栄養士が取得すると有利になる資格とは|栄養士資格についても解説
栄養士は食事や栄養についてのプロフェッショナルであり、さまざまな職場で栄養指導や調理、食材の選定、献立作成などを行っています。
栄養士のキャリアアップに役立つ資格としてまず挙げられるのは、上位資格である管理栄養士です。また、栄養士の職能集団である日本栄養士会でも、栄養士の生涯学習のために、さまざまな資格認定制度を設けています。
この記事では、栄養士資格のメリットや管理栄養士との違いと、日本栄養士会の資格認定制度について解説します。
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目次
栄養士資格とは?
栄養士は、食事や栄養に関する専門知識にもとづいて、人々の食生活をサポートする国家資格です。活動内容は幅広く、栄養に関する指導や献立の作成、食事の提供など、社会のさまざまな場面で多くの役割を担っています。
下記は、栄養士の方が担当することの多い業務例です。
・食事の用意
・適切な食材の選定・発注
・栄養価の計算
・調理方法の指導
・栄養バランスを考慮した献立作成
(出典:厚生労働省「栄養士」/https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/171)
栄養士になるためには
栄養士法では、栄養士の資格について以下のように規定しています。
(引用:e-gov法令検索「栄養士法」/https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000245)
栄養士の資格は、養成施設の卒業後に資格申請を行うことで取得でき、国家試験の受験や実務経験は必要ありません。養成施設には4年制の大学のほか、2~4年制の短期大学や専門学校などが存在しますが、どの学校を卒業しても取得できる資格は同じです。
(出典:一般社団法人 全国栄養士養成施設協会「栄養士になるには」/https://www.eiyo.or.jp/about/howto01.html)
なお、栄養士資格には有効期限がなく、生涯にわたり使用できます。
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栄養士資格を取得するメリット
栄養士資格を取得するメリットはさまざまですが、特に実感しやすいのは以下の3点でしょう。
- ・日常生活に知識を役立てられる
栄養士養成課程を修了することで、健康づくりの知識が豊富になるほか、栄養バランスを科学的に考える能力も養われます。そうした知識・スキルは、自分自身や家族の健康維持、友人や知人へのアドバイスにも役立つでしょう。
- ・高齢化社会での需要が高い
栄養士が持つ食事や栄養に関する専門知識は、高齢者の健康維持に欠かせません。高齢化が進行する日本では、多くの医療機関、介護施設などで栄養士の需要が高まっています。
- ・安定した職場で働ける
栄養士の主な職場として上げられるのは病院や学校です。そうした職場は運営が比較的安定しているため、継続的な雇用が期待できるでしょう。
栄養士の平均的な給与
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、栄養士の平均的な給与は以下の通りです。
平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均月給 | 平均ボーナス | 平均年収 |
---|---|---|---|---|
38.4歳 | 8.5年 | 約26.4万円 | 約62.0万円 | 約379万円 |
(出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」/https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2022/index.html)
ただし、この数字は管理栄養士のデータを含んだ平均値です。実際の給与は経験やスキル、職場によって大きく変わる可能性があるでしょう。
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栄養士が活躍できる職場
栄養士が、専門的な知識と技術を生かして活躍できる場は数多くあります。以下は、代表的な職場の例です。
- ・病院・介護施設
患者さまや利用者さまの食事について、献立作成や調理を行います。
- ・学校・保育園
成長期の子どもたちに提供する給食の献立作成や調理業務、食材管理、食育活動などが主な役割です。
- ・給食会社
社員食堂、学校、病院、介護施設などから委託を受けて、大量の給食を提供します。
上記以外にも、飲食店やスポーツ関連施設など、食と健康にまつわるさまざまな職場で栄養士の需要があります。
資格の取得方法や将来性も
管理栄養士資格を取得するメリットは?
栄養士がスキルアップを目指す場合は、業務に関連する資格の取得を検討するとよいでしょう。まず考えたいのが、管理栄養士資格の取得です。
管理栄養士は、栄養士の上位資格です。取得すると、傷病者や特別な配慮が必要な方への栄養指導ができるなど、より専門性の高い業務を行えるようになります。
栄養士と管理栄養士の果たす役割や取得要件の違いは、以下の通りです。
栄養士 | 管理栄養士 | |
---|---|---|
資格取得要件 | ・栄養士養成施設を卒業して資格を申請する | ・管理栄養士養成施設を卒業して国家試験に合格する ・栄養士資格を取得した上で実務経験を積み、国家試験に合格する |
免許の交付者 | 都道府県知事 | 厚生労働大臣 |
業務の対象となる方 | 健康な方 | 健康な方に加えて、傷病者・高齢者などの特別な配慮が必要な方 |
業務の内容 | ・給食の献立作成 ・食材の選定・調理 ・食事の提供 ・食や健康に関する知識や技術の伝達 ・栄養相談 |
・栄養士としての業務全般 ・病態に応じた食事療法の立案や評価 ・栄養指導全般 ・給食施設の給食管理・運営 |
すでに栄養士として働いている方が管理栄養士を目指す場合、1~3年の実務経験を積んだ上で、国家試験に合格しなければなりません。
病院や介護施設などの求人は、多くが管理栄養士向けであるため、管理栄養士資格を取得することで就職・転職の選択肢がさらに広がるでしょう。
平均給与・資格の取得方法も
栄養士・管理栄養士が持っておきたい認定資格3選
日本栄養士会は、栄養士・管理栄養士の生涯学習のため、「認定栄養士・認定管理栄養士」「特定分野別認定制度」「専門分野別認定制度」の3つの制度を設けています。認定栄養士・認定管理栄養士はそれ自体が1つの資格ですが、特定分野別認定制度と専門分野別認定制度は、それぞれ複数の資格に分かれています。
ここでは、それらのなかから、栄養士・管理栄養士が持っておきたい資格を3つ紹介しましょう。
認定栄養士・認定管理栄養士
認定栄養士・認定管理栄養士は、専門領域で熟練した知識やスキルを備えていることを認める資格です。専門領域には「臨床栄養」や「給食管理」などがあります。
制度の概要は、以下の通りとなります。
資格取得までの流れ | ①書類審査 ②一次審査(筆記試験) ③二次審査(事例報告の考査)により合否を判定 ④「認定管理栄養士、認定栄養士」認定 |
---|---|
認定分野の範囲・種類 | ・臨床栄養 ・学校栄養 ・健康・スポーツ栄養 ・給食管理 ・公衆栄養 ・地域栄養 ・福祉栄養(高齢・障害) ・福祉栄養(児童) |
認定の有効期間 | 認定日より5年 |
なお、認定を申請するには、以下の条件をすべて満たす必要があります。
・栄養士もしくは管理栄養士として5年以上の実務経験がある
・申請年度から5年以内(2020年度を含む場合は6年以内)に、基幹教育を60単位(臨床栄養分野は70単位)以上取得している
・2014年以降に受講した研修や、日々の業務の中から、年に1テーマ以上キャリアシートを作成している
・申請する分野の「栄養の指導」に関する学会・地方会・研究会などに3回以上参加し、1回以上発表している
(出典:日本栄養士会「認定管理栄養士、認定栄養士 認定制度」/https://www.dietitian.or.jp/career/certification/)
認定更新申請の必須条件は以下の通りです。
2.認定管理栄養士・認定栄養士であること
3.認定取得後、基幹教育及び自己研鑽における60単位(臨床栄養70単位)以上の単位を取得していること
-基幹教育(基本研修、実務研修)30単位以上を取得していること
※他団体主催の研修会は15単位(臨床栄養分野は 20 単位)を上限とします
-自己研鑚単位は20単位以上を取得していること
※そのうち、学会参加を3回(臨床栄養分野は5回)以上とします
(出典:日本栄養士会「認定管理栄養士、認定栄養士 認定制度」/https://www.dietitian.or.jp/career/certification/)
静脈経腸栄養(TNT-D)管理栄養士
静脈経腸栄養(TNT-D)管理栄養士は、日本栄養士会が特定分野別認定制度で認定している資格の1つです。口から十分な栄養を摂取できない患者さまに対して行われる、経腸栄養や静脈栄養などのスキルを証明する資格で、管理栄養士のみが取得できます。
資格の概要は、以下の通りです。
資格取得までの流れ | ①認定研修会の受講 ②認定試験 ③レポートの審査 ④「静脈経腸栄養(TNT-D)管理栄養士」認定 |
---|---|
資格の有効期間 | 認定日より5年 |
資格の申請には、以下の条件をすべて満たす必要があります。
2.管理栄養士養成施設で臨床栄養学分野を担当している教員(助教以上)
(出典:日本栄養士会「静脈経腸栄養(TNT-D)管理栄養士」/https://www.dietitian.or.jp/career/specialcertifications/parenteral/)
また、日本栄養士会は特定分野別認定制度を通じて、以下の資格の認定も行っています。
・在宅訪問管理栄養士
・公認スポーツ栄養士
・食物アレルギー分野管理栄養士・栄養士
・小児栄養分野管理栄養士・栄養士
在宅栄養専門管理栄養士
在宅栄養専門管理栄養士は、日本栄養士会が専門分野別認定制度で認定している資格の1つです。在宅療養中の患者さまやその家族に対して、栄養指導や食事療法のサポートを行えると認められた管理栄養士が取得できます。
資格の概要は、以下の通りとなります。
資格取得方法 | ①在宅訪問管理栄養士資格を取得する ②在宅栄養専門研修を受ける ③認定試験に合格する |
---|---|
資格の有効期間 | 認定日より5年 |
認定試験の受験資格取得には、以下の条件をすべて満たす必要があります。
・日本栄養士会および日本在宅栄養管理学会の会員
・日本在宅栄養管理学会が認定した「在宅訪問管理栄養士」の資格取得者
・管理栄養士として5年以上の実務経験がある
・在宅療養者の栄養管理に通算3年以上従事している
・在宅栄養専門研修を受講している
・特別食が必要な方に医師の指示にもとづいて栄養管理を実施し、症例レポートを提出している
・過去3年間のうち1回以上、学会・研究会などで在宅栄養管理に関する発表を行っているか、または筆頭著者として論文を発表している
(出典:日本栄養士会「在宅栄養専門管理栄養士」/https://www.dietitian.or.jp/career/certifiedspecialist/homecare/)
日本栄養士会では、専門分野別認定制度を通じて、以下の4つの資格も認定しています。
・腎臓病病態栄養専門管理栄養士
・糖尿病病態栄養専門管理栄養士
・摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士
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まとめ
栄養士の資格は、養成施設で2~4年間学んだ後に、資格申請を行えば取得可能です。一方、上位資格である管理栄養士を取得するには、管理栄養士養成施設を卒業するか、栄養士資格を取得した上で一定期間の実務経験を積み、国家試験に合格する必要があります。
日本栄養士会は、会員の栄養士・管理栄養士に向けて、キャリアアップ制度を提供しています。特定分野別認定制度、専門分野別認定制度を活用して資格を取得すれば、さらにスキルを磨いていけるでしょう。
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