クレーム応対のポイント④⑤【第75回】
公開日:2023.01.25 更新日:2023.03.22
文:村尾 孝子
薬剤師/医療接遇コミュニケーションコンサルタント
前回まで、以下3つのクレーム応対ポイントをお伝えしてきました。
第74回 クレーム応対のポイント②「相手の話を最後まで聴く」
第74回 クレーム応対のポイント③ 「言い訳しない」
今回はクレーム応対ポイント④「クレーム応対を最優先にする」⑤「今後の対策について明確に伝える」をご紹介します。
クレーム応対のポイント④「クレーム応対を最優先にする」
クレームは、業務中に突然患者さんから声を掛けられる場合が圧倒的に多いと思います。
クレームを受けたときに他の業務中であっても、可能であれば担当業務を別のスタッフに引き継ぐなどして、クレーム応対を最優先におこないます。
クレーマーと言われるような患者さんも稀にいますが、好きこのんでクレームを言う患者さんはほとんどいないはずです。
多くの患者さんは嫌な気持ちを抱えながらも、時間や手間をかけてまで病院やセラピストに意見を伝えてくださいます。患者さんは、病院やセラピストがどのように対応してくれるかを見ているかもしれません。患者さんの不満や不安を最短で解決できるよう、優先して対応しましょう。
クレーム応対が長引けば、患者さんの不快感が増すばかりか、周囲の患者さんにも不快感や不安を与えてしまいます。
クレームを言う患者さんの気持ちを優先して行動すると同時に、他の患者さんへの配慮も忘れずに迅速に行動してほしいと思います。
クレーム応対のポイント⑤「今後の対策について明確に伝える」
患者さんの話を聞いて事実確認したら、対応策を検討してできるだけ早く患者さんに解決策や代替案を提示します。提案の前に、患者さんの意向を正しく理解できているかどうか、クレームの内容について確認すると信頼感を持って聞いてもらえるでしょう。
提案に際しては、セラピスト側から一方的に提案するのではなく、患者さんの意向を聞く姿勢が大切です。
「●●さんのご事情が良くわかりました。早速●●とさせていただきたいのですが、いかがでしょうか」のように、患者さんの立場になって話を進め、最大限の誠意を見せて解決策を提示してほしいと思います。
クレーム応対では早急な対応を求められますが、間違った情報を伝えるとさらなるトラブル(二次クレーム)を引き起こしかねません。書類のお届けや交換、返金等々の対策について伝える際は、時間、数量、金額など数字で表現できるものは、具体的に伝えましょう。
「●日の●時までにご返事します」のように、期限はしっかり数字で伝えます。
後日対応の場合などは、口頭だけでなく書面にして伝えることで、より明確に伝えられます。
また自分だけで対応するのが難しい場合は、「事実確認をしてから、折り返しお電話させていただきます」のように折り返しの連絡を提案しましょう。自分がわからないことを聞かれた時に、情報を知っている同僚や上司にすぐに確認できる環境や人間関係を作っておくことも大切です。クレーム応対をする際は、解決を焦って自分勝手に対応策を判断したり、安請け合いや曖昧な約束をしたりすることはNGです。
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村尾 孝子(むらお たかこ)
薬剤師、医療接遇コミュニケーションコンサルタント。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: https://smilegrdn.exblog.jp/
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