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内臓脂肪と免疫活性がCOVID-19などの罹患リスクに影響~キリン・花王が共同研究で確認2023.12.12

セラピストプラス編集部からのコメント

キリンホールディングスと花王は、内臓脂肪と免疫活性に関する共同研究を行い、内臓脂肪が多くプラズマサイトイド樹状細胞(pDC)の活性が低い人の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)などの罹患リスクが高いことを確認しました。この結果は、和歌山県立医大主宰のコホート研究「わかやまヘルスプロモーションスタディ」の一部として得られたものです。内臓脂肪が多く、pDC活性が低い人は、COVID-19やインフルエンザに罹患しやすさが約20倍であることが明らかになりました。感染症予防のためには、内臓脂肪と免疫機能の両方のケアが重要であるとの結論を導きました。

内臓脂肪が多く、プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)の活性が低い人は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)などの罹患リスクが高い─。キリンホールディングスと花王は11月24日、内臓脂肪と免疫活性に関する共同研究でこうした事実を世界で初めて確認したと発表した。

pDCは、細菌やウイルスが体内に入ってきたときに免疫の司令塔的役割を果たす免疫細胞。pDCが活性化することによりNK細胞、キラーT細胞、B細胞などの免疫細胞が活発に働き、ウイルスなどの感染を防御すると考えられている。

キリンと花王の共同研究は、和歌山県立医大が主宰し、NPO法人ヘルスプロモーション研究センターが取りまとめているコホート研究「わかやまヘルスプロモーションスタディ」の一環として2022年11月から実施。和歌山県みなべ町の50~55歳の住民223名に対し内臓脂肪測定や血液検査、アンケート調査を行いデータを解析した。

■内臓脂肪高値・pDC活性低値群の「罹患しやすさ」約20倍

研究では、内臓脂肪とpDC活性の関係を調べた結果、内臓脂肪面積値が高い群は低い群に比べpDC活性が約30%低いことが判明。

さらに内臓脂肪面積とpDC活性が感染症罹患に及ぼす影響も調べたところ、内臓脂肪面積値が高くpDC活性が低い群は、内臓脂肪面積値が低くpDC活性が高い群と比較して「罹患のしやすさ(オッズ比)」で19倍COVID-19やインフルエンザに罹患していた(COVID-19のみでは20倍)。

 

■「感染症予防のため内臓脂肪・免疫機能両方のケアを」

24日に開かれた研究成果発表会で登壇したキリンの藤原大介氏(ヘルスサイエンス研究所所長)は「世界で初めて内臓脂肪が多い人はpDC活性が低いことを発見した」と報告。花王の大里直樹氏(花王ヘルス&ウェルネス研究所特定テーマリーダー)は「今回の研究では、被験者の約26%が内臓脂肪が多くかつpDC活性が低い群に該当していた。このような人は約20倍COVID-19に罹患していることが分かった。内臓脂肪と免疫機能の両方をケアすることは、感染症を予防する上で重要」と強調した。

藤原氏は、共同研究の結果は、免疫領域に強みを持つキリンと内臓脂肪領域に強みを持つ花王の「技術の粋の結晶」だとし、「素晴らしい、クリアな結果が出たので、今後も一緒に何かできないか考えている」と共同研究の継続に意欲を示した。

両社の研究成果は11月25日、仙台市で開催された日本肥満学会/日本肥満症治療学会学術集会でも発表された。

研究成果発表会で記者の質問に答えるキリンの藤原氏(右)と花王の大里氏

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出典:Web医事新報

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