クレームの初期応対の重要性【第70回】
公開日:2022.08.25 更新日:2023.03.22
文:村尾 孝子
薬剤師/医療接遇コミュニケーションコンサルタント前回は、クレームに含まれる患者さんの気持ちについて考えました。今回は、クレームを受けた直後の対応=初期応対の重要性について考えてみたいと思います。
クレームの初期応対が大切な理由
クレームを受けた時、動揺して何を言えばいいのか分からず固まってしまったり、どうすればいいのか戸惑って下を向いて黙り込んでしまったり…といった行動をしてしまった経験のある方もいると思います。ですが、初期対応でつまずくと、患者さんの不満は大きくなるばかりで、「対応が悪いことへの不満」という新しいトラブルを招いてしまいます。これを二次クレームといいます。
クレームへの対応が長くなるほど、 患者さんの怒りや不満は大きくなり、さらにクレーム応対に時間を要することになります。それだけでなく、周囲の患者さんに迷惑がかかるほか、業務も滞り、病院や施設のイメージにも悪い影響が出る可能性があります。
そのため、クレーム応対では、クレームを受けた直後の初期応対が非常に重要です。
初期応対がスムーズにできると、早期解決につながるだけでなく、患者さんとの信頼関係を築くきっかけになるといったメリットがあります。クレームを受けたらまずはどうすべきか
クレームが発生した場合、最初に対応する人は、真っ先に謝罪します。病院や施設、スタッフ側に非があろうとなかろうと、患者さんに「不快な思いをさせてしまったこと」は事実ですから、その精神的被害に対するお詫びです。クレームを受けたということは 、患者さんにとって何かしらの不都合や不具合があったことは間違いありません。そこで、非を認める・認めないとは関係なく、患者さんを不快にさせたことに対して素直にお詫びします。万一、患者さんから「非を認めた」などと言われた時は、落ち着いて「●●さんに不快な思いをさせてしまったことに対するお詫びです。詳細はこれから調べますので、お待ちいただけますか」のように伝えると良いでしょう。
クレームを受けると、動揺や困惑が先に立ってしまうかもしれません。すばやく気持ちを切り替えて、患者さんを思いやり、クレームに含まれるメッセージを受けとめるため一つずつ丁寧に対応しましょう。
クレームは、患者さんから病院や施設への要望や期待、言い換えればプレゼントのようなもの。患者さんからの贈り物に対して、感謝の心を込めて対応してほしいと思います。次回以降、初期応対のポイントについて一つずつ詳しくお伝えしていきます。
村尾 孝子(むらお たかこ)
薬剤師、医療接遇コミュニケーションコンサルタント。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: https://smilegrdn.exblog.jp/
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