医療者が情報照合を怠ったことによる患者取り違えで注意喚起~医療安全情報2023.02.28
日本医療機能評価機構は2月15日、「医療安全情報No.195」を公表した。今回は、検査や治療・処置の際、患者自身に氏名などを言ってもらったにもかかわらず、医療者が手元情報との照合を行わなかったために患者を取り違えた事例を取り上げ、注意を促した。
機構は過去に診察時や検査時の患者の取り違え事例を取り上げた際、再発防止策として、患者自身に氏名を名乗ってもらうことを提言していた。ところが、その後、こうした対応を取っていたにもかかわらず、今度は医療者が手元情報との照合を怠ったために患者を取り違えた事例が発生。再度、注意喚起することにした。こうした事例は2019年1月〜22年12月末までの3年間で5件報告されている。
医療安全情報では、実際に起きた事例2件の詳細を紹介。1つ目の事例では、患者XとYの2人がCT検査室の待合室で検査を待っていた。診療放射線技師が検査票を見て患者Xをフルネームで呼ぶと、患者Yが返事をした。技師は患者Yの入室時に氏名と生年月日を言ってもらったが、手元にあった患者Xの検査票と照合することなく、そのまま検査を実施。他の技師が患者Xから「検査はまだか」と聞かれて確認したことで、患者Yに患者Xの検査を実施していたことが判明した。
2つ目の事例では、患者Xは9時から骨シンチグラフィ、患者Yは10時から胆道シンチグラフィを予定していた。診療放射線技師は9時に来院していた患者Yを患者Xだと思い込み、検査室に入ってもらった。この医療機関では患者の入室時に検査予定一覧を手元情報として患者照合を行うルールがあり、技師は患者Yに氏名と生年月日を言ってもらったが、肝心の検査予定一覧との照合を行わなかった。担当医も患者の確認を怠り、本来は患者Xに投与するべき骨シンチグラフィ用の放射性医薬品を誤って患者Yに投与した。この事例では、その後、撮影時間などの説明をした際に、患者氏名が違うことに気づき、放射性医薬品の誤投与が発覚した。
事例が発生した医療機関では現在、再発防止策として、患者に氏名と生年月日など2つの情報を言ってもらい、医療者側の情報(電子カルテの画面など)と照合する取組が行われている。
出典:web医事新報
セラピストプラス編集部からのコメント
2月15日、日本医療機能評価機構は「医療安全情報No.195」を公表しました。今回、医療者が情報照合を怠ったことによる患者取り違えを事例に挙げて、注意喚起をしました。事例が発生した医療機関では、再発防止策として、患者に氏名と生年月日などの情報を言ってもらい、医療者側の情報と照合する取組が行われています。