福祉住環境コーディネーターの合格率は?難易度や試験の概要も解説
公開日:2024.05.14
文:かな(作業療法士)
超高齢社会を迎え、高齢になっても住み慣れた地域で安心して暮らせる環境づくりへの関心が高まっています。その実現に貢献する専門家として注目されているのが、「福祉住環境コーディネーター」です。この記事では、福祉住環境コーディネーター2級を所持している現役作業療法士が、試験の合格率や難易度、試験の概要と対策について解説します。
目次
福祉住環境コーディネーターとは?
「福祉住環境コーディネーター」は、高齢者や障がい者など支援を必要とする人が住み慣れた地域で自分らしく安心して暮らせるように、住環境の整備をサポートする専門家です。
利用者や家族のニーズを把握して、住環境の評価や住宅改修のような改善策の提案を行います。
福祉住環境コーディネーターは東京商工会議所が認定する公的資格です。一度取得すれば更新は特に必要ありません。また、資格は1〜3級に分かれており、2級以上を所持していれば、介護保険を利用した住宅改修の際に必要な「理由書」を作成できるようになります。
なお、同じく、「理由書」を作成できる職種には、ケアマネジャーや理学療法士、作業療法士、1級建築士などもあります。
福祉住環境コーディネーター検定試験の合格率は?
福祉住環境コーディネーター検定試験は、通常、年2回開催されており、合格率は受験する級によってやや異なります。直近となる過去4回分として、2022年~2023年の傾向をまとめました(2024年3月10日時点)。
福祉住環境コーディネーター3級の合格率
福祉住環境コーディネーター3級の合格率は以下のとおりです。
2023年度 | 第51回 | 36.9% |
第50回 | 45.5% | |
2022年度 | 第49回 | 38.5% |
第48回 | 39.4% |
3級の合格率は、第50回では45%を超える結果となっていますが、過去の傾向を見ても、おおむね38〜39%前後で推移しています。
福祉住環境コーディネーター2級の合格率
福祉住環境コーディネーター2級の合格率は以下のとおりです。
2023年度 | 第51回 | 40.2% |
第50回 | 35.9% | |
2022年度 | 第49回 | 34.7% |
第48回 | 39.9% |
こちらも回によって異なるものの、2級の合格率はおおむね35〜40%前後で推移しています。
福祉住環境コーディネーター検定試験の難易度は? 3級と2級でどう違う?
合格率だけを見れば大差がないように見えますが、3級と2級では受験者層が異なる点に注意が必要です。
3級の受験者は学生が比較的多く、2級の受験者は医療職や介護職が多い傾向にあります。筆者の大学時代にも、在学中に3級の受験をしている同級生がいました。3級も2級も受験資格はなく、基本的に誰でも受験できますが、学生と専門職では有している知識の差があるのは否めません。そのため合格率だけで難易度を図るのは難しいでしょう。ただし、2級は3級の上位資格であることから、難易度という点で2級の方が試験内容は高度になっていると考えられます。
福祉住環境コーディネーターの試験の概要や対策
福祉住環境コーディネーターの受験を考えるなら、試験の概要を知っておくことが大切です。続いて、試験の出題範囲や受験方法、できる対策を紹介します。
福祉住環境コーディネーター検定試験の出題内容
福祉住環境コーディネーターの検定試験では、3級で福祉と住環境の基礎に触れ、2級では3級の内容に加えてより各分野の専門的な内容を問われます。以下に出題内容を簡単にまとめました。
3級 | 福祉と住環境の関連分野の基礎知識を問われる。高齢化社会における福祉・バリアフリーとユニバーサルデザイン・福祉住環境コーディネーターの役割など。 |
---|---|
2級 | 3級の範囲に加えて、実務に活かすための知識や専門職と連携して解決するための能力を問われる。医療や介護・建築や福祉用具の知識、問題点の抽出から解決方法など。 |
福祉住環境コーディネーター検定試験の受験方式
福祉住環境コーディネーターの検定試験は、通常、年2回実施されます。受験方式はIBT方式とCBT方式から選択可能です。以下でそれぞれの方式の違いを紹介します。
IBT | ・受験者自身のパソコンを利用して受験する。 ・特定の試験期間中に、あらかじめ申し込みすれば10〜19時の間で試験を受けられる。 ・自宅でも会社でも受験できる。 |
---|---|
CBT | ・全国各地のテストセンターに行き、備え付けのパソコンで受験する。 ・CBT利用料として受験料に2200円上乗せされる。 |
ともに回答は選択式で制限時間は90分です。受験料として、3級は5,500円、2級は7,700円が必要です。
福祉住環境コーディネーター検定試験の受験対策
福祉住環境コーディネーターの検定試験は、独学でも十分合格可能です。特に医療職や介護職、建築関係などで働いていて基礎知識があれば有利になるでしょう。
筆者は作業療法士ですが、公式テキストと過去問で対策しながら独学受験しましたが、一発で2級と3級に同時合格できました。建築関連の知識がなく、一から覚えるのは少し大変でしたが、医療・介護・福祉用具の基礎知識があったため、試験対策は比較的容易だったと感じています。
住環境に興味があるなら福祉住環境コーディネーターを取得しよう
福祉住環境コーディネーターは、高齢化社会が進むなかでますます需要が高まる資格です。また、自分や家族が住環境で困ったときにも役立つ可能性があります。人の役に立つ仕事に興味がある方、住環境に関心がある方は、福祉住環境コーディネーターを目指してみてはいかがでしょうか。
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■関連記事
【福祉住環境コーディネーター受験】いきなり2級を受けてもよい?合格率や試験対策などを解説
■参考
福祉住環境コーディネーター(R) 厚生労働大臣認定 国家資格
![rana](https://co-medical.mynavi.jp/contents/therapistplus/wp-content/uploads/sites/2/2024/01/7682707e35a4748770c7ac66690e65c8.jpg)
かな(作業療法士)
作業療法士/呼吸療法認定士・福祉住環境コーディネーター2級・がんのリハビリテーション研修修了
身体障害領域で15年以上勤務。特に維持期の患者さんの作業療法、退院支援に携わってきました。家では3人の子ども達に振り回されながら慌ただしい日々を送っています。趣味は読書とお菓子作り。
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