管理栄養士・栄養士に退職金はある?金額の高い職場の特徴も解説

更新日 2024年03月14日 公開日 2024年03月14日

#情報収集 #転職検討/準備

就職・転職する際に多くの人が気にする項目の1つが、退職金の有無です。管理栄養士・栄養士として活躍している方のなかにも、「退職金の相場が知りたい」「基本的な計算方法を把握しておきたい」という方がいらっしゃるのではないでしょうか。

退職金は事業所や施設によって取り扱いが異なるため、退職金の有無、受け取り方法などは勤務先に直接確認するのがよいでしょう。ただし、相場や基本的な計算方法については独自に学ぶことができます。

この記事では、管理栄養士・栄養士の退職金が「どのように設定されているのか?」や、基本的な計算方法などについて解説します。あわせて、退職金が高い職場の特徴も紹介するので、管理栄養士・栄養士として活躍している方はもちろん、就職・転職を検討している方もぜひ参考にしてください。

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管理栄養士・栄養士に退職金はある?金額の高い職場の特徴も解説

管理栄養士・栄養士に退職金はある?

管理栄養士・栄養士に退職金があるかどうかは、勤務している事業所や施設によって異なります。退職金制度の導入は事業所・企業の裁量によるため、事前に就業規則や契約書で確認しておきましょう。

なお、東京都産業労働局が東京都の約1,400社を対象にした調査では、約65%の企業で退職金制度が実施されているという結果が出ています。

(出典:東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和2年版)」/https://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.lg.jp/toukei/koyou/chingin/r2/index.html

退職金の相場

管理栄養士・栄養士の退職金相場を示す公的データがないため、令和2年に東京都が発表した「中小企業の賃金・退職金事情」をもとに、退職金の相場を考察していきましょう。

学歴 勤続年数
(年)
年齢
(歳)
自己都合退職の
支給金額(円)
会社都合退職の
支給金額(円)
高校卒 10 28 896,000 1,148,000
15 33 1,684,000 2,091,000
20 38 2,788,000 3,332,000
25 43 4,073,000 4,719,000
30 48 5,433,000 6,227,000
定年 10,314,000
高専・
短大卒
10 30 973,000 1,245,000
15 35 1,832,000 2,244,000
20 40 2,975,000 3,586,000
25 45 4,380,000 5,038,000
30 50 5,911,000 6,650,000
定年 10,269,000
大学卒 10 32 1,135,000 1,483,000
15 37 2,149,000 2,660,000
20 42 3,534,000 4,250,000
25 47 5,243,000 5,980,000
30 52 7,959,000 7,856,000
定年 11,189,000

(出典:東京都産業労働局 令和2年「中小企業の賃金・退職金事情」調査結果の概要/https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2020/12/15/documents/08_01.pdf

10年間勤務した場合のモデル退職金(自己都合退職)は、高校卒で896,000円、高専・短大卒で973,000円、大学卒は1,135,000円となっています。ただし、この退職金相場はあくまでも目安であり、職場の規定や退職の条件によって金額が変わる点に注意してください。

ちなみに、ここでいう中小企業とは、「従業員数50人以下から300人以下まで、資本金5,000万円以下から3億円以下までの範囲」の職場を指します。

退職金の計算方法

ここからは、退職金の基本的な計算方法を紹介します。

退職金の計算方法には、定額制・基本給連動型・別テーブル制などの種類があり、管理栄養士・栄養士の退職金を計算する方法としては、退職時の基本給、勤続年数、退職理由から算出する基本給連動型が一般的です。

基本給連動型の計算方法は次の通りです。

【退職金の計算方法】

退職金=退職時の基本給 ×支給率(勤続年数により変動)×退職事由係数

退職事由係数とは、自己都合の場合に退職金額を減じるための係数です。一般的に、定年退職・会社都合退職の場合は10割、自己都合退職の場合は8割などと設定されます。

以下では、具体的な数値を用いて、いくつかの例を紹介しましょう。

【産業給食施設・勤続3年の場合】

食堂や寮などの産業給食施設に3年間勤務し、基本給23万円・支給率1.5・退職事由係数0.8(自己都合)と仮定して、退職金を算出します。基本給23万円×支給率1.5×退職事由係数0.8=退職金27万6千円

【児童福祉施設・勤続10年の場合】

児童福祉施設での勤続が10年、基本給28万円・支給率10・退職事由係数0.8(自己都合)と仮定した場合の退職金は、下記の通りです。基本給28万円×支給率10×退職事由係数0.8=退職金224万円

【病院・勤続20年の場合】

病院勤務を20年続け、基本給35万円・支給率10・退職事由係数0.8(自己都合)と仮定して、退職金を算出します。基本給35万円×支給率10×退職事由係数0.8(自己都合)=280万円

退職金の額は支給率によって大きく左右されます。勤務先の事業所・施設における退職金の支給率に関する規定などを、あらかじめ確認しておきましょう。

【関連リンク】管理栄養士・栄養士に多い退職理由は?
経験別に5つ解説

管理栄養士・栄養士の退職金が高い職場の特徴

管理栄養士・栄養士の退職金が高い職場には、いくつかの特徴があります。退職金が高い職場の特徴を押さえておけば、就職・転職先を探す際の目安になるでしょう。

退職金が高い事業所・施設に共通している特徴は、下記の3点です。

  • ●規模の大きい事業所・施設
  • ●公立の事業所・施設
  • ●基本給の高い事業所・施設

ここからは、退職金が高い職場に共通している特徴の詳細を解説します。

規模の大きい事業所・施設

一般的に規模の大きい事業所・施設は運営資金が多く、退職金に充てる分の予算もきちんと確保できているため、退職金制度が充実している傾向にあります。

また、規模が大きい事業所・施設は、一定の売上を維持するために、従業員に長期的に就業してもらう必要があります。そのため、長く勤めるほど退職金の額が高くなるように設定し、従業員の長期的な就業を促進している職場も珍しくありません。

退職金の額を高くすることは、施設に対する満足度や仕事へのモチベーションにもつながるため、業務の生産性向上によい影響を与えるでしょう。

公立の事業所・施設

公立の施設で働く管理栄養士・栄養士は、地方公務員に該当し、退職時に退職手当が支給されます。

公務員の管理栄養士・栄養士が行う業務には、学校給食の考案や、自治体が管理する介護施設での栄養指導などがあります。

公務員の場合は、1年間の勤務でも退職金を受け取れるため、企業に勤めるより確実に退職金を受給することが可能です。ただし、公務員の退職金は、勤続年数が長いほど高くなるという特徴があります。より高い退職金を受け取りたいのであれば、長期的な就業を前提とするのがよいでしょう。

基本給の高い事業所・施設

前述したように、管理栄養士・栄養士の退職金は、基本給を基準に計算するケースが多いため、基本給が高ければ退職金も高くなりやすいと言えます。

就職・転職活動を行うにあたって、あらかじめ退職金に関する情報を確認したい場合は、転職エージェントを活用するのがおすすめです。転職エージェントであれば、事業所・施設とのパイプや過去の事例をもとに、転職先の退職金事情についてのアドバイスが受けられるでしょう。

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管理栄養士・栄養士の退職金に関するQ&A

管理栄養士・栄養士として知っておきたい退職金の基礎知識は、相場や計算方法だけではありません。最後に管理栄養士・栄養士の退職金について、よくある疑問・質問を2つピックアップして解説しますので、よく読んで今後の活動にお役立てください。

退職金には税金がかかる?

退職金には、「分離課税式」で税金がかかります。ただし、退職金は長年の功労に報いるためのお金であることから、他の所得よりも税金面で優遇されていることが特徴です。

退職金において課税対象となる金額は、下記の方法で計算できます。

【課税対象となる金額の計算方法】

(退職金の総額-退職所得控除額)×1/2

(出典:国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」/https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1420.htm

上記の式で用いている「退職所得控除額」は、勤続年数によって異なります。具体的な算出方法は、以下のとおりです。

【退職所得控除額の算出方法】

・20年以下:勤続年数×40万円(ただし、80万円未満の場合は80万円)
・21年以上:(勤続年数-20年)×70万円+800万円

ちなみに、控除額というのは、税金がかからない金額のことです。以下では、具体的な数字を当てはめながら、計算方法の一例を紹介しましょう。

【退職金40万円・勤続年数3年の場合】
・退職所得控除額:3年×40万円=120万円
・課税対象額:(40万円-120万円)×1/2=-40万円
※この場合、税金はかかりません
【退職金1,000万円・勤続年数20年の場合】
・退職所得控除額:(20年-20年)×70万円+800万円=800万円
・課税対象額:(1,000万円-800万円)×1/2=100万円
※この場合、100万円に対して税金がかかります

上記のように退職金には、税金がかからないケースもあります。退職金にかかる税金の計算を自分で行うケースはほとんどありませんが(一般的には事業所・施設側が行います)、覚えておいて損はないでしょう。

退職金にはどんな種類がある?

退職金は、「退職一時金」と「退職年金制度」の2つに分類されます。

【退職一時金・退職年金制度の違い】

・退職一時金:退職金が一括で支払われる制度
・退職年金制度:退職金を年金として受け取れる制度

退職一時金は、一般的にイメージされる退職金のことで、退職時に現金で支払われます。一方の退職年金制度は、一定期間にわたり「年金」として退職金を支払う制度で、掛け金、支給開始時期などは、事業所・施設によってさまざまです。

また、なかには退職一時金と退職年金制度を併用できる職場もあります。詳しく知りたい方は、勤務先の担当者に退職金制度の種類や仕組みについて質問してみるのもよいでしょう。

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まとめ

管理栄養士・栄養士の退職金は、事業所・施設によって有無や計算方法、受け取り方法などが異なります。詳細を確認したい方は、勤務先の就業規則や労働契約書をチェックしてみましょう。

管理栄養士・栄養士の退職金を計算する方法としては、退職時の基本給、勤続年数、退職理由から算出する基本給連動型が一般的です。

また、退職金が高い施設は、「規模が大きい」「公立」「基本給が高い」と3つの特徴があります。各ポイントの詳細を押さえて、理想の退職金制度を導入している施設への就職・転職を成功させましょう。

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監修者プロフィール

マイナビコメディカル編集部

 

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