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日本禁煙学会 作田理事長解説:禁煙治療とその医療・経済効果 2019.08.22

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セラピストプラス編集部からのコメント

日本禁煙学会理事長の作田学さんが、学会誌Lancetや、厚生労働省資料を元に禁煙するとどのくらい医療・経済効果があるのか解説します。厚生労働省研究班の推計資料によると、2014年度の能動喫煙による超過医療費は1兆2000億円、受動喫煙では3000億円となっているとのことです。

 禁煙治療と医師・看護師[提言]

 1 禁煙と健康寿命の関係

近年医療技術評価が進歩して,質調整生存年や増分費用効果比が計算されるようになっている。英国の資料によると,健康な1年を増やすためにかかる額として300~400万円が上限とされているが,禁煙をすると,健康寿命が一般に7~10年長くなることが知られている。すなわち禁煙治療には1人当たり2000~4000万円払っても十分におつりがくることになる。

たとえば,喫煙はがんの1/3,心筋梗塞の1/3,脳梗塞の1/3,慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)の9/10だけではない。

厚生労働省研究班(五十嵐 中,東京大学特任教授)による推計では,2014年度の能動喫煙による超過医療費は1兆2000億円,受動喫煙では3000億円,社会に与える総損失額は2兆500億円となってる1)

今,超高額ながんの新薬がもてはやされているが,これらは1年間におよそ3500万円がかかるとされている。この種の薬はその一部は確かに効くことは効くが,いつまでも効果があるわけではない。上の数式に当てはめると,10年間は健康寿命が延びなければ,薬剤としての存在意義はないということになる。やはりがん治療でもっとも大切なのは,予防である。

その意味で,禁煙は種々の疾患の予防策として最も優れたもののひとつである。現在,禁煙治療には国費から200~300億円が支出されているが,それで6兆円が浮くとすれば,これほど効率の良い投資はない。現在のところは医師だけに認められているわけであるが,米国の禁煙治療の教科書によれば,医師と歯科医師は同程度の寄与が可能であるという。すなわち歯科医師にも開放することによって,現在の倍の禁煙数が可能になるという。わが国で歯科医療に禁煙治療が認められていないのは,およそ馬鹿げていると言うしかない。

 2 わが国の禁煙治療の現状

禁煙治療は一定の規則のもと,医師一般に開放されている。このこと自体は良いことである。しかし,医師の能力によってその結果に大きな違いが生じていることも事実である。一般の医師が治療をした場合,9〜12カ月後には30%しか禁煙が続いていない2)

たばこは高度の依存性があり,ヘロイン,コカインに次ぐ。これは覚醒剤や大麻,アルコールよりも強い。したがって,禁煙治療には特別な技量が必要なのである3)

自己申告の集計ではあるが,日本禁煙学会の専門医は,1年後に55〜60%の禁煙率を誇っている。禁煙治療で大切なのは,「禁煙指導ガイドライン」による5A(Ask:尋ねる,Advise:助言する,Assess:評価する,Assist:支援する,Arrange:調整する),5R(Relevance:関連,Risk:疾患リスク,Rewards:報酬,Roadblocks:障壁,Repetition:反復)や,認知行動療法,動機づけ面接といった特殊な技量である。また,日本禁煙学会が認定した禁煙専門医・専門看護師を中心とする約5000人の会員は,禁煙学会総会や禁煙治療セミナー,もしくは南山堂の「禁煙学」などで,これらを毎年ブラッシュアップしているのである。

できるなら禁煙治療をするすべての医師,歯科医師,薬剤師,看護師には日本禁煙学会の会員となり,これらを勉強するようにお勧めしたい。これらの技能が日常の診療においても大きな効力を発揮することは間違いのないところである。

【文献】

1) 喫煙による超過医療費.
[https://www.asahi.com/articles/ASL8J4DNSL8 JULBJ006.html]

2) 中央社会保険医療協議会:診療報酬改定結果検証に係る特別調査(平成21年度調査)ニコチン依存症管理料算定保険医療機関における禁煙成功率の実態調査 報告書. 2010.
[https://www.mhlw.go.jp/shingi/ 2010/05/dl/s0526-7f.pdf]

3) Nutt D, et al:Lancet. 2007;369(9566):1047-53.

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出典:Web医事新報

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