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福祉住環境コーディネーターはどんな資格?仕事内容やできること

公開日:2021.05.24 更新日:2024.01.19

福祉住環境コーディネーターとは

文:rana(理学療法士)

理学療法士や作業療法士としてスキルアップを目指すとき、新たな資格取得を考える人が多いかもしれません。さまざまな資格があるなかで、仕事で活かしやすいのが「福祉住環境コーディネーター」資格です。

主に在宅復帰を目指す回復期病院や介護分野で役立つ資格ですが、実際にどのようなスキルを得られるのでしょうか。今回はリハビリセラピストの仕事に関わる「福祉住環境コーディネーター」について解説します。

福祉住環境コーディネーターとは?住環境改善のアドバイザー

福祉住環境コーディネーターは、高齢者や障がい者の生活環境をより快適にするために、住宅改修や福祉用具の提案をするアドバイザーです。

東京商工会議所が認定する民間資格で、3級から1級までの階級が設定されています。受験者は、建築関係、介護関係、医療関係といった何らかの有資格者が多く、2019年度の受験者アンケートでは、受験者中、理学療法士が8.7%、作業療法士が5.1%の資格保有者という結果となりました。

福祉住環境コーディネーターの資格が活かせる仕事

福祉住環境コーディネーターが活躍できる場所は、主に医療、介護・福祉、建築といった業界が挙げられます。

医療業界 病院やリハビリテーションセンター
介護・福祉業界 老人保健施設やグループホーム
建築業界 工務店やハウスメーカー

福祉住環境コーディネーターの仕事内容とできること

福祉住環境コーディネーターは、高齢者や障がい者が住みやすい環境になるように、建築士やケアマネージャー、工務店などと連携して提案を行うのが主な仕事です。資格取得後には、具体的に以下の3つの業務を行えます。

1.住環境を快適にする提案

自宅にある、階段や上がり框(かまち)などの段差を解消したり、手すりを設置するなど、利用者に合った方法で住環境を快適にするためのアドバイスを行います。

この際、福祉住環境コーディネーターが単独でアドバイスを行うのではなく、ケアマネージャーや理学療法士など、利用者の体を把握している専門職と共同で提案をすることがほとんどです。場合によってはバリアフリー住宅の建設や大掛かりなリフォームに携わることもあり、建築士やインテリアコーディネーターと一緒に仕事を進めていくこともあります。

2.福祉用具・介助用具の提案

リクライニングベッドや車いすなど、福祉用具や介護用具導入のアドバイスを行います。福祉用具や介護用具には多くの種類があり、利用者の体に合わせた物を選定し、安全に日常生活が送れるようサポートします。

3.住宅改修費支給申請の理由書作成

住宅改修費支給とは、要介護または要支援の認定者が自宅で安全に自立できるように、手すりの設置や段差解消といった改修工事を行った際に、自治体から工事費用が支給される制度です。

福祉住環境コーディネーター2級を取得していれば、その申請を行うために必要な理由書を作成することができます。

もともと他の資格を持って活動しながら、福祉住環境コーディネーターを取得するケースが多いため、新たに職場を探すというよりも、これまでの仕事の幅を広げていくというイメージのほうが合っているかもしれません。

福祉住環境コーディネーターの難易度は1級~3級まで

福祉住環境コーディネーターを取得するには、東京商工会議所が主催している検定試験に合格する必要があります。

日本国内に居住していれば、学歴や年齢、性別、国籍など関係なく誰でも受験可能です。難易度の低い順に3級から2級、1級と階級が分かれており、3級から受験する人がほとんどですが、2級から受験することもできます。ただし、1級は2級に合格した人のみが受験資格を得られます。

試験内容

大まかな試験内容は以下のようになっています。

3級(受験費用:5,500 円/テキスト:2,750円)

試験の形式は多肢選択式。
出題範囲はおもに福祉と住環境に関連する基礎的な部分です。今後迎える高齢化社会に関する一般的な知識についても出題されます。

2級(受験費用:7,700 円/テキスト:4,950円)

試験の形式は多肢選択式。
福祉住環境の知識を、実際の仕事で活かせる能力があるかどうかが問われます。幅広い知識はもちろん、現場でアドバイスを行うような場面で、適切な解決策を提案できる能力が求められます。

1級(受験費用:12,100円/テキスト:5,940円)

試験の形式はマークシート式と記述式。
3級、2級範囲の知識に加え、ユニバーサルデザイン環境の整備手法や、福祉住環境のコーディネートの実例など、より実践的な知識が求められます。また記述式問題では、実務能力、応用力、総合的判断力なども問われるため、より難易度の高い試験内容となっています。

福祉住環境コーディネーターの合格率

下記の表は2020年度の合格率です。3級で6割前後、1級では1割程度となっており、1級の難易度の高さが伺えます。

3級 66.8%
2級 46.8%
1級 12.8%

福祉住環境コーディネーターを取得するメリット・デメリット

医療、介護業界で活躍する理学療法士や作業療法士のなかにも、福祉住環境コーディネーターの資格を持つ人が増えています。理学療法士が福祉住環境コーディネーターを取得するメリットついて見ていきましょう。

資格取得のメリット

福祉住環境コーディネーターを取得することで、住宅改修、福祉用具選定における専門知識を得ることができ、自身のスキルアップにもつながります。

回復期病院や老人保健施設など、在宅復帰を目指してリハビリをしている理学療法士にとっては、より的確な環境を提案できるようになるでしょう。また、そうした知識の需要が高い施設において、福祉住環境コーディネーターは重宝され、転職の際にも有利に働くことも考えられます。

資格取得のデメリット

試験合格に向けて勉強時間を確保する必要があること、またテキスト代や受験費用などがかかります。なお、有資格者であってもリハビリの点数には反映されないため、直接給料アップにはつながりにくいでしょう。

自立支援は今後の介護報酬改訂で必要とされるスキル

福祉住環境コーディネーターで得られる知識は、養成校では深くまで学ばない分野であり、臨床においても経験することが少ないものです。福祉用具の選定や住宅改修方法のアドバイスを的確に行うためには、ある程度の経験が必要です。

2021年度の介護報酬改訂では、自立支援を促進する動きが示されています。今後は、理学療法士や作業療法士にも住環境を整える知識が求められるようになるでしょう。

福祉住環境コーディネーターを受験するハードルは低く、挑戦しやすい資格です。在宅復帰に携わる理学療法士にとっては得られるメリットが多くあります。在宅復帰に関わる人や介護分野で働く人、またこれからそのような分野への転職を考えている人は、福祉住環境コーディネーターを取得して、スキルアップを図ってみてはいかがでしょうか。

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【福祉住環境コーディネーター受験】いきなり2級を受けてもよい?合格率や試験対策などを解説
理学療法士におすすめの副業8選!収入とやりがいがアップする働き方とは?

参考

福祉住環境コーディネーター検定試験®
令和3年度介護報酬改定に向けて(01_自立支援・重度化防止の推進)

rana 理学療法士
理学療法士として総合病院やクリニックを中心に患者さんのリハビリに携わる。現在は整形外科に加え、訪問看護ステーションでも勤務。 腰痛や肩痛、歩行障害などを有する患者さんのリハビリに日々奮闘中。 業務をこなす傍らライターとしても活動し、健康、医療分野を中心に執筆実績多数。
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