措置入院の見直し、要件の標準化など検討を- 精神保健福祉士協会が見解2016.08.16
日本精神保健福祉士協会は、精神疾患によって自分や他人を傷つける「自傷他害」の恐れがある人を入院させる措置入院の見直しに関する見解を公表した。厚生労働省が措置入院の在り方などを検討する方針を示したのを踏まえたもので、自傷他害の要件の標準化などを検討するよう求めている。【松村秀士】
措置入院は、警察などから通報や届出があった対象者に対して、精神保健指定医が診察し、自傷他害の恐れがあると判断した場合に入院を強制するもの。
神奈川県相模原市の障害者施設で入所者多数が殺傷された事件を受け、厚労省は10日、再発防止に向けて、措置入院の解除の判断や退院後のフォローアップ体制などを議論する有識者検討チームの初会合を開く。
この動きに対し、日本精神保健福祉士協会の見解では、現行の措置入院の要件である「自傷他害の恐れ」の認識について、全国的に標準化されておらず、自治体ごとに大きな差があると指摘。その上で、精神障害のある人が住む地域によって、受けられる精神科医療が異なることは、「人としての尊厳や権利が侵害される可能性がある」としている。
また、措置入院の在り方を見直す場合、精神障害者への適切な医療の確保などを目的とした精神保健福祉法の趣旨に則って行うよう要望。検討する際は、自傷他害の要件の厳正化・標準化や、診察基準の明確化を行い、「不適切な医療が行われないよう通報から措置入院に至る流れを再点検する必要がある」と強調している。
さらに、病状などにより患者本人に入院治療契約を交わす理解力や同意能力がない場合に保護者や扶養義務者の同意によって行われる医療保護入院に比べ、措置入院は退院支援の体制整備が不十分であることを問題視。「手薄な退院支援の仕組みといった課題についても十分に検討する必要がある」との考えを示している。
出典:医療介護CBニュース
セラピストプラス編集部からのコメント
相模原市の障害者施設殺傷事件を受け、日本精神保健福祉士協会は、精神疾患によって自分や他人を傷つける恐れのある人の措置入院について、地域によって認識に大きな差があると指摘。
自傷他害の要件の厳正化・標準化や、診察基準の明確化を行い、「不適切な医療が行われないよう通報から措置入院に至る流れを再点検する必要がある」と意見を出しました。
また、退院支援の体制整備が不十分であることを問題視。今後の検討課題としています。