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圧迫骨折でやってはいけないことは?悪化予防のために気を付けることを徹底解説

公開日:2023.11.03 更新日:2024.01.30

圧迫骨折してしまったら?悪化予防のために、してはいけない動作について解説

文:rana(理学療法士)

圧迫骨折は「高齢者の4大骨折」とも呼ばれるほど、年齢を重ねるごとに発生しやすくなる怪我の1つです。圧迫骨折は痛みが強く、日常生活に大きな支障をきたしてしまうことが多いため、治療中の注意点や予防法について知っておくことが大切です。今回は、圧迫骨折について現役理学療法士がリハビリ方法や生活で気をつけるポイントなどについて解説します。

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圧迫骨折とは?

圧迫骨折とは、背骨が上下方向から圧迫される力によってつぶれることで生じる骨折を指します。転倒や尻もち、重たいものを持ち上げたときなどに生じやすく、骨折した部位に強い痛みが生じます。寝返りや起き上がり、前かがみといった背骨を動かす動作が難しくなるため、日常生活に大きな支障をきたすのが特徴です。

圧迫骨折は高齢者に多く見られますが、その要因の1つに、骨粗しょう症の影響が挙げられます。骨粗しょう症とは、骨の強度が低下してもろくなり、わずかな力でも骨折しやすくなる病気です。特に閉経後の女性に多く見られるもので、その主な原因には、女性ホルモンであるエストロゲンの減少や加齢、カルシウムをはじめとする栄養不足、運動不足などがあります。

圧迫骨折の治療方法

圧迫骨折してしまったら?悪化予防のために、してはいけない動作について解説

圧迫骨折の治療方法には、外科的手術をせずに治療する「保存療法」と、外科的処置を施す「手術療法」があります。それぞれどのような治療方法なのか、具体的に見てみましょう。

保存療法

保存療法では、基本的にコルセットを着用し、患部が動かないように固定しながら、骨が癒合(骨がくっついて固まること)するのを待ちます。痛みや骨の状態にもよりますが、コルセットの装着期間は約2ヶ月です。
圧迫骨折で着用するコルセットは、硬く、胸から腰まで覆うような大きなものを使用するのが一般的です。動きにくくなってしまう点や、長期間着用していると体幹を支える筋力が衰えるというデメリットがあるものの、背骨をしっかりと保護できるのが特徴です。
また、必要に応じて、痛み止めの服用、患部を温める温熱療法なども行います。

手術療法

手術療法としては、骨折部にバルーンを入れて膨張させ、その部分に骨セメントを流し込む「バルーン椎体形成術 (BKP)」や、背骨をスクリューで固定する「椎体固定術」が主に行われます。患者さんの症状や骨折の状態によって術式が選択されます。また入院期間は状況にもよりますが、3週間から2ヶ月程度です。

圧迫骨折時にやってはいけないこと

圧迫骨折してしまったら?悪化予防のために、してはいけない動作について解説

圧迫骨折してしまったら、背骨を保護し、動かさないように安静に過ごさなければなりません。そのため、背骨に負担のかかる動作を避けて生活する必要があります。圧迫骨折した際に、やってはいけない動作についてまとめてみました。

圧迫骨折時にやってはいけないこととして、

・前かがみになる
・体を反らす
・体をひねる
・重いものを持つ

などが挙げられます。順番に詳しく見ていきましょう。

前かがみになる

前かがみの姿勢は背骨に圧迫される力が加わるため、患部への負担を強めてしまいます。床にあるものを拾うために腰をかがめる、中腰で作業をするといった動作は避けるようにしましょう。

体を反らす

体を後ろに反らす動作は、背骨の後ろにある椎間関節への負担が大きくなります。高いところに手を伸ばすような動きや、体を後ろに倒すような動作は避けるようにしましょう。

体をひねる

後ろを振り向いたり、上体だけを回して後ろにあるものを取ったりするような、体をひねる動きも背骨に負担がかかるため、避けましょう。寝返りや起き上がりなど、どうしても体をひねる動きを行う場合には、丸太のように上半身と下半身を一緒に動かすと良いでしょう。

重いものを持つ

重いものを持つことは、極力避けましょう。特に床に置いてある重いものを持ち上げる動作は、背骨に強い力が加わり、圧迫骨折を悪化させる恐れがあります。誰かに依頼したり、中身を分散させて持ったりするなど、負担をかけないように心がけましょう。

圧迫骨折におけるリハビリの進め方

圧迫骨折のリハビリは、段階に合わせて適切な方法で進められます。保存療法、手術療法ともに、圧迫骨折後はコルセットを作成して着用することから治療を始めるのが一般的です。

コルセットが完成するまでは、基本的に患部を安静にして負担をかけないようにします。ですが、ベッド上で安静にしているだけでは全身の筋肉が弱ってしまう可能性があるため、患部以外の関節可動域訓練(関節を動かすリハビリ)や筋力訓練(筋肉トレーニング)が必要です。また、患部に負担をかけないように寝返りや起き上がりをするための訓練なども実施されます。

コルセットが完成したら、歩行訓練(歩くトレーニング)や下肢筋力訓練(下半身の筋肉トレーニング)、腹式呼吸などのリハビリが行われます。
骨折部の癒合具合に合わせて、徐々に体幹の筋力訓練、バランス訓練などを取り入れ、再発の予防に向けたリハビリも行われます。また、背骨にかかる負担を軽減させるために、股関節の柔軟性を高めるような運動も実施されます。

骨が癒合しコルセットが外せるようになったら、体幹トレーニングや背骨の柔軟性を高めるようなメニューを積極的に取り入れたリハビリが行われます。背骨に負担をかけない動作や日常生活動作など、生活に密着した動きに関する実践的なリハビリも含まれます。

圧迫骨折しないために気をつけること

とはいえ、そもそも圧迫骨折をしないように、普段から背骨に負担をかけないことが大切です。圧迫骨折を起こさないために、おもに気をつけたいことは以下の通りです。

無理に体を反らしたり、ひねったりしない

無理に体を後ろに反らしたり、ひねったりしないように気をつけましょう。特に無理な体勢で高いところにあるものや後ろに置いてあるものを取ろうとすると、背骨に大きく負担をかけてしまいます。そもそも、ものを高いところに置かない、どうしても高いところから取るときは踏み台を使う、後ろに置いてあるものは面倒でも立ち上がって取りにいくなど、背骨に負担をかけない体勢で動くように心がけることが大切です。

重いものを一人で持たない

重い荷物は、一人で持ち上げないようにしましょう。特に床からものを持ち上げる動作は背骨に大きな負担がかかります。誰かに手伝ってもらったり、中身を分けて少しずつ運んだりするなどの対応をとるようにしましょう。

身をかがめるときは全身を使う

かがむ動作は背骨に圧迫する力が加わります。特に上半身だけを折り曲げる動作は背骨を痛めるリスクが高まるので、注意が必要です。床に落ちたものを拾うときなど、かがむ際は、股関節や膝も曲げて全身を使うように意識するとよいでしょう。

転倒に気をつける

圧迫骨折の原因として、最も多いのが転倒です。特に圧迫骨折をしやすい高齢者は、普段から運動をして下半身を鍛えたり、体のバランスを保つ能力を低下させないようにしたりすることが重要です。転倒予防のためには、床にものを散乱させない、必要に応じて杖を使うなど、転倒する原因そのものを取り除くことも大切です。

信頼できる病院を探して圧迫骨折を治そう

圧迫骨折の治療は、整形外科など、専門の医師のいる病院で診察を受けることが大前提です。X線検査やMRI検査などの画像診断を受けなければ、状態の把握もできません。骨折の回復状態に合わせたリハビリが実施されるため、信頼できる病院で経過を診てもらうことが重要です。医師や理学療法士の指示にしたがってしっかりと治療をすれば、圧迫骨折は改善していくでしょう。背骨の痛みを感じたら、まずは信頼できる病院で受診しましょう。

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rana

rana(理学療法士)

総合病院やクリニックを中心に患者さんのリハビリに携わる。現在は整形外科に加え、訪問看護ステーションでも勤務。 腰痛や肩痛、歩行障害などを有する患者さんのリハビリに日々奮闘中。 業務をこなす傍らライターとしても活動し、健康、医療分野を中心に執筆実績多数。

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