管理栄養士は大変な仕事!つらい・疲れたと感じたときの対処法
管理栄養士は食事に配慮が必要な傷病者、高齢者などに対して、栄養指導や栄養管理を行う重要な職業です。しかし、管理栄養士のなかには「仕事がつらい」「人間関係に疲れた」といったネガティブな感情を抱え、将来を思い悩む方も少なくありません。
当記事では、管理栄養士の仕事に対してネガティブな感情を抱えてしまう理由や、仕事の大変さを解消する方法について解説します。管理栄養士の仕事と向き合うためのヒントとして、ぜひ参考にしてください。
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管理栄養士の仕事が大変・つらい理由
管理栄養士は大きなやりがいを伴う仕事ですが、大変さやつらさを感じる場面も少なからず存在します。ここでは、「管理栄養士の仕事は大変」「つらい」と感じる主な理由を5つ紹介しましょう。
栄養指導のアドバイスの仕方に気を遣う
管理栄養士が栄養指導を行う際、話し方や説明方法にも細やかな配慮が必要です。そうしたことから、栄養指導する相手の立場や考え方を尊重しつつ、適切なアドバイスを伝えることに大変さを感じるケースもあります。
また、栄養指導を受けるすべての方が、管理栄養士に対して好意的な反応を示すとは限りません。患者さまの返事が「それは難しい」の一点張りだったり、アドバイスに対してネガティブな態度を取られたりすると、つらさを感じることもあるでしょう。
大量調理が身体的な負担になる
調理師の人員が不足している職場では、管理栄養士も厨房に立って大量調理をサポートする場面が見られます。しかし、管理栄養士が栄養指導や栄養管理を行いながら、多くの材料を切ったり重い調理器具を扱ったりすることは、大きなストレスにつながりかねません。
厨房に立つ管理栄養士は、大量調理による肩こりや腰痛、疲労感といった身体的な症状に悩まされるケースもあります。それらの理由から、「管理栄養士の仕事は大変」と感じる方は多いようです。
大量の仕事を兼務することがある
職場環境によっては、調査研究、レポート作成など、献立作成・栄養指導以外の仕事を任されるケースがあります。しかし、さまざまな仕事を1人でこなしていると、心身のストレスが蓄積し、仕事に対するやりがいを見失う原因となりかねません。
また、人員不足が深刻である職場では、管理栄養士の職域を越えた仕事を任されるケースも存在します。自分自身の思い描いた働き方や仕事内容と実情のギャップが大きい場合は、「仕事がつらい」と感じ、モチベーションが低下することもあるでしょう。
管理栄養士の専門性が認知されていない
管理栄養士は、高度な専門知識を生かして、傷病者や高齢者などの食事や栄養管理をサポートするプロフェッショナル人材です。しかし、管理栄養士の専門性が一般の方に正しく認知されていることは少なく、「献立を考える人」「料理を作る人」と見られることに寂しさを感じる場面もあります。
自分自身の専門知識やスキルと社会的なイメージの隔たりが大きいことは、モチベーションの低下を招く原因になりかねません。
職場の人間関係で悩まされる
介護施設や病院に勤務する管理栄養士は、看護師や調理師、介護福祉士など、立場の異なるスタッフとともに働かなくてはなりません。保有資格や専門分野、実務経験の異なる方と一緒に働いていると意見の衝突が生じることもあり、考え方をすり合わせることに大変さを感じがちです。
看護師や調理師、介護福祉士などは、各分野の国家資格・免許を取得した専門家です。そのため、それぞれの責任を果たすための意見交換が白熱し、管理栄養士が板挟みになってしまうケースもあります。
管理栄養士の大変さを解消する方法
管理栄養士は、仕事の負担の大きさや医療・介護現場の人間関係、社会的なイメージなどに悩み、大変さやつらさを感じることがある職業です。
しかし、仕事の取り組み方や物事のとらえ方を変えたり、専門資格の取得に向けた努力を行ったりすれば、ネガティブな感情を克服して、いきいきと働けるでしょう。
ここからは、大変さ・つらさを感じる要因別の対処方法を紹介していくので、「管理栄養士として働く楽しみ」を見つけるヒントにしてください。
患者と一歩踏み込んだコミュニケーションを取る
患者さまに栄養指導を行う際のつらさを解消したいときは、指導の対象となる方の性格や状況を事前に把握し、気持ちに寄り添うことで、自主的な食習慣の改善を促しましょう。
気難しい性格の患者さまと接する際は、相手の考えや感情を聞く機会を多く持つことも大切です。食事内容や生活習慣を押しつけるような指導を避け、双方向のコミュニケーションを図ることで、よい関係性を構築してください。
ストレッチなどでリフレッシュする
身体的なストレスの軽減には、休憩時間のストレッチで緊張をほぐす対策がおすすめです。ストレッチには、以下のようなメリットが期待されます。
・血行を促進させ、疲労回復を促す
・肩こりや腰痛の緩和や予防に貢献する
腰痛が気になるときは、コルセットや腰痛ベルトといった立ち仕事の負担をやわらげる商品を活用するのもよい方法です。痛みがひどくなる前に身体を守るための対策を取り、心身の疲労蓄積を防ぎましょう。
仕事を整理して効率的に進める
業務量の多さや多忙さを負担に感じる場合は、作業の優先順位を決めて、効率化を図ってみてください。たくさんの仕事を同時に進めようとすれば、かえって業務の効率が低下してしまいます。優先順位の高い作業から取りかかり、1つずつ確実に仕事を進めて、時間と労力の浪費を防ぎましょう。
なお、作業内容の優先順位を判断するときには、期日の確認も大切です。作業の依頼を受ける際には、締め切りの確認を忘れずに行い、優先順位を決める指標にしましょう。
専門性を高めて成果を追求する
自分自身の保有スキルと社会的なイメージのギャップにつらさを感じる場合は、明確な目標設定を行い、成果を追求しましょう。その際、成果の評価指標を社会的なイメージに合わせることは避け、自分自身で立てた目標に対する達成度合いで成果を確認してください。
目標設定の具体例は、以下のとおりです。
・がん病態栄養専門管理栄養士の認定を受ける
・在宅栄養専門管理栄養士の認定を受ける
公益社団法人日本栄養士会のホームページでは、管理栄養士のキャリア形成に役立つキャリアノートを配布しています。キャリアノートをダウンロードし、定期的な自己評価によって、成果の達成度合いを確認するのもおすすめです。
(参考:公益社団法人日本栄養士会「キャリアノート第4版」/https://www.dietitian.or.jp/career/note/documents/)
職場の同僚とは一定の距離を置く
組織で働く以上、人間関係の問題を完全になくすのは不可能です。「仕事は仕事」と割り切る気持ちを持ち、職場の同僚と一定の距離を置くことで、ストレスの軽減を図りましょう。
特定の人物と折り合いが悪くてつらさを感じる場合には、職場の上司に相談したり、部署異動を申請したりする方法もあります。新しい担当部署やチームに移り、心機一転働くことでストレスを減らせるでしょう。
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管理栄養士の大変さに疲れたときは転職も1つの手段
管理栄養士としての仕事を「大変」と感じている場合は、転職によって状況を変えられる可能性があります。働く環境が改善されれば、前向きな気持ちで仕事に取り組めるようになるでしょう。
以下では、管理栄養士から他の仕事へ転職することで得られるメリットを紹介します。
給料が上がる場合がある
管理栄養士として培った経験やスキルが評価されたり、さまざまな業務を兼任したりすることで、年収アップにつながる場合があります。環境を一新することで仕事への意欲が上がり、それがスキルアップ・キャリアアップにつながるケースもあるでしょう。
厚生労働省による「令和3年雇用動向調査結果の概要」によると、転職後の収入が増加・減少した方の割合は以下の通りです。
年齢 | 増加(%) | 減少(%) |
---|---|---|
平均 | 34.6 | 35.2 |
19歳以下 | 44 | 21.9 |
20~24歳 | 47.1 | 24.6 |
25~29歳 | 42.9 | 30.8 |
30~34歳 | 38.4 | 32.4 |
35~39歳 | 36.8 | 29.2 |
40~44歳 | 41.4 | 23.5 |
45~49歳 | 35.4 | 28.8 |
50~54歳 | 32 | 34.1 |
55~59歳 | 20.5 | 48.8 |
60~64歳 | 13.1 | 66.5 |
65歳以上 | 16.1 | 57 |
(出典:厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果の概況」/https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/22-2/dl/gaikyou.pdf)
年代によって異なるものの、50歳未満では収入が増加した割合のほうが、減少したケースより多いことがわかります。伸びしろがあり将来性を見込める20〜30代や、キャリアを積んで即戦力になれる30〜40代は、採用ニーズの高い人材として好条件での転職が期待できるでしょう。
視野が広がりモチベーションが上がる
転職で得られる新しい環境は、働く毎日に刺激を与え、視野を広げるチャンスです。ずっと同じ職場にいると、そこでの価値観が一般的だと感じ、考え方が凝り固まってしまう傾向にあります。しかし、働く場所や業界が変わると、新たな価値観に接することができ、物事の見方・考え方に変化が生まれるでしょう。
管理栄養士の知識・スキルを生かす点は同じだとしても、職場が変われば新しい知識や経験を得られるチャンスができ、社会人としての成長にもつながります。
また、環境を変えることで、管理栄養士という仕事の新たな魅力に気づき、仕事に対するモチベーションが上がることもあります。それによって、意欲的に仕事に取り組むよう気持ちを切り替えられるでしょう。
自分に合った職場で働ける
転職は、自分の特性や生活スタイルに合った場所で働くための絶好の機会でもあります。
管理栄養士が活躍できる職場はさまざまで、それぞれに求められる役割や待遇が異なります。実際に働いているうちに、自分の理想とする働き方と、職場の方向性が合わないと気がつくこともあるでしょう。
そうした場合は、管理栄養士の仕事そのものではなく、職場環境が大変さを感じる原因になっていると考えられます。業務の範囲や人員体制などを事前に把握した上で、自分に合った職場を選べば、パフォーマンスを最大限に発揮できるでしょう。
新しい人間関係を作れる
職場を変えることは、新しい人間関係を構築することでもあります。業務で接する方との関係がストレスになっている場合、環境を変えて人間関係をリセットすることが効果的な対処法になるでしょう。わずらわしい人間関係から解放され、仕事に集中できれば、管理栄養士としてのやりがいや充実感も得られるはずです。
また、新しい出会いは、人脈を広げ、自分を高めるチャンスです。尊敬できる上司や互いを高められる同僚と出会えれば、管理栄養士としてだけではなく人としても成長できるでしょう。
職場別の平均給与を公開
管理栄養士が活躍できる職場
高齢化が進む現在、食と栄養のプロフェッショナルである管理栄養士の需要は高く、魅力的な待遇を提示している求人は多く存在します。
ここでは、管理栄養士の経験を生かせる就職先をご紹介します。
病院・クリニック
病院やクリニックといった医療機関の場合、規模によって管理栄養士の配置が定められているため、管理栄養士の需要が高い傾向にあります。
病院・クリニックにおける業務内容は、患者さまの食事にかかわる「給食業務」と、栄養管理や栄養指導などの「臨床業務」に分かれており、医師、看護師、調理師などと連携して働きます。
病院・クリニック | |
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仕事内容 | 病院食の献立作成、栄養管理計画書の作成、食材の発注、食材納品作業や在庫管理、調理指導、栄養相談、NST(栄養サポートチーム)業務など |
向いている方 | ・人の役に立つのが好き ・臨機応変にスピーディーな対応ができる ・スキルアップをしたいという向上心がある ・体力面、精神面に自信がある |
医療機関で働く際は、患者さま1人ひとりに合わせた献立・栄養管理計画書を作成しつつ、栄養指導やNST業務を行うなど、限られた時間を上手にやりくりすることが求められます。仕事量が多く体力が必要になる一方で、医療に関する知識が身につくため、勉強してスキルアップを目指したい方に向いています。
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介護福祉施設
特別養護老人ホームや介護老人保健施設、有料老人ホームなどの介護福祉施設でも管理栄養士は活躍できます。介護福祉施設における主な仕事は、年齢や健康状態、身体状態に合った食事提供や栄養管理を行い、利用者さまの健康をサポートすることです。
介護福祉施設 | |
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仕事内容 | 衛生管理、献立の作成、食事の調理や提供、行事食の企画、ミールラウンド(食事中の利用者さまへの訪問)の実施など |
向いている方 | ・人とかかわることが好き ・介護の現場にかかわりたい ・人を喜ばせたり楽しませたりするのが好き ・物事を工夫する発想力がある |
介護福祉施設には飲み込む力が弱くなり、食が細くなっている方もいらっしゃいます。そういった利用者さまが楽しんで食事できるように、食材を細かく刻んだり、味付けや調理法を工夫したりすることも、管理栄養士の大事な役目です。
栄養指導や献立作成、調理などに応用力が求められる場面は少なくありませんが、利用者さまが「おいしく食べられた」と喜ぶ姿や、行事食を楽しんでいる様子にやりがいを感じることも多いでしょう。
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学校
管理栄養士は、学校栄養職員として働くことができます。学校栄養職員は、学校給食の提供や衛生管理など、子どもたちの健康と成長にかかわる大切な仕事です。加えて、栄養教諭免許を取得すれば、授業の一環として生徒に栄養指導を行う栄養教諭としても活躍できます。
学校 | |
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仕事内容 | 給食の献立作成、衛生管理、給食の調理や配食への指導、給食だよりの発行またはその補佐、検食の実施など |
向いている方 | ・わかりやすく教えるのが得意 ・食育に関心がある ・教育にかかわりたい ・向上心がある |
前述したように、学校での給食管理は、生徒たちの健康と成長を支える責任ある仕事です。食育に携わり、教育の現場で活躍したい方に向いているでしょう。
学校栄養職員として献立を作成するときは、栄養基準をクリアするだけでなく、季節感や学校行事を反映するなどの工夫も必要です。また、子どもたちへの栄養指導の補佐をする際には、栄養に関する情報をわかりやすく伝える技術が求められます。食事の大切さや食を楽しむことを伝えたいという思いがある方は、大きなやりがいを感じられるでしょう。
幼稚園・保育園
食事が提供される幼稚園や保育園も、管理栄養士が活躍できる職場です。幼稚園・保育園では、子どもたちへの食事提供に加えて、保護者に対する支援や食生活に関する相談なども行います。食を通して子どもの発達をサポートする重要な仕事といえるでしょう。
幼稚園・保育園 | |
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仕事内容 | 給食やおやつの献立作成、離乳食の調理業務、子どもへの食育、保護者への食に関する支援など |
向いている方 | ・小さな子どもが好き ・効率よく作業を行うのが得意 ・食育のサポートを行いたい ・調理が得意 ・栄養学やアレルギー食に関する知識が深い |
子どもが好きで保育の現場にかかわりたい方、子どもたちに食の大切さを伝えたいという方には、やりがいのある職場でしょう。
なお、幼稚園・保育園では離乳食、昼食、おやつ、夕食などさまざまな食事を提供するため、栄養の知識とともに調理技術も重視されます。また、窒息事故やアレルギーによる事故を防ぐための知識や慎重さも求められます。
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まとめ
管理栄養士の仕事はやりがいがある一方で、大変さやつらさを感じやすい傾向にあります。管理栄養士の仕事にネガティブな感情を抱いたときは、大変さを感じている原因を特定し、適切な方法で心身のストレスを解消しましょう。
それでも気持ちの切り替えが困難な場合には、転職を検討するのも1つの方法です。
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