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作業療法士の離職率は高い?よくある退職理由や長期的に働ける職場を見つけるコツを解説

公開日:2024.06.11

作業療法士の離職率は高い?よくある退職理由や長期的に働ける職場を見つけるコツを解説

文:かな(作業療法士)

作業療法士の資格取得後、何らかの理由で退職する人は少なくありません。現在、作業療法士として働いている人のなかでも、今の職場を辞めたいと感じることもあるのではないでしょうか。

しかし、「長く働いていないのに辞めてよいものか」「転職先を探す時に不利にならないか」など気になる人もいるかもしれません。

今回は、作業療法士の離職率や退職理由に加えて、長く働ける職場を見つけるコツを解説します。

作業療法士の離職率はどれくらい?

作業療法士の離職率は高い?よくある退職理由や長期的に働ける職場を見つけるコツを解説

厚生労働省は業種ごとの離職率調査を行っているため、作業療法士単独もしくはリハビリ職のみの離職率のデータはありません。参考になる目安として、医療福祉分野の職種の離職率をみると、作業療法士の離職率は令和3年で13.5%。令和4年で15.3%でした。

令和4年度の結果から、他業種と比較すると、宿泊業・飲食サービス業26.8%、サービス業19.4%、生活関連サービス業・娯楽業18.7%に次ぐ結果です。

他の建設業・製造業・金融業・学術研究などが10%台なのを踏まえると、医療福祉分野の離職率はやや高いと考えられます。

また、令和4年賃金構造基本統計調査によると、作業療法士(理学療法士・言語聴覚士・視能訓練士も含む)の平均勤続年数は7.3年でした。

ほかのコメディカルが、看護師9.1年・診療放射線技師13.7年、臨床検査技師11.2年、栄養士8.5年であることを考慮すると短いといえます。こういった点からみても、作業療法士の離職率はやや高いといえるでしょう。

なお、ここで指す「離職率」は1年間の常用雇用者のうち、何人離職したかの割合を指します(離職者数/1月1日の常用雇用者×100)。常用雇用者とは期間を定めず働いている人であり、正社員とパート勤務を区別した数値を利用しているものではありません。

作業療法士のよくある離職理由

作業療法士の離職率は高い?よくある退職理由や長期的に働ける職場を見つけるコツを解説

作業療法士の退職理由は、新人と中堅やベテランで異なる傾向がありますが、代表的なものとして以下のような点が挙げられます。

● 教育に関する不満
● 人間関係に関する不満やトラブル
● 待遇に関する不満
● 家庭の事情
● キャリアに関する事情

それぞれの背景について、筆者や友人知人の経験もあわせて紹介します。

教育に関する不満

特に新人や経験年数の浅い人は、教育制度が充実していないことや指導が厳しすぎるといった理由が離職の要因となっています。作業療法士として働き始めたころは、特に実践的な知識や手技を身に付けたいと考えるものです。

教育体制が充実している職場ならよいですが、そうでない職場の場合、今後に不安を抱いて辞める人もいます。反対に教育が充実しているものの、指導に関わる残業が多すぎる、指導が厳しすぎるといったことから、心身に不調をきたして辞めてしまった人もいました。

人間関係に関する不満やトラブル

業界を問わず離職の要因となりやすいのが、人間関係での悩みです。作業療法士は、スタッフ間やリハビリ科内で人間関係のトラブルが生じることや、上司に意見ができずに尊重してもらえないといった理由から離職につながったケースもあります。また、患者さんや家族との関わりにプレッシャーがあり、対応の難しさにストレスを強く感じて辞める人もいます。

待遇に関する不満

作業療法士の給料は低い傾向にあり、待遇に不満を感じる人も少なくありません。そもそも作業療法士は診療報酬により収入を得ているため、同じ職場に長く勤めてもあまり昇給しない傾向にあります。そこで、収入アップにつながる転職のために、離職する人もいます。転職で大幅な年収増加が見込めるとは限りませんが、病院・施設を変えることでベースとなる基本給や手当が増える可能性があります。また、金銭面だけでなく、勤務体制や休日が原因で辞める人もいます。休みが取りにくい、そもそも休日が少ない、休日も研修が度々あり休まらない、といった理由から離職に至ることが多いようです。

家庭の事情

待遇や働き方に問題がなくても、家庭の事情で退職することもあります。作業療法士は女性が多い(※)職業ということもあり、筆者の周りでも家庭の事情で退職する人が多いように感じています。

実際に、配偶者の転勤や出産・育児といった変化や、時短勤務ができなくなることをきっかけに、子どもの入学を機に退職するといったケースがありました。いずれも女性でしたが、ライフステージの影響により退職せざるを得なかったようです。
※ 作業療法士の割合は、男性:女性=39%:61%(2021年OT協会誌より)

キャリアに関する事情

作業療法士としてキャリアアップしたいから、他の領域に挑戦したいから、といった理由で退職する人もいます。今の職場では担当できる症例に限りがある、興味をもった領域の経験が積めないといったことから転職に至るようです。

また、他の仕事や他の業種に挑戦したいという理由で退職する人もいます。筆者の周りだけでも意外に多く、養護教諭やサービス業、パーソナルトレーナー、製造業など、さまざまな分野でキャリアチェンジされています。

■関連記事
マイナビコメディカル|作業療法士に多い6つの退職理由|理想の職場探しのコツも解説

作業療法士が長期的に働ける職場を見つけるコツ

作業療法士としてのキャリアプランや、現在のライフステージなど、人によって働き方が異なるため、一概にはいえませんが「長期的に働きたい」のであれば、残業が少ない職場や休みが取りやすい職場など、働きやすさを意識してみるとよいでしょう。

以前の話ですが、数ヶ月先までシフトが決まっており、突発的な休みを許容してれくれない職場も筆者の周囲ではありました。体調不良や家庭の事情などは人それぞれですが、柔軟な働き方ができるか否かは長く働くうえで大切なことです。

こうした職場を見つけるにはコツがあります。それは「現場の生の声を聞くこと」。

求人票だけではみえない情報を、実際に働く人に聞いてみたり、見学させてもらったりすることで、職場の雰囲気がわかります。転職先として気になる病院・施設を見つけたら、できる限り見学させてもらい、働いている作業療法士の人と話す機会を設けてもらいましょう。実際にどの程度の残業があるのか、シフトはどのように決めているのかなどを聞くと、働くイメージがつかみやすくなります。

筆者も今の職場に入職する前、見学の時に実情を教えてもらえました。本音の回答が得られるとは限りませんが、もし答えをにごしたり、曖昧に回答しか得られなかったりする場合には、働きにくいのではないかと疑った方がよいかもしれません。

作業療法士として働きやすい職場を見つけよう

他の業界や業種と比べて、作業療法士の離職率はやや高いと推測されます。退職理由は人によって異なり、待遇やキャリアに関わることや家庭の事情などさまざまです。作業療法士として長く働く職場を見つけたいのであれば、事前に見学して現場で働く人の声を聞いてみましょう。求人票や病院のサイトではわからない実情を聞けるかもしれません。

■参考
e-Stat|賃金構造基本統計調査 / 令和4年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種
日本作業療法士協会誌
厚生労働省|令和3年雇用動向調査結果の概況
厚生労働省|令和4年雇用動向調査結果の概況

かな

かな(作業療法士)

作業療法士/呼吸療法認定士・福祉住環境コーディネーター2級・がんのリハビリテーション研修修了
主に身体障害領域で17年勤務。特に維持期の患者さんの作業療法、退院支援に携わってきました。家では3人の子ども達に振り回されながら慌ただしい日々を送っています。趣味は読書とお菓子作り。

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