作業療法士に多い6つの退職理由|理想の職場探しのコツも解説
作業療法士(OT)は、医療従事者の一員として患者さんにリハビリテーション指導を行う職業です。患者さんの自分らしい生き方を見つけながらサポートする重要な役割で、大きなやりがいを感じられます。
高齢化が進む日本では多くの作業療法士がいるものの、働いている方の中には理想通りの働き方ができずに辞めたいと考える方もいらっしゃいます。では、作業療法士の主な退職理由には、一体どのような理由が挙げられるのでしょうか。
退職を決意する作業療法士は新人・ベテランまで幅広く、それぞれ退職理由の傾向も異なります。
そこで今回は、作業療法士に多い6つの退職理由を、新人・ベテランの方別に紹介します。さらに、作業療法士に向いている人として参考になる特徴や、理想の職場を見つけるポイントも掲載していますので、退職・転職を考えている作業療法士の方へ参考になれば幸いです。
目次
【新人】作業療法士の主な退職理由
新人期間は、作業療法士として働くやりがいを感じながらも、職場の医師・スタッフや患者さんとの人間関係がうまく築けない、業務に関する悩みが尽きないなどといったことからストレスを感じてしまうこともあるでしょう。特に仕事に慣れていない間は、多くの場面において負担を感じることもあります。
まずは、新人作業療法士の退職理由として挙げられる3つの内容について、詳しく解説していきます。
教育体制が整っていなかった
作業療法士として働き始めた新人期間の1~2年目では、仕事内容や仕事の進め方においてわからないことも多くあるでしょう。その中で、上司や先輩社員、教育担当者に仕事に関する悩みを相談できない環境下では、どうしてもやりがいに影響してしまいます。
職場によっては、わかりやすいロードマップが用意されていたり、上司や教育担当の先輩から一つひとつのスキルを教わる制度が整っていたりと、さまざまな環境がありますが、中には人手不足が影響し、教育体制の整備になかなか手が回らないような状態の職場も少なくありません。
教育体制が整っていないことで、作業療法士として理想の姿を思い描きながら入職したものの、段階を踏んでスキルを習得することができないギャップを感じ、辞めたいという気持ちが高まってしまうケースも多くあります。また、雑務ばかりを任されてしまう環境では、なかなかスキルアップできないことからモチベーションも低下し、退職を希望する新人作業療法士もいらっしゃいます。
先輩からの指導が厳しかった
新人作業療法士は、仕事内容や仕事の進め方を上司や先輩社員、教育担当の社員から教わることが基本的な流れとなります。
新人期間のうちに一つひとつのスキルを習得しようと努力している中で、「優しく教えてほしい」「怒られたくない」という気持ちを持つことは不自然ではありません。
しかし、前述のとおり職場の教育体制が整っていないことや、業務が忙しい中で指導を受ける環境下では、先輩からの指導が厳しいと感じてしまう作業療法士の方もいます。
作業療法士はチーム医療の一員として、大切な患者さんの生活をサポートする役割を持っています。教育担当の先輩は、毎日の慌ただしさの中で根気強く教育することになるため、それが厳しい・怖いと感じてしまうことも。
指導してくれる先輩との相性もありますが、指導の厳しさにより新人作業療法士が退職を決意する要因のひとつとなっています。
残業が多かった
作業療法士を含むリハビリ職では、新人期間に覚えなければならないことがたくさんあります。実務以外での作業が多くなることで残業が増え、身体的・精神的負担やストレスを抱えてしまい、退職を決意する作業療法士も少なくありません。
また作業療法士の方は、業務が終わったあとに勉強会やセミナーに参加する日もあることから、残業が多くなる傾向にあります。勉強会やセミナー参加での残業手当が出ない職場もあるため、1日の拘束時間が長いにもかかわらず給料が低いと感じ、ネガティブな印象を感じてしまうこともあります。
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【ベテラン】作業療法士の主な退職理由
続いて、ベテラン作業療法士の主な退職理由を3つ説明します。
先ほどまでは新人作業療法士に絞って退職理由を紹介しました。新人のうちとは異なり、長く作業療法士として働いたベテラン作業療法士の方の退職理由にもさまざまな背景があります。
現在の職場を退職したいと考えられているベテラン作業療法士の方へ、同じ境遇であるベテランの作業療法士の方の退職理由も参考になれば幸いです。
業務量と給料が割に合わない
同じ施設に何年も勤続しているベテラン作業療法士の方は、ほぼ全ての業務を網羅していることでしょう。そして、ご自身の業務以外のところでも、新人の教育指導や管理業務など多くの業務を任されることも少なくありません。人によってはやりがいを感じられる瞬間でもありますが、業務量が増えることで自身の給料と釣り合いがとれなくなると、ストレスを抱える要因になり得ます。
また、働く場所によっても給料が割に合わないと感じるケースもあります。
下記は、医療・福祉に深く携わる職業と、作業療法士を含むリハビリ職の平均年収の比較した表です。
以下の通り作業療法士は、医療・福祉施設などで働く介護職員よりも60万円ほど平均給与額が高い結果となっています。
看護師 | 約492万円 |
理学療法士・作業療法士 言語聴覚士・視能訓練士 |
約419万円 |
介護職員(医療・福祉施設等) | 約360万円 |
(出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」/https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/chinginkouzou.html)
しかし、作業療法士が介護職員の一員として業務を行う場合は、医療・福祉施設などで働く介護職員としての給料基準となる可能性があり、作業療法士を含むリハビリ職の平均給与額を下回ることがあります。
介護職員や作業療法士に限らず、多くの業務量と向き合いやりがいを持って働いても、基本給が上がらない、業務量と給料が割に合わないといったギャップを感じ、退職を決意する作業療法士は少なくないのです。
キャリアアップをしたくなった
ある程度の経験・スキルを積んだ作業療法士でも、日々中心的に行うのは特定の業務で、新たな領域に挑戦できなかったり、今以上の知識を学ぶことができなかったりするケースは多々あります。
より幅広いフィールドで活躍したいと考えているベテラン作業療法士にとって、なかなか給料が上がらずキャリアアップのできる環境が整っていない職場ではやりがいにつながらないことも。日々行っている同じ業務から離れ、新たな経験を積み重ねたいと退職を決意するベテラン作業療法士もいらっしゃいます。
育児と両立できなかった
男性女性問わず、勤続10年を超えたベテラン作業療法士の方は、結婚や出産を経て、仕事が終わると家で育児が始まるという方もいらっしゃいます。産休・育休から晴れて復帰できても、実際に仕事を始めてから育児との両立ができないことに悩むケースも多々あります。
家庭を守るための仕事のはずが、仕事の忙しさにより育児がおろそかになって自己嫌悪に陥るパターンも。仕事も育児もおろそかにしたくないという理由で転職を決意する作業療法士の方もいらっしゃいます。
作業療法士は向き・不向きがある?
ここまで、新人・ベテラン別に作業療法士のよくある退職理由を紹介しました。
退職を決断する作業療法士は、仕事が向いていなかったのではなく、それぞれの身体面・精神面が大きく関係していると言えるでしょう。
では実際に、作業療法士に向き・不向きはあるのでしょうか。ここでは作業療法士に向いている方の特徴をご紹介します。
記載する項目に当てはまらなかったり、現時点で「自分は作業療法士に向いていないかもしれない」と感じていたりする方も、決して全員が絶対に向いていないというわけではありません。
作業療法士を志した理由や日ごろのやりがいを思い返すことで、新しい職場でもチャレンジできるはずです。
作業療法士に向いている人 |
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・コミュニケーションをとることが好きな人 ・困っている人を放っておけない人 ・忍耐力のある人 ・小さな変化に気づける人 ・プランを立てるのが好きな人 ・ポジティブな人 |
作業療法士に必要なコミュニケーション能力とは、話を盛り上げられるスキルではありません。発達障害を抱えた子どもや身体障害を抱えた高齢者の患者さんとリハビリを進めるため、幅広い世代の方とコミュニケーションをとれるかが大切です。
また、リハビリ業務は各患者さんに対して長い期間をかけて行うものであるため、忍耐力のある人が向いています。反対に、好奇心や意欲がなく諦めやすい人は、仕事がきついと感じることが多いかもしれません。
患者さんに対して前向きな生活を送ってもらうことも、作業療法士の重要な仕事の一つです。そのため、ポジティブな人も作業療法士としての素質があると言えるでしょう。
作業療法士が理想の職場に転職するためには?
作業療法士が理想の職場に転職するために、下記のポイントを押さえておきましょう。
〇転職理由を明確にする
転職先で理想の働き方をしたいと考える方は、まず転職理由を明確にすることが重要です。転職理由を明確にすることで、理想の職場の条件や働き方も自ずと見えるようになるでしょう。
もちろん、辞めたいと感じた理由が今回ご紹介したようにネガティブな内容の場合もあるかと思います。ただ、そこには「もっとこうしたい」といったポジティブな気持ちがあったのではないでしょうか。
不満の原因を探ることで、自分の仕事への価値観や本当にやりたいことが見えてくるはずです。
転職活動をされるときには、新しい職場に前向きな言葉で転職理由を伝えられるように、ポイントをまとめておくとよいでしょう。
〇面接対策をする
理想の求人を見つけても、採用を目指すために対策が必要になります。第一志望の面接先の合格を勝ち取るためにも、少なくとも転職予定日の2ヶ月前から、求人の情報収集や自己分析などの面接対策を行っておきましょう。
〇マイナビコメディカルの転職サポートを利用する
転職サイトのマイナビコメディカルでは、転職のプロであるキャリアアドバイザーが、一人ひとりに適した非公開求人の紹介から面接対策のサポートまで行っています。まずは情報収集のみでも活用いただけるので、現在抱えている不安なことや心配なことを転職のプロに相談してみてもよいでしょう。
まとめ
作業療法士の退職理由は、新人とベテラン別に退職理由の特徴を見てきました。大きな傾向として、新人作業療法士は主に仕事内容や先輩との人間関係で大きな悩みを抱え、ベテラン作業療法士はキャリアや私生活に関する悩みを抱えて退職を決意しているケースが多くあります。
作業療法士として現在の職場を退職して転職を進める場合は、一般的に面接対策を含む転職準備期間に3ヶ月程度は必要となります。転職理由を明確にした上で、3ヶ月前から勤務先の退職準備・転職先選び・面接対策などをしっかり行っておくことがポイントです。
1人で転職活動を進める際は、わからないことも多くつまずくこともあるかもしれません。
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