本州の最西端に位置する山口県では、「健康やまぐち21計画」と題した健康寿命の延伸に向けた取り組みを行っています。介護に頼りきらない生活を送るためには、日常生活の自立が鍵を握っています。
(出典:山口県「「健康やまぐち21計画(第2次)」について」/
https://www.pref.yamaguchi.lg.jp/cms/a15200/kenkou/kenyama3.html)
ケガをしにくい丈夫な身体や、痛みのない健康的な身体づくりのお手伝いは、作業療法士の得意分野です。県全体で取り組める仕組みづくりをさまざまな介護施設で実施しているため、作業療法士の活躍の場所は多岐にわたります。
当記事では、山口県における作業療法士の求人情報を解説します。作業療法士の給与事情や、県内で求人が多いエリアの求人の特徴について紹介するため、山口県で作業療法士として就職を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
1.山口県における作業療法士求人の特徴
作業療法士の主な勤務先として、病院と一般診療所が挙げられます。作業療法士として働くにあたって、施設事情について把握しておくことは大切です。
厚生労働省が発表したデータによると、山口県の病院数と一般診療所数は下記のとおりです。
隣県の広島県(病院数:237、一般診療所数:2,543)と比較して、山口県の施設数は少ないように見えます。しかし、広島県の人口は山口県の約2倍と大きな差があるため、人口比で計算すると極端に少ないわけではありません。
(出典:山口県「人口移動統計調査(令和3年6月1日現在)」/
https://www.pref.yamaguchi.lg.jp/cms/a12500/jinko/jinko.html)
(出典:広島県「推計人口の推移(最新)」/
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/21/jinkougeppojinkousuiisaisin.html)
山口県では、介護老人保健施設や訪問リハビリテーションからの求人も多く、給与や年間休日数などの待遇面や、担当する仕事内容から自分に合った職場を見つけることが可能です。
介護老人保健施設では、主にリハビリ業務を担当します。高齢者は身体能力や認知機能の低下により日常生活が困難となり、やがて要介護状態となります。要介護の予防または悪化を防ぐため、軽い運動や筋肉トレーニングをプログラムに取り入れ、リハビリテーションで痛みを和らげる助けをすることが、作業療法士の役割です。
介護予防は医療費の削減だけではなく、高齢者の社会参加や自己実現につながります。
作業療法士は大きな責任が伴うため、決して楽な仕事ではありません。しかし、患者と直接深く関わるため、感謝の言葉をもらう機会も多く、やりがいのある仕事だといえます。
下記は、山口県の作業療法士求人数と、求人を出している事業所・施設数をまとめた表です。
隣県の広島県と比較して、人口を考慮しても山口県の求人数は少ないと感じるでしょう。しかし、求人情報は随時更新されているため、タイミングによってはさらなる求人数が確認できます。
山口県の作業療法士求人を施設ごとに見ると、介護福祉施設は16件、病院・クリニックは11件、訪問リハビリ施設は3件です。100床以上の大規模な病院からの求人もあり、やりがいのある仕事が予想されます。経験不問の病院もあるため、やる気さえあれば応募が可能です。
また介護老人保健施設では、訪問リハビリ・通所リハビリ・入所リハビリを担当します。利用者の送迎業務も担当するため、多くの求人で普通自動車免許が必要となる傾向です。
山口県における作業療法士求人の特徴は、以下のとおりです。
●山口県における作業療法士求人の特徴(1)「完全週休二日制」「残業少なめ」でプライベートを充実させやすい
山口県で作業療法士を募集する施設の多くは、完全週休二日制に加えて、残業少なめのため、プライベートの時間を確保しやすい傾向です。未経験者やブランクのある人のどちらも歓迎しているため、プライベートを充実させたい人にはおすすめの地域といえます。
●山口県における作業療法士求人の特徴(2)福利厚生が充実しており、家庭と両立しやすい
山口県には託児所完備の施設が多く、子育て中の人にも働きやすい環境が用意されています。
他県と同様に山口県でも、一時期よりは改善されたとはいえ、待機児童の解消には至っておらず、保育所に入園できるかは実際に申し込みをしてみないとわかりません。そのため託児所の併設されている病院で働くことができれば、子どもの預け先に関する心配事も軽減されるでしょう。
2.【山口県】作業療法士の平均給与
平均給与を知り、自分の求める条件に合致するかを考慮することは、後悔のない就職活動につながります。
下記は、山口県で働く作業療法士の平均年収と、全国の平均年収を比較した表です。なお、下記の金額は理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・視覚訓練士を合わせた統計値となります。
厚生労働省によると、山口県における作業療法士の平均年収は、男女平均が約415万円、男性が約426万円、女性が約400万円です。男性の平均年収は全国平均より低い一方で、女性の平均年収は全国平均を上回っており、子育て中の女性が安定して働ける環境が整っていることがわかります。
ただし、上記の金額はあくまでも平均値です。スキルや経験、就職先の待遇などによって給与は変動するため、男性でも全国平均以上の収入を得ることができます。
マイナビコメディカルに掲載された山口県の作業療法士求人の特徴としては、病院・クリニックよりも、介護福祉施設のほうが年収が高い傾向です。病院・クリニックのモデル年収の最低ラインは約252万円・最高ラインは約480万円、一方で介護福祉施設の最低ラインは約292万円・最高ラインは約600万円でした。山口県で作業療法士として高収入を目指している人は、介護福祉施設に絞って求人を探すとよいでしょう。
また、「家庭と仕事を両立したいため、多くの収入は求めていない」という人は、パートとして働くことがおすすめです。山口県は正職員からパート・アルバイトまで雇用形態の幅が広く、自分のライフスタイルに合わせた働き方を選択することができます。
3.【山口県】作業療法士の求人が多いエリア
山口県では、さまざまなエリアで作業療法士の求人が見られます。下記は、山口県で作業療法士の求人が多い山口市・下関市・岩国市の特徴をまとめた表です。
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求人情報の特徴 |
山口市 |
・リハビリテーション病院からの求人が多い ・託児所完備など育児中の人にも働きやすい環境が整っている |
下関市 |
・「昇給・賞与あり」など環境が整備されている施設が多い ・「未経験OK」「ブランク可」の求人が多く初心者も挑戦できる |
岩国市 |
・クリニックや介護福祉施設などさまざまな施設から求人が出ている ・完全週休二日制の施設もありプライベートを確保できる |
山口市には、総合病院で外来患者や入院患者のリハビリテーション業務を担当する求人が多い傾向です。医師や看護師、理学療法士とチームを組んで業務にあたるため、多くの刺激を受けることができ、自己成長につなげることができます。また、家庭と仕事を両立できる環境が整っており、家族手当が支給される施設も少なくありません。
下関市は、昇給・賞与がある求人が多い傾向にあります。高収入を得たい場合は、給与だけではなく昇給・賞与に関してもチェックしておきましょう。また、「未経験OK」「ブランク可」と記載されている求人も多く、初心者が挑戦しやすい環境が用意されています。
岩国市では、変形労働制(シフト制)のほか、短時間での勤務も可能とする求人が多数存在します。「子どもが学校に行っている時間のみ働きたい」「趣味の時間も確保しつつ働きたい」という人におすすめです。
上記3市のほかにも、長門市・周南市・光市など広範囲で求人があるため、自宅から通える距離で勤務先を探すことができます。
まとめ
山口県では、未経験者やブランクのある人も歓迎し、結婚や育児、介護などで現場を離れた人にとっても働きやすい環境を用意しています。山口県はスムーズに復帰できる環境を整えているため、子育て中の人も安心して求人に応募できるでしょう。
山口県で働く作業療法士の平均給与は、男女で異なります。全国平均と比較して男性の平均年収はやや低い傾向です。一方で、女性の平均年収は全国平均を上回っています。
同じ山口県でも、エリアによって求人の特徴は異なります。山口県で作業療法士の求人を探す際は、施設形態や雇用形態、給与や賞与だけではなく、エリアによる違いにも注目しながら求人を比較検討し、自分に適した勤務先を見つけましょう。
※当記事は2021年7月現在の情報をもとに作成しています