日常生活に復帰したい場合に手術療法が選択されます。手術により強く固定ができるうえ、リハビリ介入もしやすいという点で、手術を選択する場合もあるでしょう。

なお、手術方法は、「ワイヤー固定」と「プレート固定」の2種類があり、ワイヤー固定は比較的、骨のズレが少ない場合に適応となり、傷口も小さく済むのが特徴です。一方のプレート固定は骨に大きなズレがある場合に適応となるケースが多く見られます。

鎖骨骨折のリハビリの開始時期について

保存療法の場合は、一般的に骨がくっつくのを待ってからリハビリを開始することになります。痛みは1ヶ月程度で軽減することが多いものの、完全に動かせるようになるのは2~3ヶ月を要します。

一方で、手術をした場合は、入院期間は3日程度で、ワイヤーだと2週間程度が経過してから、プレート固定の場合、術後翌日からリハビリを開始する場合があります。

保存療法、手術療法いずれのケースであっても、入院期間は比較的短く、リハビリを受けるために通院となるケースが一般的です。また、早期回復を目指す場合には、自宅などで、自主リハビリを実施するとよいでしょう。

鎖骨骨折後の自主リハビリ内容について

鎖骨骨折のリハビリ内容は?日常生活での注意点と自分でできるリハビリについても紹介

通院によるリハビリでは理学療法士によって、他動運動と呼ばれる、他者の力を借りて、痛みが出ない範囲での肩関節の運動が行われます。その期間は3週間程度が目安です。その間、痺れや麻痺の程度を見ながら、理学療法士と作業療法士の指示のもと、手指の運動を実施することになるでしょう。

その後、自宅でできる自主リハビリとして、ボールなどを握る握力トレーニングや、指を自分で動かす練習を行いましょう。肩関節に関しては、自分で力を入れて良い時期になったら、まずは目の前まで腕を上げる練習をしていきます。

その際の角度は90°で、目線の高さより低い位置で止めます。痛みが許容できる範囲内で徐々に腕を上げる位置を高くしていきながら、最終的には鎖骨骨折をする前に腕を動かせていた位置まで動かすようにしましょう。

関節が動くようになってきたら、痛みに注意しながら前、外、後ろに腕の重さを意識して動かしていきます。

腕が動くようになったら、筋力トレーニングを実施してみましょう。ペットボトルに水を少し入れて手に持ち、同様に痛みのない範囲内で動かします。それができるようになったら、軽い重さのダンベルを持って腕を動かす運動をするのもよいでしょう。自主トレーニング用にゴムバンドを使用する方法もあります。

その場合、負荷の弱いものからはじめて、徐々に負荷の強いものに切り替えるのがおすすめです。また、筋トレとして定番の腕立て伏せを取り入れたい方は、2ヶ月後くらいからを目安に行ってください。その際も、最初から自分の体重すべてを支える腕立て伏せをするのではなく、膝をついて腕立て伏せをするところから始めるようにしましょう。

鎖骨骨折後の生活で気をつけること

骨折部位を固定する期間として4週間程度は、骨折した部位が再びズレないように注意して生活をする必要があります。

しかし、固定期間が終了して、完治と言われても、一度骨折した場所は比較的、再発やすくなっているため注意が必要です。できれば、3ヶ月程度は、鎖骨に負荷がかかるような力仕事を控えるようにしましょう。

また、転倒の危険や鎖骨に大きな力が加わるような動作はできるだけ避けた生活を心がけましょう。

鎖骨骨折後の生活で気をつけること

鎖骨骨折をきちんと治療しないと腕を動かすことが難しくなるおそれがあるため、治療を行い、リハビリを途中でやめないことが大切です。

完治後も、日常生活を送るなかで、腕を上げたり下ろしたりする動作が難しくなるおそれがあります。

医師や理学療法士に相談しながら、自宅でできるリハビリを取り入れて、体を整え、日常生活に支障がない生活を送りましょう。

■関連記事
圧迫骨折でやってはいけないことは?悪化予防のために気を付けることを徹底解説

伊東 浩樹(理学療法士)

伊東 浩樹(理学療法士)

理学療法士として総合病院で経験を積んだ後、予防医療の知識等を広めていくためにNPO法人を設立。その後、社会福祉法人にて障がい部門の責任者や特別養護ホームの施設長として勤務。医療機関の設立や行政から依頼を受けての講演、大学、専門学校等での講師なども勤める。

今よりさらに良い環境で働けるよう
キャリアドバイザーが全力でサポートします
\今すぐ1分で完了/

    <PR>マイナビコメディカル

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  •  LINEで送る

他の記事も読む

おすすめ

TOPへ