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EPA介福士が訪問介護担う上での課題抽出- 「丁寧に根気強く教えることが重要」2016.08.12

セラピストプラス編集部からのコメント

厚生労働省が開催した「第11回外国人介護人材受入れに関する検討会」で、EPA(経済連携協定)の枠組みで来日したEPA介護福祉士の就労の場を、訪問介護などの分野に拡大する方針で大筋合意に至ったそうです。
日本に不慣れなEPA介護福祉士が訪問系サービスに取り組むうえで、現時点で「自動車の運転」「記録」「利用者急変時の適切で臨機応変な対応」「調理の味付け」と4つの課題が提示されました。
医療分野に限らず、多くの外国人労働者が直面する課題です。受け入れ側にもEPA介護福祉士が働きやすい環境を作る工夫が必要かも知れません。

厚生労働省は5日、「第11回外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会」を開催した。
 検討会は今年2月、EPA(経済連携協定)の枠組みで来日し、資格を取得したEPA介護福祉士の就労の場を、訪問介護などに拡大する方針で大筋合意している。その際、EPA介護福祉士が訪問系サービスに取り組む上で、人権擁護などの観点からの「必要な措置」を継続審議することになっていた。この日はEPA介護福祉士を受け入れている施設などからヒアリングを行った。【大戸豊】

検討会では、EPA介護福祉士が訪問系サービスに取り組む上での課題についてヒアリングを行った
 社会医療法人恵仁会(長野県佐久市)では、2012年にインドネシアから2人の介護福祉士候補者の受け入れを開始し、今年2人とも介護福祉士の国試に合格。このうち1人は同会の介護老人保健施設で就労を継続している。
 介護事業部の藤牧元部長は、EPA介護福祉士が訪問介護業務に従事する場合、現時点での課題として、(1)自動車の運転(2)記録(3)利用者の急変時の適切で臨機応変な対応(4)調理・味付け-を挙げた。

(1)の自動車の運転は、降雪地帯であり、移動距離も長い場合があり、訪問の際も車両の運転は必須であるほか、(2)の記録については、日常会話などでは問題ないが、訪問記録や利用者宅にある連絡ノートの記入などが課題という。ただ、藤牧部長は、記録については経験を積めばクリアできるとしている。
 社会福祉法人不二健育会が運営する特別養護老人ホーム「ケアポート板橋」(東京都板橋区)には、現在EPA介護福祉士2人と候補者3人が勤務している。
 同会では、外国人介護福祉士養成のため、まずグループホームで日本人の生活や考え方を知ってもらい、その後デイサービスで介助の基礎やコミュニケーションを学んだ後、特養においてOJTを通じて介護業務と日本語学習を行い、内部研修を通じ試験勉強を進めている。
 小清水一雄施設長は、ある程度の経験と国試に合格できるEPA介護福祉士は、業務的な意味で十分に訪問介護などを行えると指摘。懸案があるとすれば、▽利用者やその家庭に合わせた援助・対応▽事故や緊急事態発生時の対応▽利用者や家族からのクレーム対応-について、法人としていかにフォローできるかが課題という。
 利用者やその家族に合わせた援助・対応については、完全にその家の支援をできるようになり、信頼を得るまで職員2人で対応することなどが考えられるという。また、マニュアルの整備や勉強会の実施のほか、有事の際はすぐに事務所に電話し、対応を仰いでもらうといった対応が考えられるという。
 小清水氏は、EPA介護福祉士が対応に困ることは、日本人職員が困ることとほぼ同じであり、丁寧に根気強く教えることが重要とした。

 受け入れの調整機関である国際厚生事業団は、EPA介護福祉士からの相談体制について説明した。
 EPA介護福祉士からの相談窓口の対応状況は合計100件で(13年度-15年度)、このうち、雇用管理が約5割、在留管理3割、生活管理が1割だった。雇用管理では、他施設への転職の相談、在留管理では家族を呼び寄せるための手続き、生活管理では呼び寄せた家族の生活などについての相談があったという。
 国際厚生事業団では、EPA介護福祉士を受け入れる施設に対し、少なくとも年1回訪問し、雇用管理状況や資格取得者の就労・定着状況などの確認を行う。受け入れ施設に雇用管理などの問題があった場合、助言とともに、必要に応じて厚労省に報告する。受け入れ施設は後日、書面により改善状況を国際厚生事業団に報告する。相談内容によっては、顧問社会労務士や精神科医に結び付けながら、問題の解決にあたっている。
 これまでに、職場適応、ホームシックなどへの施設の対応を聴取し、助言や相談窓口を紹介したり、雇用労務責任者を選任していなかった施設には、助言を行い改善につなげているという。

 検討会は次回9月6日に開催される予定で、今回のヒアリングを踏まえ論点整理を行い、必要な措置について検討する。

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出典:医療介護CBニュース

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