第11回河北リハビリテーション病院(その3)
公開日:2018.02.26 更新日:2018.03.09
- Profile
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手代木愛美さん(29歳)
資格:作業療法士
作業療法士の病棟リーダー
趣味はペーパークラフトで、「仕事にも応用できるかな?」という思いを持ちながら取り組んでいる。お昼ご飯はお弁当派で、毎日持参しているそう。
作業療法士としてのお仕事について
河北リハビリテーション病院に新卒で入職して7年目になる手代木さん。午前と午後に4名ずつ、1日合計8名ぐらいの患者さんのリハビリを担当しているそうです。まずはOTのお仕事についてうかがいました。
「OTはどちらかというと、肉体的なケアより精神的なケアが中心となってきます。そのため、患者さんの『人となり』や今までの生活ぶりを知るところから関わることが大事だと思っています。患者さんの中には、ご病気をきっかけに生活がガラッと変わってしまう方もいらっしゃいます。その受け止め方や心の部分を気にしながら、退院されてからの生活を見据えて、その人らしさや生きがいをサポートできるOTを目指しています」
2カ月に1回のペースでリハビリチーム全体での勉強会があるということはお聞きしましたが、OTだけの勉強会などもあるのでしょうか?
「はい、あります。興味のある分野ごとに『勉強班』が作られているので、各自が自発的に参加して勉強しています。ちなみに私は『作業活動をリハビリに生かせないかを考える班』に参加して活動しています」
新人・中途入社の作業療法士後輩の育成について
手代木さんは病棟の7名の作業療法士をまとめるリーダーも務めています。リーダーとして、どんなお仕事をしているのでしょうか?
「週2回はドクターやナース、ソーシャルワーカーと一緒に、患者さんについて色々と話し合うカンファレンスに参加しています。また、この病院には1人の新人スタッフに対して1人の指導者をつけるという手厚いフォロー制度があるので、新人を指導するスタッフをまとめる立場にもあります」
では新人・後輩の育成について、どんなことに注意しているのでしょうか?
「自分が経験したことは、できるだけ具体的に後輩にフィードバックするようにしています。リハビリの介入の仕方などは一緒に練習したりもします。
これまで自分が悩んだ時は同じOTの先輩はもちろん、職種問わず多くの先輩方に相談させてもらってきました。この病院には風通しが良くて話しやすい環境があるので、すごくありがたいと思っています」
特に中途で入ってくる方へのフォローで気をつけている点はあるのでしょうか?
「この病院はスタッフの人数も多く、業務がマニュアル化されていることもあり、システム的な部分にかなり違いがあるという話をよく聞きます。そのため中途で入って来られた方にも、マンツーマンの指導係をつけるというしっかりした受け入れ態勢を整えています。必要なら数週間に渡って期間を延長します。実際のリハビリ業務はもちろん、それ以外のシステムやツールの使い方などにも困らないよう丁寧なフォローを心がけています。
違う病院や違う分野で活躍してきた中途の方には、こちらが教えるばかりではなく、逆に色々と学ばせてもらえるので、自分の勉強になるのがとても嬉しいです」
OTの仕事をする上で大切にしていること
患者さんの精神的なサポートをすることもOTの大切なお仕事です。心のケアに関して、どんなことに気を付けているのでしょうか?
「基本的には自分が一番元気でいようと心がけています。自分が元気でいることで、空間が明るくなって、結果的にリハビリのモチベーションアップに繋がればいいなと思っています。とは言え、落ち込んでいる患者さんには無理に元気を押し付けることはせず、沈んだ気持ちに寄り添うようにしています。時にはリハビリの時間の全部を使ってじっくり話を聞くこともあります。
また、『以前はできていたことができなくなってしまった』というネガティブな受け止め方にならないような段階を踏んだリハビリ、介入の仕方ができるように気を付けています」
最後に、手代木さんが考える『作業療法士にとって大切な資質』をうかがってみました。
「大切な資質……患者さんに対して尊敬の気持ちを持ち続けられるということでしょうか。患者さんは自分たちより人生経験の長い先輩であることをいつでも忘れずに、リハビリを通してよりよい生活を支援できるよう関わっていけるといいのかなと思います」
タイムテーブル
手代木さんの1日
- 8:20
~30頃 - 病院到着
- 9:00
- 朝礼
- 9:05
- 午前の業務開始
- 9:10
- 午前のリハビリ開始
- 12:30
- 昼休み
- 13:30
- 午後の業務開始
- 13:35
- 午後のリハビリ開始
- 17:00
~20 - 1日のリハビリ終了・症例検討会へ
- 17:30
- 帰宅
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