学校で働く栄養士には2つの種類がある?それぞれの仕事内容・給料・やりがいから必要資格まで

更新日 2024年04月24日 公開日 2024年04月24日

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学校給食の現場では、日々多くの栄養士・管理栄養士の方が活躍しています。学校で働く栄養士には栄養教諭と学校栄養職員という2つの職種があり、役割や働き方が異なります。栄養教諭になるためには教員免許も必要なので、学校での仕事に興味のある方は、それぞれの違いを知った上で、自分がどのような働き方をしたいのか考えることが大切です。

当記事では、学校で働く栄養士の仕事内容や給料、やりがいなどを詳しく解説します。学校給食や、子どもたちの食育に関わりたい栄養士・管理栄養士のみなさんは、ぜひ参考にしてください。

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学校で働く栄養士には2つの種類がある?それぞれの仕事内容・給料・やりがいから必要資格まで

学校で働く栄養士の2つの職種

学校で働く栄養士は、学校給食を通して子どもたちの健全な発育をサポートしたり、子どもたちに正しい食の知識を伝えたりする役目を担います。

学校栄養士には、「栄養教諭」と「学校栄養職員」という2つの職種があります。まずは、それぞれの概要や役割について説明しましょう。

(1)栄養教諭

栄養教諭は、義務教育課程の児童・生徒に対して、食育指導や栄養指導を行う学校教員です。学校給食の栄養管理業務や衛生管理に加えて、家庭科や保健体育の学習時間に食育の授業を行うこともあります。

肥満やアレルギー、偏食などに対する個別指導や食に関する実習などを行い、児童や生徒に「食事や栄養を自己管理する能力」と「好ましい食習慣」を身につけてもらうのも、栄養教諭の大事な役目です。

なお、栄養教諭制度は「児童や生徒の食生活の乱れを改善し、健康な食習慣を身につけてもらうこと」を目的に、2005年文部科学省によって設けられました。

(出典:文部科学省「栄養教諭制度の概要」/https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/eiyou/04111101/003.htm

(2)学校栄養職員

学校栄養職員の役割は、給食を通して子どもたちの健やかな成長をサポートすることです。

学校栄養職員の重要な役割の1つとして、給食の献立作成があげられます。学校給食の献立は、成長期の子どもたちに必要な栄養素をバランスよく組み合わせて、作成しなければなりません。栄養バランスのとれた給食献立は、子どもたちの食べる力を育むための「教材」にもなるため、学校栄養職員は児童や生徒の食育推進を担う存在だといえるでしょう。

食生活の多様化にともない、近年は地産地消や食文化の継承に取り組む学校も増えています。そのため、学校栄養士には地元の食材を使った郷土料理や、行事食などを献立に取り入れる工夫が求められるようになりました。また、安心安全な給食提供のための衛生管理業務も、学校栄養職員の大切な役割です。

(出典:文部科学省「学校栄養職員の職務内容について(通知)」/https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/sports/004/toushin/030201b.htm

【関連リンク】栄養教諭とは?主な仕事内容・やりがい・栄養士との違い

【職種別】学校で働く栄養士の仕事内容・給料・やりがいを紹介!

栄養教諭と学校栄養職員の勤務先は、いずれも小学校や中学校です。ただし、役割や仕事内容が異なるため、給料や仕事をする上でのやりがいにも違いが生じます。

以下では、栄養教諭と学校栄養職員の仕事内容や給料、やりがいについて紹介します。

学校栄養士の仕事内容

栄養教諭と学校栄養職員のそれぞれの仕事内容は、下記の通りです。

●栄養教諭
栄養教諭の主な仕事は、学校給食の管理・運営、食育の推進です。

多くの小中学校では、食育活動の一環として地元でとれた食材を給食献立に取り入れており、栄養教論は地域と学校をつなぐ役割も担います。

  • ・給食管理・運営
  • ・教科・特別活動における食育指導
  • ・食育指導のための連絡・調整(情報収集や他の教員との情報共有)
  • ・肥満や偏食、食物アレルギーなどを抱える児童や生徒に対しての個別指導
  • ・保護者への栄養指導
  • ・地元の生産農家など地域と学校をつなぐ窓口

栄養教諭は学校栄養職員とは異なり、家庭科や保健体育の授業、学校行事などで児童や生徒たちに直接授業を行えるのが特徴です。

●学校栄養職員
学校栄養職員は、栄養士としての専門知識を生かして学校給食の管理と食育のサポートを行います。

  • ・学校給食の献立作成
  • ・給食だよりの発行
  • ・給食で使用する食品や食材の選定・発注
  • ・給食の調理業務
  • ・配食の管理
  • ・給食室の衛生管理
  • ・学校給食調理員への指示やサポート

栄養教論のように直接的な食育指導は行いませんが、給食だよりを作ったり、食育指導を行う教員のサポートをしたりすることはあります。

学校栄養士の給与

文部科学省が行った学校教員統計調査によると、2019年度における栄養教論の平均月給は約31.4万円となっていました。

(出典:e-Stat 政府統計の総合窓口「学校教員統計調査 給料月額別 職名別 教員構成」/https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00400003&tstat=000001016172&cycle=0&tclass1=000001152450&tclass2=000001152451&tclass3=000001152453&tclass4=000001152456&tclass5val=0

一方、栄養教諭のように教員としての業務を行わない学校栄養職員は、平均月給が栄養教諭よりもやや低くなると予想されます。なお、公立の小中学校に勤務する栄養教諭・学校栄養職員はいずれも公務員となるため、給与は各都道府県が定めた金額となります。

また、私立の学校で正社員として雇用される場合は、ほかの職員と同様、勤続年数に応じて給与が増加する傾向にあります。

やりがい

栄養教諭と学校栄養職員のやりがいは、下記の通りです。

●栄養教諭
栄養教論は、教員として学校の教壇に立つことができます。児童や生徒と直接触れ合う時間を通じて、学校給食や食育に対する子どもたちのリアルな声を聞けるのは、栄養教諭ならではのやりがいといえるでしょう。

  • ・栄養の専門家として教壇に立ち、直接子どもたちと関われる
  • ・学校給食に関して、子どもたちのリアルな声が聞ける
  • ・食育や給食を通して、間近で子どもたちの成長が見守れる

よりよい食育指導を目指すなかで自分自身が成長できるのも、栄養職員として働く際のやりがいになるはずです。

●学校栄養職員
学校栄養職員は、児童や生徒たちから見えないところで子どもたちの栄養面をサポートする、「縁の下の力持ち」的な存在
です。栄養教諭のように直接的な指導はできませんが、子どもたちから「給食おいしかった!」「苦手な野菜が食べられた」などと声をかけられる機会も少なくありません。そうした場面に遭遇したときは、大きなやりがいを感じるでしょう。

  • ・学校給食を通して、児童や生徒の栄養面をサポートできる
  • ・学校給食をきっかけに、好き嫌いや偏食を克服できる子どもがいる
  • ・給食を通して、さまざまな食文化や食材に興味を持ってもらえる

学校給食を通して、子どもたちの健全な体と心の成長をサポートするのが学校栄養教職員のいちばんのやりがいです。

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栄養教諭のなり方・必要な資格

栄養教諭になるためには教員免許が必要です。栄養教諭を目指すルートには、資格の保有状況によっていくつかの選択肢があります。

①栄養士免許や管理栄養士免許を持っている場合
栄養士や管理栄養士の免許を持っている場合は、栄養教諭の免許が取得できる学校に再入学するか、科目等履修生となって必要単位を取得することで栄養教諭の免許を取得できます。
②管理栄養士資格を持ち、学校栄養職員としての実務経験がある場合
申請時に現役の学校栄養職員であり、かつ3年以上の勤務経験があれば、大学などで所定の単位を修得することで「栄養教諭一種免許状」を取得できます。
③栄養士資格を持ち、学校栄養職員としての実務経験がある場合
申請時に現役の学校栄養職員であり、かつ3年以上の勤務経験があれば、大学などで所定の単位を修得することで「栄養教諭二種免許状」を取得できます。
④教員免許を持っているが、栄養士免許を持っていない場合
他教科の教員免許を持っている場合には、栄養士養成施設に通い、栄養士免許を取得することで栄養教諭を目指せます。
⑤栄養士免許も教員免許も持っていない場合
栄養教諭免許の取得が可能な管理栄養士・栄養士養成施設に通い、卒業する必要があります。

取得できる教員免許の種類は、専修免許(大学院修士課程修了程度)、一種免許(大学卒業程度)、二種免許(短期大学卒業程度)に分かれています。また、⑤のルートでは、栄養士の免許や管理栄養士国家試験の受験資格も取得可能です。

(出典:文部科学省「資料4‐2 栄養教諭免許制度の概要」/https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/002/siryo/attach/1377069.htm

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学校栄養職員のなり方・必要な資格

学校栄養職員になるためには、国家資格である栄養士または管理栄養士の資格を取得する必要があります。

栄養士の資格を取得する方法は、下記の通りです。

栄養士の資格取得方法
栄養士になるためには、厚生労働大臣から指定認可を受けている栄養士養成施設に通い、必要な単位を取得する必要があります。卒業後、都道府県知事に申請することで、栄養士免許が取得できます。

管理栄養士資格の取得方法は、栄養士としての実務経験がある場合とない場合で異なります。それぞれの方法は下記の通りです。

管理栄養士の資格取得方法(実務経験ありの場合)
栄養士免許を取得後、実務経験を1~3年以上積むことで管理栄養士国家試験の受験資格が得られます。
管理栄養士の資格取得方法(実務経験なしの場合)
管理栄養士養成課程がある4年制の学校に通い、卒業することで管理栄養士国家試験の受験資格が得られます。

いずれの場合も、管理栄養士国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受けることで、管理栄養士になれます。

なお、栄養士・管理栄養士の資格を取得し、学校栄養職員になるためには、各都道府県が実施する学校栄養士の職員採用試験を受験する必要があります。

(出典:公益社団法人 日本栄養士会「管理栄養士・栄養士とは」/https://www.dietitian.or.jp/students/dietitian/

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まとめ

栄養士・管理栄養士が学校で働く場合、栄養教諭と学校栄養職員という2つの働き方があります。栄養教諭は学校給食に関わるだけでなく、子どもたちの食育のために直接授業も行います。一方の学校栄養職員は給食の献立作成や衛生管理を行い、子どもたちの成長をサポートする仕事です。

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※当記事は2023年12月時点の情報をもとに作成しています

監修者プロフィール

マイナビコメディカル編集部

 

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