保育園で働く管理栄養士とは?仕事内容・待遇・やりがいなどを紹介!

更新日 2024年02月27日 公開日 2022年09月22日

#保育園 #年収・給料 #情報収集 #転職検討/準備

管理栄養士の資格を生かした働き方の1つに、保育園勤務があります。保育園や認定こども園を利用する家庭が増えるなかで、管理栄養士は今後さらに需要が高まる職種といえるでしょう。

保育園で管理栄養士として働くためには、与えられる役割や仕事内容を理解しておくことが大切です。

今回は、保育園で働く管理栄養士の仕事内容や待遇、やりがい、注意点について解説します。保育園の求人探しに役立つサイトも紹介しますので、資格を生かして働きたいと考えている方の参考になれば幸いです。

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保育園で働く管理栄養士とは?仕事内容・待遇・やりがいなどを紹介!

保育園で働く管理栄養士の役割と仕事内容

保育園で働く管理栄養士の主な役割は、「給食の提供」と「食育」です。

保育園で提供される給食は、園児の年齢やアレルギーの有無などを考慮した献立作成・調理を行う必要があります。

〇給食の提供
給食の提供(献立作成、食材発注、調理、予算管理など)は、保育園で働く管理栄養士の代表的な業務です。調理は管理栄養士だけではなく、調理師などとチームを組んで行います。また、食物アレルギーのある子どもにもしっかり対応するため、保育士との連携も欠かせません。
ただし、園児数が少ない小規模保育園では、管理栄養士が1人で栄養管理と調理全般を行うケースもあります。
〇食育
2005年に食育基本法が制定されて以降は、栄養士・管理栄養士にも食育の推進が求められるようになりました。保育園で働く管理栄養士は、園児たちの規則正しい食生活や正しい食材の選び方といった「食を営む力」を育てるため、給食の時間を中心に食育活動を行います。
以下は、厚生労働省が発表した、保育園における食育活動の指針です。

    保育所は1日の生活時間の大半を過ごすところであり、保育所における食事の意味は大きい。
    食事は空腹を満たすだけでなく、人間的な信頼関係の基礎をつくる営みでもある。子どもが身近な大人からの援助を受けながら、他の子どもとのかかわりを通して、豊かな食の体験を積み重ね、楽しく食べる体験を通して、食への関心を育み、食を営む力の基礎を培う「食育」を実践していくことが重要である。
    保育所における「食育」は、保育所保育指針を基本とし、食を営む力の基礎を培うことを目標として実施される。「食育」の実施に当たっては、家庭や地域社会と連携を図り、保護者の協力のもと、保育士、調理員、栄養士、看護師などの全職員がその有する専門性を活かしながら、共に進めることが重要である。
    また、保育所は地域子育て支援の役割をも担っていることから、在宅子育て家庭からの乳幼児の食に関する相談に応じ、助言を行うよう努める。

(引用:厚生労働省「『楽しく食べる子どもに~保育所における食育に関する指針~」/https://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/06/dl/s0604-2k.pdf

食育は栄養士・管理栄養士だけでなく、調理員や保育士などと連携して実施するのが基本です。ときには、園児たちが楽しみながら参加できる調理実習など、食に関する体験活動を実施することもあります。

1日のタイムスケジュール例

下記は、保育園で働く管理栄養士のタイムスケジュール例です。タイムスケジュールは園ごとに異なるため、参考程度にご覧ください。

仕事内容
8:30 ・出勤
・登園した園児の人数、献立、アレルギーなどの確認
・おやつ(午前用)の準備
・食材の検品
・給食室や厨房の衛生管理
9:00 ・おやつ(午前用)の提供と片付け
・調理スタッフと献立確認
・給食の準備
11:00 ・検食
・給食の提供と片付け
12:00 ・休憩
13:00 ・食器の洗浄
14:00 ・事務仕事
・おやつ(午後用)の準備
15:00 ・検食
・おやつ(午後用)の提供と片付け
16:00 ・厨房の清掃
・事務仕事(献立作成・食材発注・給食だよりの作成など)
17:00 ・必要に応じて夕食の準備
・保育士や調理スタッフと打ち合わせ
17:30 ・退勤

昼食やおやつの際、管理栄養士は園児の食べている様子を見てまわり、食べやすさや食べ残しの状況を確かめます。

【関連リンク】マイナビコメディカルで保育園の
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管理栄養士が保育園で働く場合の待遇とは?

管理栄養士として保育園で働きたい方は、待遇面をチェックしておくことも大事です。求人情報を見る際は、給与・休日・福利厚生の3つをきちんと確認しましょう。

〇給与
下記は、厚生労働省が発表した栄養士・管理栄養士の平均月給・平均賞与・平均年収です。栄養士全体の平均年収は、約379万円となっています。

【栄養士・管理栄養士の給与】

平均月給 平均賞与 平均年収
約26万4,200円 約62万300円 約379万円

(出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」/https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040029185

ただし、ここに紹介した金額は、保育園以外の職場や栄養士の給与も含めた平均値であり、実際の給与額は、保育園の運営形態や雇用形態などによって差があります。
資格手当や昇給によって平均以上の給与額も目指せますが、手当や賞与の有無は保育園によって異なるため、事前に確かめておきましょう。

〇休日
多くの保育園は、月曜日から土曜日までの週6日開園となっており、保育園で働く管理栄養士の休日は、一般的に日曜日・祝日・平日1日です。土曜日は園児数が少ない傾向にあるため、土曜日勤務をシフト制としている保育園も多く見られます。
ちなみに、マイナビコメディカルの求人情報を調査したところ、年間休日数は105~120日の保育園がほとんどでした。また、お盆や年末年始など保育園が休みとなる期間は、長期休暇を取得することもできます。
〇福利厚生
内容は園によってさまざまですが、保育園は福利厚生が充実している傾向にあります。ただし、アルバイトやパートの場合は、福利厚生が受けられない可能性もあるので注意が必要です。
保育園で実施されている主な福利厚生は、下記の通りです。

    ●社会保険完備
    ●退職金制度
    ●健康診断の実施

さらに、「優先入園」「保育料の割引」「時短勤務」などを利用できる保育園もあります。

【関連リンク】管理栄養士の年収はいくら?
職場別の平均給与を公開

管理栄養士の保育園求人の例

栄養士全体の平均年収は約379万円ですが、管理栄養士は栄養士の上位資格にあたるため、管理栄養士に限定した年収は、栄養士全体の数値よりもやや高くなるでしょう。

下記に、マイナビコメディカルに掲載されていた「保育園/管理栄養士」の正社員求人例を4つ紹介します。

【保育園で働く管理栄養士の給与・待遇例】

給料 休暇・休日 福利厚生
保育園A 17.5万円~
(モデル年収268万円~)
・年間休日:105日
・週休2日制(日・祝)
・夏季休暇
・通勤手当
・特別手当 など
保育園B 16.0万~20.6万円
(モデル年収204万円~)
・年間休日:105日
・年末年始休暇
・出産・育児休暇 ・通勤手当
・地域手当
・扶養手当
・退職金制度 など
保育園C 17.4万~31.6万円
(モデル年収298万~379万円)
・年間休日:108日
・年末年始休暇
・出産・育児休暇
・通勤手当
・退職金制度 など
保育園D 20.6万円~
(モデル年収271万円~)
・年間休日:120日
・完全週休2日制
・年末年始休暇
・夏季休暇
・出産・育児休暇
・通勤手当
・住宅手当
・資格手当
・シフト手当
・処遇改善手当
・財形貯蓄制度
・永年勤続制度 など

上記からわかるように、給与や休暇、休日制度、福利厚生は保育園によって大きく異なります。なお、求人例に記載された給料は初任給の想定額であるため、経験年数や保有スキルによって昇給する可能性は十分にあるでしょう。

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将来性や転職時のポイントも

保育園で働く場合のやりがい

保育園は、園児と触れ合えたり、園児の成長を間近で見られたりする職場です。保育園での仕事は、子どもが好きな方や幼児期の食育に興味がある管理栄養士にとって、大きなやりがいを感じられるでしょう。

管理栄養士が保育園で働くことで感じられる、その他のやりがいは下記の通りです。

〇園児から「おいしい」といってもらえる
管理栄養士の仕事の1つに、園児の成長に合わせた献立管理業務があります。自分が考えた給食を食べた園児から、「おいしかった!」「またつくって」といってもらえるのは、管理栄養士にとって大変うれしいことです。
〇余裕をもってメニューの作成ができる
病院や学校施設で働く場合は、調理作業や事務作業などの仕事量が多く、献立作成にあまり時間を割けません。しかし、保育園は病院などと比べて給食を提供する人数が少ないため、余裕をもってメニューの作成ができます。

こうしたやりがいは、日々の仕事のモチベーションを高め、結果としてスキルアップにもつながるでしょう。

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メリット&デメリットを解説

保育園で働く管理栄養士に求められるスキル

保育園で働く管理栄養士には、次のようなスキルが求められます。

●アレルギーに関する知識
●コミュニケーション能力
●誤嚥(ごえん)や窒息などへの対応力

ここからは、それぞれのスキルについて詳しく説明します。

アレルギーに関する知識

近年は、アレルギー体質の子どもが増加しています。食物アレルギーは特に多く、「1クラスに2~3人いてもおかしくない」といわれるほどです。そのため、保育園で働く管理栄養士はアレルギーに関する知識が欠かせません。

アレルギー体質の度合いによっては、命にかかわるおそれもあります。管理栄養士はアレルギーに関する専門知識を常にアップデートし、子どもに合わせた献立を考える必要があるでしょう。

また、食物アレルギーの子どもが増えたことで、保護者のアレルギーに対する関心も高まっています。保護者から食事に関する相談やアドバイスを求められた際は、専門的な知識をもって的確に対応する必要があることも覚えておきましょう。

コミュニケーション能力

管理栄養士が保育園で働く場合、1人で完結できる仕事がほとんどありません。給食管理・調理・食育がメインとなる管理栄養士の業務は、栄養士や調理師、保育士などと連携して進めることが基本です。そのため、コミュニケーション能力は非常に重要なスキルだといえます。

管理栄養士は、チームのリーダーとなって調理員などに指示を出したり、指導したりする場面もあります。スタッフとの信頼関係を構築するためにも、円滑なコミュニケーションを心がけましょう。

また、園児の家族に対して、「栄養の専門家」としてアドバイスするような場面でも、コミュニケーション能力が不可欠です。

誤嚥や窒息などへの対応力

保育園で提供される給食は、園児の年齢や体質などによって献立や調理方法が異なります。複数の献立を取り扱う場合は、1人ひとりの年齢や体質に配慮した上で調理を行い、誤飲や窒息などに対応しましょう。

咀嚼(そしゃく)・嚥下機能の発達は個人差が大きく、特に0歳児や障害のある子どもは、誤嚥や窒息の危険性が高いため注意が必要です。

また、園児が授乳・哺乳から離乳食に移行したり、離乳食から固形食に移ったりする過程では、保育士と連携しながら調理形態(量・大きさ・固さなど)を工夫することも大切です。

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つらい・疲れたと感じたときの対処法

保育園で働く管理栄養士のスキルアップに役立つ資格

保育園で働く管理栄養士は、保育やアレルギー関連の資格を取得することで、さらなるスキルアップを目指せます。

保育園で働く管理栄養士のスキルアップに役立つ資格としては、次の3つがおすすめです。

●食物アレルギー分野管理栄養士
●小児栄養分野管理栄養士
●保育士

ここからは、それぞれの資格の概要や取得方法について詳しく説明します。

食物アレルギー分野管理栄養士

食物アレルギー分野管理栄養士は、公益社団法人日本栄養士会が認定する資格で、「根拠にもとづく食物アレルギーの専門知識を踏まえ、リスクマネジメントを考慮した安全かつ適切な食の提供と栄養指導を行える管理栄養士」に付与されます。

食物アレルギー分野管理栄養士の認定を受けるには、下記の条件を満たす必要があります。前提として、日本栄養士会への在籍と、栄養士・管理栄養士の実務経験3年以上が必要なことも覚えておきましょう。

(1)食物アレルギー基礎研修を修了する
(2)食物アレルギー分野管理栄養士 認定研修を修了する
(3)認定試験と課題・活動レポート審査に合格する

(出典:公益社団法人 日本栄養士会「食物アレルギー分野管理栄養士・栄養士」/https://www.dietitian.or.jp/career/specialcertifications/allergy/

小児栄養分野管理栄養士

小児栄養分野管理栄養士とは、「子どもにかかわる管理栄養士として専門知識・技術を広く習得し、1人ひとりの疾患や栄養状態に適した栄養食事指導ができるスペシャリスト」として、公益社団法人日本栄養士会が認定する資格です。

小児栄養分野管理栄養士の認定を受けるには、下記の条件を満たす必要があります。こちらも前提として、日本栄養士会への在籍と、栄養士・管理栄養士の実務経験3年以上が必要です。

(1)栄養ケアプロセス研修・小児分野基本研修・小児分野専門研修を修了する
(2)2つの事例報告を提出し、認定試験を受験する
(3)事例報告の審査・認定試験に合格する

(出典:公益社団法人 日本栄養士会「小児栄養分野管理栄養士」/https://www.dietitian.or.jp/career/specialcertifications/pediatricnutrition/

保育士

保育園で働く管理栄養士が、さらなるスキルアップを目指す場合は、保育士資格の取得もおすすめです。栄養や食育の知識に加えて、保育に関する専門知識をもった管理栄養士は、現場で幅広く活躍できるでしょう。スキルアップや昇進・昇給に役立つほか、転職においても有利になる可能性があります。

保育士資格の取得には、下記2つのルートがあります。

(A)指定保育士養成施設(大学、短大、専門学校)でカリキュラムを修了する
(B)保育士国家試験を受験・合格する

(出典:厚生労働省「保育士になるには?」/https://www.mhlw.go.jp/hoiku-hellomirai/shikaku/

指定保育士養成施設を卒業した場合は、国家試験を受験せずに保育士資格を取得できますが、2~4年の通学が必要です。通信や夜間コースを設けている学校もありますが、すでに管理栄養士として働いている場合は簡単なルートとはいえません。そのため、管理栄養士が保育士資格を取得する場合は、(B)の保育士国家試験の受験・合格ルートが一般的となります。

なお、(B)のルートで保育士資格の取得を目指す場合は、「短大以上の卒業」または「児童福祉施設での2年以上の実務経験」が条件となることも覚えておきましょう。

【関連リンク】管理栄養士国家試験とは?
受験資格から合格率・勉強法まで

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まとめ

保育園で働く管理栄養士の主な仕事は、給食の提供や食育業務です。子どもの成長を間近で支えられるため、子どもが好きな方は大きなやりがいが得られるでしょう。

管理栄養士として働ける保育園を探す場合は、給与や休日、福利厚生に注目して求人情報をチェックするのがポイントです。実際に働く場合は、園児の健康と安全に十分配慮し、誤飲やアレルギーには特に注意しましょう。

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監修者プロフィール

マイナビコメディカル編集部

 

リハ職・医療技術職・栄養士のみなさまの転職に役立つ情報を発信中!
履歴書や職務経歴書の書き方から、マイナビコメディカルサイト内での求人の探し方のコツや、転職時期ごとのアドバイス記事などを掲載。
転職前の情報収集から入職後のアフターフォローまで、転職活動の流れに添ってきめ細やかなフォローができる転職支援サービスを目指しています。

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