運動器リハビリテーションとは?対象患者や点数、施設基準などについて解説
公開日:2024.04.02

文:rana(理学療法士)
リハビリテーション(以下、リハビリ)といっても、実際にはいくつかの専門分野に分けられており、全ての対象をまとめて「疾患別リハビリテーション」と呼んでいます。
そのなかの一つである「運動器リハビリテーション」は、主に骨や関節などの運動器に対して実施されるリハビリのことです。
今回は運動器リハビリテーションについて、対象患者や制度などについて現役理学療法士が詳しく解説します。
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目次
運動器リハビリテーションとは
運動器リハビリテーションとは、運動器に何らかの障害を持つ人に対し、運動療法や物理療法、装具療法などを実施して、症状の回復を図ることを指します。
運動器とは骨、関節、筋肉、神経など、体を動かすことに関与する組織の総称です。
主に立ち上がりや歩行などの基本動作、食事や整容などの日常生活動作の改善を目指し、社会復帰やスポーツへの参加などを目標に実施されます。
運動器リハビリテーションの主な対象疾患

厚生労働省によると運動器リハビリテーションの対象疾患は、以下のように定義されています。
上述した対象疾患のなかでも、比較的臨床で対象となる頻度が高い疾患として、変形性関節症、スポーツ障害、肩関節疾患、脊椎疾患、脊髄損傷を取り上げ、それぞれの特徴を解説します。
変形性関節症
変形性関節症は、加齢や繰り返される負担によって、関節の軟骨がすり減ることで痛みや腫れが生じる病態です。
最も頻度が高いのは膝に生じるもので、多くの場合、歩いたり、立ち上がったりするのに支障をきたします。
膝以外にも、股関節や手指、足関節などにも変形性関節症は生じます。重度の変形があり、リハビリで改善が得られない場合は手術が必要になるケースもあります。
スポーツ障害
スポーツによる負担蓄積や転倒、相手との接触などで生じる怪我を総称して、スポーツ障害といいます。
主に膝の靭帯損傷、足関節捻挫、筋損傷、骨折などが比較的頻度の高い疾患です。スポーツ復帰の際には、各スポーツの特性を踏まえたリハビリメニューの立案が重要になります。
肩関節疾患
肩関節周囲炎、腱板損傷、上腕二頭筋長頭炎などの肩関節疾患も、運動器リハビリテーションの対象です。
加齢による変性や柔軟性低下が原因になることが多く、肩関節だけでなく、脊柱や肩甲骨、胸郭などへの複合的なアプローチが必要となります。
脊椎疾患
脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニア、腰椎分離症、頸椎症などの脊椎疾患も運動器リハビリテーションの対象となります。
脊柱の可動性低下や不良姿勢、体幹筋力の低下などが原因で生じることが多く、重度になると手術が施行される場合もあります。
脊髄損傷
交通事故や転落事故、スポーツなどで脊髄神経がダメージを受け、体に麻痺が生じる脊髄損傷。加齢による脊柱の変性によっても生じる場合があります。
一度損傷を受けた脊髄は完治することが難しいため、麻痺した機能を代償する動作訓練が重要になります。
運動器リハビリテーション料について

運動器リハビリテーション料とは、患者さんに運動器リハビリテーションを実施した際に算定するものです。
Ⅰ〜Ⅲに区分されており、点数や施設基準が異なります。それぞれの点数や要件についてまとめました。セラピストとして、算定に関する条件も理解しておくとよいでしょう。
運動器リハビリテーションⅠ
点数:185点/単位
※20分を1単位として患者さん一人につき、1日6単位まで請求可能
人員要件
運動器リハビリテーションの経験を有する専任の常勤医師が1名以上勤務していること
専従の常勤理学療法士又は専従の常勤作業療法士が合わせて4名以上勤務していること
施設要件
45㎡以上の機能訓練室
訓練マット、治療台、砂嚢などの重錘、各種測定用器具(角度計、握力計等)、血圧計、平行棒、姿勢矯正用鏡、各種車椅子、各種歩行補助具等の設備
運動器リハビリテーションⅡ
点数:170点/単位
※20分を1単位として患者さん一人につき、1日6単位まで請求可能
人員要件
運動器リハビリテーションの経験を有する専任の常勤医師が1名以上勤務していること
専従の常勤理学療法士又は専従の常勤作業療法士が2名以上勤務していること
施設要件
45㎡以上の機能訓練室
訓練マット、治療台、砂嚢などの重錘、各種測定用器具(角度計、握力計等)、血圧計、平行棒、姿勢矯正用鏡、各種車椅子、各種歩行補助具等の設備
運動器リハビリテーションⅢ
点数:85点/単位
※20分を1単位として患者さん一人につき、1日6単位まで請求可能
人員要件
専任の常勤医師が1名以上勤務していること
専従の常勤理学療法士又は常勤作業療法士がいずれか1名以上勤務していること
施設要件
45㎡以上の機能訓練室
歩行補助具、訓練マット、治療台、砂嚢などの重錘、各種測定用器具等の設備
運動器リハビリテーションに携わるには
セラピストとして運動器リハビリテーションに携わりたい場合、病院や整形外科クリニックに就職するのが近道です。特に整形疾患手術やスポーツ障害のリハビリに特化している施設なら、さまざまな経験を積むことができます。
病院でも診療科に整形外科がない場合や、脳血管・呼吸器疾患が主となる場合は、運動器リハビリテーションにはあまり携われません。
筆者も元々、運動器リハビリテーションに興味があったため、整形外科クリニックに絞って転職をしました。現在も整形外科クリニックに勤めていますが、スポーツ分野や運動器疾患に特化したリハビリに日々精進しております。
「骨関節疾患を極めたい」「スポーツリハビリに携わりたい」という方は運動器リハビリテーションが経験できる施設に就職するとよいでしょう。
整形分野で活躍したいなら運動器リハビリテーションを理解しよう
運動器リハビリテーションに関する知識は、主に整形分野で必要になります。患者さんから直接質問されるような機会は少ないものの、セラピストとして知っておくべき重要な知識です。
今後、整形分野に進みたいと考えている方は、運動器リハビリテーションの対象疾患や算定要件などはしっかりと抑えておきましょう。
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参考

rana(理学療法士)
総合病院やクリニックを中心に患者さんのリハビリに携わる。現在は整形外科に加え、訪問看護ステーションでも勤務。 腰痛や肩痛、歩行障害などを有する患者さんのリハビリに日々奮闘中。 業務をこなす傍らライターとしても活動し、健康、医療分野を中心に執筆実績多数。
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