【福祉住環境コーディネーター受験】いきなり2級を受けてもよい?合格率や試験対策などを解説
公開日:2024.02.10 更新日:2024.04.24
文:かな(作業療法士)
福祉住環境コーディネーターの受験を検討する際、いきなり2級を受けてもよいものか迷う人も多いかもしれません。結論からいうと、福祉住環境コーディネーターの資格取得にあたり、いきなり2級を受験しても問題はありません。
また、専門知識の有無や業種にもよりますが、いきなり2級を受験しても対策次第で、十分に合格を狙えます。
この記事では、実際に2級の資格を持つ現役作業療法士が、福祉住環境コーディネーターの2級の受験資格や合格率、試験対策などについて解説します。
目次
福祉住環境コーディネーターとは
福祉住環境コーディネーターとは、高齢者や障がい者が住みやすい住宅環境を整えるための方法を提案するアドバイザーとして認定されるものです。医療福祉と建築について幅広く学び、患者さんに最適な住宅改修プランを提案できる専門的な知識を身につけます。
資格は1〜3級の3段階に分かれ、最も上級レベルが1級であり、福祉施設や住宅などの多様な住環境整備について適切なアドバイスができるスキルを有していることが求められます。
一方で、3級は住環境の基礎的な知識を、2級ではより具体的な解決策が提案できる知識を有していることが求められます。
受験方法
2023年現在、福祉住環境コーディネーター試験は、IBT(自宅等でオンライン受験する)方式とCBT(全国各地のテストセンターの会場内のパソコンで受験する)方式の2つから選択できます。
所定の試験期間内なら曜日を問わず受験可能で、特にIBTの場合、10時~19時の間ならいつでも受けられます。筆者が受験した2015年当時は、指定の会場での受験のみでしたが、IBT方式の導入で、ストレスなく受験できるようになりました。
福祉住環境コーディネーターの試験は、いきなり2級からでもOK
冒頭でもお伝えしたとおり、福祉住環境コーディネーターの試験は、いきなり2級を受けても問題なく、合格も十分に狙えます。
福祉住環境コーディネーターは1級、2級、3級の3種類がありますが、2級、3級は受験に対して指定された条件がなく、誰でも試験が受けられます。公式に、「2級、3級の併願受験可能」、「2級からの受験は可能」と明記されているため、3級をスキップしても問題ありません。ただし、1級については、2級合格が受験するための必須条件となります。
なお、2022年度の2級と3級の受験者数を比較すると、2級の方が多く、3級の2倍以上です。また、3級受験者の半数以上は学生であり、2級受験者の半数以上は医療・福祉・建築に従事している人といった違いもあります。特に、医療福祉関係に従事している人は、いきなり2級を受ける人が多いと推測されます。
福祉住環境コーディネーター2級の合格率はどのくらい?
福祉住環境コーディネーター2級の合格率は、おおむね30%台で推移しています。3級と比較すると、3級の方がやや合格率が高い傾向にあります。試験を主催する東京商工会議所の公式ページによると、2級と3級の合格率は以下のとおりです。
2級 | 3級 | |
---|---|---|
第50回(2023年 第1シーズン) | 35.9% | 45.5% |
第49回(2022年 第2シーズン) | 34.7% | 38.5% |
第48回(2022年 第1シーズン) | 39.9% | 39.4% |
2級は受験者が医療福祉の専門職であれば、合格の可能性が高くなると考えられます。福祉住環境コーディネーター2級の試験の出題範囲は、大別すると介護福祉・医療・住環境整備(建築含む)・福祉用具から構成されており、医療職・福祉職であれば基本的に理解している内容が多く、勉強しやすいでしょう。住環境整備に関しては、建築に関する一定の知識が必要ですが、公式テキストを読めば理解可能なレベルでしょう。
福祉住環境コーディネーター2級に合格するにはどう勉強したらよい?
2級に挑戦するにあたり、どれくらい勉強したらよいのでしょうか? 合格者へのアンケートから判明した勉強時間や、筆者が受験した際に行っていた対策について解説します。
仕事をしながらの勉強でも合格は可能
アンケート結果によると、2級合格者の勉強時間は、8割以上が1日2時間以内、勉強期間は約8割が3ヵ月未満です。これは3級もさほど変わりません。
仕事で多忙な人も多いかもしれませんが、1日2時間以内の勉強時間を確保できれば、働きながらでも十分に2級合格を目指せるでしょう。
独学でもテキストと過去問で試験対策は可能
合格に向けた講座などを開催するところもありますが、独学でも対応できます。実際に筆者も独学で受験しました。公式テキストを読み込んで、過去問を何度も解き直す、といった対策が効果的でした。
勉強をする際、特に重要なのが過去問です。過去問をたくさん解くと、よく間違うところや自分があまり理解できていないところを把握できます。苦手な部分は公式テキストで重点的に勉強すると効率的です。筆者の場合は住環境の整備・住居に関する知識が乏しかったため、特に時間を割いて勉強しました。
心配なら2級3級の同時受験するのもOK
いきなり2級を受験しても問題ないとはいえ、なかには「本当に大丈夫なのか」と心配な人もいるのではないでしょうか。医療職や介護職以外の方で、基礎知識に乏しく自信がない場合は、3級と2級を同時に受験するのもよいでしょう。
ちなみに筆者は作業療法士であり、専門知識を活かせるため勉強も進めやすく、2級合格の可能性があると感じていました。しかし、いきなり2級だけ受験するのは不安であったため、3級も同時受験しました。
しっかり対策して、福祉住環境コーディネーター2級合格を目指そう
福祉住環境コーディネーターの検定試験は3級からでなく、いきなり2級を受験しても問題ありません。基礎となる知識の差によっても異なりますが、しっかり対策をすれば独学でも合格を十分に狙えます。患者さんの住宅改修に携わりたい方は、受験を検討してみてはいかがでしょうか。
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福祉住環境コーディネーターの合格率は?難易度や試験の概要も解説
■参考
福祉住環境コーディネーター検定試験|東証検定IBT・CBT(PDF)
試験要項|福祉住環境コーディネーター検定試験|東京商工会議所
かな(作業療法士)
作業療法士/呼吸療法認定士・福祉住環境コーディネーター2級・がんのリハビリテーション研修修了
身体障害領域で15年以上勤務。特に維持期の患者さんの作業療法、退院支援に携わってきました。家では3人の子ども達に振り回されながら慌ただしい日々を送っています。趣味は読書とお菓子作り。
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