言語聴覚士で年収1000万円は実現可能?リアルな年収実態と年収アップ方法を解説
公開日:2024.02.08
文:tokoshi(言語聴覚士)
国税庁の「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、日本において、平均年収1000万円を超える人の割合は、全体のわずか「5.4%」。
ハードルは高いものの、高収入の目安となる年収1000万円に憧れを抱いている言語聴覚士もいるかもしれません。では、実際に、年収1000万円を目指すことは可能なのでしょうか。
本記事では、言語聴覚士のリアルな年収実態と、年収1000万円を目指すための方法について解説します。
言語聴覚士で年収1000万を目指すのは難しい
結論からお伝えすると、言語聴覚士という職業で、年収1000万円を目指すのはかなり難しいでしょう。その理由として、まずは「言語聴覚士のリアルな給与実態」を見ていきましょう。
言語聴覚士の平均年収は「400万円台」
厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、言語聴覚士(理学療法士、作業療法士、視能訓練士を含む)の平均年収は「400万円台」でした。
企業規模別に見ると、以下のような結果となっています。
平均年齢 | 平均年収 | |
---|---|---|
企業規模計(100~999人) | 34.2歳 | 416万8400円 |
企業規模計(10~99人) | 37.3歳 | 431万1800円 |
年収の算出方法:きまって支給する現金給与額×12ヵ月+年間賞与その他特別給与額
参照:職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)|令和4年賃金構造基本統計調査
なお、1年を通じて勤務した給与所得者の1人当たりの平均年収は「458万円」(国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」より)でした。この結果を見ても、言語聴覚士の平均年収は全体よりも低い傾向にあることがわかります。
こうした状況を考えると、言語聴覚士として平均年収の倍以上となる「年収1000万円」を目指すのはかなりハードルが高いといえるでしょう。
経験15年以上のベテラン言語聴覚士でも月収「約34万円」
先にご覧いただいたとおり、企業規模によって、わずかではありますが、言語聴覚士の平均年収に差が出ています。では、経験によっても給与額に影響が出るのでしょうか。
結論としては、経験を積むほどに多少、給与額は上がるものの、1000万に到達するのは難しいでしょう。勤務先によっても変わりますが、言語聴覚士のリハビリは、誰が行っても医療点数が変わらないため、新人とベテランとで給与の差別化がしにくくなっています。そのため、一般企業と比べると、役職に就かない限り言語聴覚士は昇給しにくい傾向にあります。
実際、厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、経験15年以上の言語聴覚士(理学療法士、作業療法士、視能訓練士を含む)の平均月収は「約34万円」でした。賞与を含めたおおよその年収は「約500万円」であり、言語聴覚士の平均年収と100万円ほどしか変わりません。
ベテランの言語聴覚士でも年収500万円台が限界値であることから、言語聴覚士という職種で年収1000万円を目指すのは難しいことがうかがえます。
言語聴覚士が収入を上げる3つの方法
言語聴覚士として施設等に勤務するだけでは、年収「500万円台」が限界といえます。ですが、言語聴覚士のスキルを活用すれば、年収1000万円を目指せる可能性があります。また、年収1000万円に到達しなくても、年収アップが期待できる方法として、以下のような働き方があります。
2.大学教授を目指す
3.海外で言語聴覚士として働く
順に詳しく解説します。
1.副業・開業をする
言語聴覚士が年収を上げるために、最も取り組みやすい方法は、本業とは別に「副業」をすることでしょう。言語聴覚士のスキルを活かせる副業として「他施設での非常勤勤務」や「セミナー講師」などがあります。
また「動画編集」や「ライター業」など、言語聴覚士と他のスキルを組み合わせることで、さらに副業の選択肢が広がるでしょう。
副業が軌道にのってきたら、開業も視野に入れるとさらに年収アップにつながりやすくなります。一例として、「完全自費負担の施設を開設する」方法があります。開業により、自由な料金設定ができるため、医療現場と比べて報酬アップが狙いやすくなるでしょう。
ただし、職場によっては副業が禁止されている場合もあるため、必ず就業規則を確認しましょう。また、自身が開業する場合、言語聴覚士としてのスキルに加えて、経営手腕が問われます。リスクも伴うため、慎重にプランを立てながら検討することが大切です。
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2.大学教授を目指す
言語聴覚士として経験を積んだ後、「大学教授を目指す」のも一案です。厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」によると大学教授の平均年収は「1135万6000円」であり、目標となる年収1000万円を目指せる可能性が十分にあります。言語聴覚を専門とする大学教授の多くが、もともとは現役の言語聴覚士であることから、現場で培った経験や知識を活かして活躍できるのではないでしょうか。
とはいえ、大学教授になるには、いくつかの論文を発表していることや、客観的な評価を受けているといった大学・専門学校に認めてもらえるだけのスキルも必要です。
また、実際に働くとなると現場経験以外に、専門分野の知識や論文を読むための英語スキルや研究に対する意欲なども求められます。仕事と並行しながら、学習を続ける時間が必要になることを覚えておきましょう。
3.海外で言語聴覚士として働く
国内で働くことにこだわらないのであれば、「海外で言語聴覚士として働く」ことも検討してみてはいかがでしょうか。海外での言語聴覚士の社会的地位は高い傾向にあるため、年収1000万円を目指せる可能性があります。
とはいえ、日本の言語聴覚士資格は、国内に限定されたものであり、国によっては、現地で認可されている資格を新たに取得しなければならないケースもあります。海外で言語聴覚士として働くのはハードルが高いものの、年収アップの方法として視野に入れておくのもおすすめです。
言語聴覚士で高収入を目指そう
日本において、言語聴覚士という職業で年収1000万円を目指すのは難しいのが現状です。しかし、言語聴覚士のスキルを活かして副業や開業をしたり、大学教授を目指したり、海外で言語聴覚士として活躍したりすることで、年収1000万円を目指せる可能性があります。いずれの方法も時間と知識が必要ですが、年収アップを検討している人は挑戦してみてはいかがでしょうか。
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tokoshi
言語聴覚士
回復期で失語症と高次脳機能障害を中心としたリハビリ業務に携わる。その後転職し、看取り施設で「最期の食事」を言語聴覚士として支援。現在は訪問リハビリやデイサービスでリハビリをしながらライターとしても活動しています。
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