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地域包括ケアを理解するために知っておくべきこと(2)~2025年の超高齢社会で起こる問題とは

公開日:2017.09.29 更新日:2021.04.09

文:吉倉 孝則
理学療法士/保健学修士/認定理学療法士

前回は地域包括ケアに関連して2025年までに要介護認定率の高くなる75歳以上が増加することを書きました。
今回は、それに伴う様々な問題も併せて書いていきます。

認知症患者の増加

今後、認知症の高齢者がますます増加します。2012年は462万人、65歳以上の15%が認知症とされていますが、2025年には約700万人、65歳以上の約20%にまで達することが予測されています。
つまり、65歳以上の方の5人に一人は認知症ということになります!

さらに、MCI(Mild Cognitive Impairment:軽度認知障害)と言われる認知症の前段階にあたる予備軍である方も、同様に増加するとされ、2025年には認知症と合わせて約1300万人、65歳以上の3人に一人が認知症または予備軍とされています。
これは単に高齢者が増えるためだけでなく、認知症は生活習慣病とも関連しているとされています。
ある研究では、糖尿病患者さんにおいてアルツハイマー型認知症のリスクは約2倍に上昇するという結果が示されています。

2025年に向けて、認知症の患者さんをどのように支えていくのかが課題となっています。
発症前であれば、どのように“予防”していくのか。入院中の患者さんであれば、どのように認知症ケアをするのか。
またすべての患者さんを入院や施設に入れることは不可能ですので、地域でどのように見守り、生活を支えていくのか。

最近、高齢者運転の事故がニュースになっていますが、今後はますます増加することが予測されます。(AIによる自動運転の発達を期待したいところですが)
特に地方では車は、高齢者の生活を支えています。
運転免許証の自主返納などをしたくても、車がなければ買物をすることもできません。
外出が困難になると引きこもってしまうという問題もあります。
高齢者が認知症になり、車が運転できなくなったときでも、安心して生活ができるような仕組みが必要だと感じます。
 

65歳以上の単独世帯や夫婦のみの世帯が増加

世帯主が65歳以上の単身世帯や夫婦のみの世帯が増加しています。
つまり、高齢者の一人暮らしまたは夫婦での2人暮らしのところが多いということです。
2025年には、全世帯の25.7%が高齢者の単身世帯または夫婦のみの世帯となります。

これは高度経済成長以降、核家族化が進み、子どもが進学・就職に伴い一人暮らしをはじめ、結婚しても実家には戻らず、さらに核家族化が進んだことが主な要因だと思います。
他にも、死別や離婚などによって単身世帯が増えていることは予測されます。
私自身も長男でありますが、大学から親元を離れて一人暮らしをしています。
実家には両親の2人きり。今はまだ元気に暮らしていますが、数年先は心配になります。

生涯未婚率(50歳までに一度も結婚したことがない)が増加していることも話題となっています。
2015年の国勢調査では生涯未婚率は男性で23%女性で14%にまで達しました。
つまり、男性で約4人に一人、女性で7人に一人が生涯未婚であるということです。未婚の高齢者が増えるということは、高齢者のみの世帯が増えそうですよね。
それの何が問題かというと、これは想像がつくのではないでしょうか。

老老介護や孤独死はすでに問題となっていますが、
高齢者だけの世帯だと病気や障害が出るとすぐに生活困窮者となってしまいます。
3世代同居の家庭で、お嫁さんが主婦で、両親の面倒を見るということも一昔前であれば、普通の家族であったでしょう。しかし、核家族化、女性の社会進出などによりそれは少なくなってきています。
高齢者の世帯だと、身体介護だけでなく、掃除や買い物、料理など生活の介護も必要になります。
そのため、介護サービスなどが、より必要になるでしょう。
さらに、介護サービスを使わなくても、ご近所付き合いで助け合うような仕組みも求められてくるでしょう。

次回は、この2025年問題についての地域差についてと、まとめをお送りします。

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