メールマナー⑨本文の書き方「要旨」「詳細」について解説【第89回】
公開日:2024.04.25
文:村尾 孝子
薬剤師/医療接遇コミュニケーションコンサルタント
メールでは、挨拶と名乗りを終えてから初めて、本文に入ります。今回は、本文のはじめに書く要旨と、要旨に続けて書く詳細について説明します。
①要旨
挨拶と名乗りが終わったらいよいよ本文に入りますが、ビジネスメールでは、まず要旨を伝えます。メールを送った理由、目的、そして具体的な用件を先に明らかにして、詳細は後から伝えます。先に要旨を書いてメールの用件を的確に伝えることで、相手はメールを読みやすくなったり、理解しやすくなったりします。
要旨が書かれていないメールは、最後までメールを読まなければ結論がわからないため、読み手に疲労感やストレスを感じさせるかもしれません。「このメールで●●についてお知らせします」と最初に伝えれば、誤解を招くことも、メールを読むのが疲れることも予防できます。
要旨は、具体的に簡潔に書きましょう。メールの内容が重要かどうか、返信が必要かなど、重要度や緊急度を判断しやすいような文章を加えると、より理解しやすくなります。
また、要旨は件名と連携させるのがポイントです。件名と要旨の内容が一致しないと、相手は困惑するだけでなく、不信感を抱くかもしれません。特に、返信を求める内容や緊急の連絡の場合は、件名と要旨で同じ内容を伝えることで、相手に返信等の行動を促すことが可能になります。
・●●をお願いしたく、メールをお送りしました。
・お打ち合わせの日程について、ご相談いたします。
・●●のご確認のために、ご連絡いたしました。
返事がほしい場合は、以下の一文を加えるといいでしょう。
・お手数をおかけしますが、ご確認よろしくお願いいたします
・お返事をお待ちしております
②詳細
要旨に続けて、本文では要旨に関する詳細を書きます。
メールを送る側も受ける側もできるだけ短時間でメールを確認したいのは、他業種にかかわらずセラピストも同様でしょう。忙しい業務の中でのやり取りですから、メール本文は「読みやすく、わかりやすく」が必須です。簡潔で丁寧な文章を書くことを心がけましょう。
本文の詳細では、伝えたいことは箇条書きにして結論を先に述べると、視覚的にも内容が伝わりやすくなります。この際、以下の「6W3H」 を意識することをおすすめします。
・Where(どこで)
・Who(誰が)
・Whom(誰に)
・What(何を)
・Why(なぜ)
・How to(どのように)
・How many(どれだけ)
・How much(いくらで)
また、箇条書きには文章で内容を伝えるより、情報や要点をもらさず伝えられるメリットがあります。
内容:接遇マナー研修
日時:2024年5月20日(木) 15:30~17:00
場所:●●病院 A会議室
対象:新入職員、研修担当者
詳細は、ただ詳しく丁寧に書けばいいというものではありません。いくら時間をかけて長文のメールを書いても、相手が読んでくれなければ、メールを書く手間も時間も無駄になってしまいます。
反対に、情報が不足したり曖昧な表現になったりすると、誤解や不安を招いたり、問い合わせのために何度もメールをやり取りする手間がかかったりします。
メールを書き終わったら、相手の立場になって文章を読み返し「相手が理解するのが難しい」「伝えたいことが分かりづらい」などと感じたら、すぐに書き直す習慣をつけましょう。
村尾 孝子(むらお たかこ)
薬剤師、医療接遇コミュニケーションコンサルタント。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: https://smilegrdn.exblog.jp/
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